トランスジェンダーを公表した女性が、アメリカ知事選で初めて2大政党の指名を獲得

2018年は、知事候補者が最も多様な年だ。
Amanda Edwards/WireImage

アメリカ・バーモント州知事選をめぐり、アメリカ史上初めてトランスジェンダーを公表している立候補者が2大政党(民主党)の指名を獲得した。

指名を獲得したのはクリスティン・ホールクイスト氏で、他3名の立候補者を破り、歴史を塗り替えた。

ホールクイスト氏は11月、支持率が低下している現職のフィル・スコット知事(共和党)と州知事選挙で対決する。

民主党知事協会会長も務めるワシントン州知事のジェイ・インスレー氏は「クリスティンのこの歴史的な指名を誇りに思います。彼女はアメリカ史上最も多様な知事候補者の一人になりました」と説明し、ホールクイスト氏が知事になれば「バーモント州に損害を与えているトランプ氏の政策に対抗し、州を前進させる」と語った。

ホールクイスト氏は2015年に性別を変えており、ポリティコの取材にその決断の難しさを語る一方、真実を3人の子どもたちに伝えることが最も重要と判断したとも話した。元技術者である彼女は、カミングアウトにより職を失うことを恐れていたが、バーモントの人々は喜んで受け入れた。

ホールクイスト氏は性別を変えたのを誇りに思う一方で、選挙ではトランスジェンダーという自身のアイデンティティーよりも政策を重視したいと表明している。

元経営者でもあるホールクイスト氏は、NBC5に次のように話している

「私は実績のある、力強いリーダーだ。ただ同時に、トランスジェンダーであるだけ。もし私がトランスジェンダーであることに困惑している有権者がいれば、私の実績と政策を見てもらうように伝えたい」

12年間CEOとして務めたバーモント・エレクトリック・コープを辞任し、ホールクイスト氏は知事選に立候補した。さらに、彼女はハイド・パーク学校の理事も務めていた。

2016年の知事選でホールクイスト氏は現職のスコット知事に投票したが、議会承認を覆すなど、彼を判断を批難した。CEOとしての経験が、今までとは異なる政権運営につながるという。

「議会承認を覆すのは失敗の証」とスコット知事をバーモント・パブリック・ラジオのインタビューで批判し「知事は人々に力を与えなければならない。明確な目標を設定し、その目標に向かって協力し合うようにしなければならない」と語った。

スコット知事には、議会承認を得た予算案や最低賃金案を拒否した経緯がある。ホールクイスト氏の政策は民主党の思想とはほぼ一致しており、『最低賃金時給15ドル』も支持している。

ホールクイスト氏は経済問題を主要政策に掲げ、労働連合の支援や地方へのインターネット拡大などを通じた雇用機会の増加を目指している。

現職のスコット知事は移民政策や社会問題について共和党とは異なったスタンスを取っていたことで最近まではアメリカで最も支持率の高い知事の1人だったが、銃規制案を承認したことにより支持率は大きく低下した。

銃規制案を承認するまでは、スコット知事の支持率は65%だった。しかし調査会社モーニング・コンサルトの調査によれば、支持率は47%まで低下した。

銃所有者であるホールクイスト氏はポリティコの取材で銃規制について「自動車のように規制するのは支持する」と話した。

ハフポストUS版より翻訳・編集しました。

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