日本でサマータイムが絶対に導入されない理由。2020年東京オリンピック問題(本田雅一)

スマホやPC、あとエンジニアの悲鳴が聞こえてきそう。
毎日新聞社「昭和史 第13巻」より。
毎日新聞社「昭和史 第13巻」より。
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まさか「サマータイム」なんて言葉が、ここに来てバズワードになるなんて、誰が想像したでしょうか? 先週から、サマータイム導入検討というニュースに、あちこちで拒絶反応が出ています。

先に結論から書いておきましょう。

様々な人が、「日本でのサマータイムは施行されるべきではない」とコラムを書いています。まったくその通りで、本来ならば議論の余地さえありません。

しかし、中には「もしかすると施行される可能性もあるのかも? だって政府が検討していると言っているし」と思っている人もいるかもしれません。断言しますが、検討はされるけれど、実際に施行されることはありません。

色々な意味で、サマータイムの導入は極めて非合理な上、効果がほとんど期待できません。もし本当に施行へと向かったら、現政権はおろか自民党全体への信頼も大きく損なうことになるためです。

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実は昔、日本にもサマータイムが存在した

2018年8月7日に政府が「サマータイムを検討する」としたのは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が首相官邸を訪れて安倍首相と会談し、大会期間中の暑さ対策として、サマータイム(夏時間)の導入を検討するよう申し入れたからです。

ここで注意したいのは、安倍首相が検討を指示したのは、自らが総裁を務める「自民党に対して」です。首相として「政府関係機関に指示をした」わけではありません。こういうところから「検討する」ことの本気度を感じ取る必要があろうかと思います。

まぁ、簡単に言えば元首相でもある森さんがお願いに来たので、むげに断るわけにもいかず、しかたなく検討することにした......といったところでしょう。

実はこれまでに何度も検討され、結局はお蔵入りになった案です。「オリンピックのために導入」なんて、末代まで語られるような愚行をしたい政治家はいないと思います。

サマータイム導入に関しては、東日本大震災直後に夏期の冷房電力削減効果を期待した導入議論があったものの、最終的には見送られました。サマータイムによる省電力効果はもちろんありますが、さして大きくもない効果に対し、導入するまでの障壁が大きかったためです。

さらに遡ると、第二次世界大戦後には何度もサマータイム導入の議論がなされているだけでなく、終戦直後に実際に導入されたこともあり、そこで明確にデメリットの方が大きいという結論が出ています。

導入当時の結果は散々なもので、国民の生活が混乱しただけでなく(労働開始時間が早まったことで)労働時間が長くなって疲弊し、むしろ効率を落としたなんて話もあります。戦後すぐのタイミングに「日本でサマータイムって、無理というか意味ないんじゃね?」という結論が出ていたわけです。

もともとサマータイムとは、夏と冬の日照時間が大きく変化する高緯度の国において、夏の長い日照時間を有効に使うために考えられたものです。

サマータイムが日本の導入された際にも「国民が日照を浴びる時間」について議論され、利があるのではないかと導入されました。しかし、日本の日照時間変動程度では、導入の必要性よりも弊害が大きかったということですね。

そんなわけで、大昔のこととはいえ、サマータイムを導入したことが過去にあり、大失敗している案ですから、政府がサマータイムの導入を積極的に進めることに合理性はない、と断言できます。政府側が発信しているステートメントでは、「国民の日常生活に影響が生じるものであり、大会までの期間があと2年と限られている」(菅 義偉官房長官)とされています。

自民党内では、サマータイム賛成派が法案を作成し、議員立法を目指すようですが、最終的に国会に提出されることがあったとしても、成立はしないでしょう。議会で多数を占める自民党とはいえ、党内には慎重派(事実上の反対派)が数多くいるからです。

「でも時計を合わせるだけなんでしょ?」という誤解

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な〜んていうと、政治に関する記事のような書き出しですが、もちろん、政治や社会ネタを展開しようというわけではありません。

「サマータイムが導入されるかも?」という心配は不要だと考えていますが、一方でサマータイムを"簡単に"、"たいした経済的な損失なく"行えると思っている人が実に多いように感じます。

いや......実際に多いのかどうかは、全国的な調査をしたわけではないのでわかりません。しかし、SNS上では、意外にも"時計の針を合わせるだけでしょ? 問題ないのでは?"と思っている人の意見をたまに見かける上、ITの専門家と称する人まで"問題ない"と書いているコラムを見て、これは少しばかり意見を書いておく方がいいかな? と思い、この記事を書き始めました。

冒頭でも書いたように、国としてサマータイムを導入する合理性はなく、政治面では検討の価値もあるかもしれませんが、合理性を欠いているのに国民に負担をかけるようなことを政府がするとも思えません。自分で自分の首を絞めることになりますからね。

しかし、コンピュータがネットワークで結びつき、多様なシステムが相互接続されている中で、ごく基本的な取り決めとも言える「時間軸の整合性」を欠いても問題ないと考えている人が多いことに驚かされました。

もし、本当に強引にサマータイムが急遽導入されたらならば、インターネットやそこに接続されている端末、クラウド型サービス、IoTといった部分だけに絞っても、不具合が出たり、製品がうまく機能しなくなったり、といった問題が多発するでしょう。

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懸命な広報活動と監視を続け、たとえ大きな混乱が起きなかったとしても社会全体が支払うコストは膨大なものになります。これは、決してあなたにも無関係なことではありません。

オリンピックのために期間限定でサマータイムを導入し、よしんばそれを恒久的な措置にしたいなんて考えは、実におバカで稚拙な発想です。

将来にわたって、そんなバカげた案に振り回されないようにするためにも、自分で意見を持って叶えるべき。その結果、「サマータイムしかない」とか「サマータイムいいね!」なんて結論になる人もいれば、別に気にしないよという人もいるでしょう。

そもそもの発端を復習

......と、話が長くなってきたので、ここでいったん、現状を理解するために簡単におさらいをしておきましょう。

本稿で議題に上がっているサマータイムとは、夏の時期だけ時間軸をズラし、早めの時間帯から活動しましょうという社会的な取り決めのことです。

本来の役割は季節による日照時間の変化が大きい、高緯度の地域における制度で、日本においても10年程前に検討されましたが、導入が見送られました。簡単に言えば、導入によるメリットよりもデメリットの方が大きいからです。

しかし今回は、「東京オリンピックを成功させる」というお題目を付けての検討開始です。毎年のように暑さが厳しくなっていく中、酷暑の東京で夏のオリンピックなんて開催したら、選手がパフォーマンスを発揮できなかったり、体調不良を起こしたりといった問題はもちろん、観客側も観戦時に倒れて救急搬送されることになりかねないという懸念が出てきています。

その解決策として森喜朗元首相が提案したのが、涼しい朝の時間帯に競技を行うためにサマータイムを導入するのが良いのでは? という意見です。なんでも、2時間も時間を早めるのだとか。

オリンピック開催のためだけに、全国民の活動時間を2時間もずらしましょう。なんて提案を、国が本気で検討指示するなんて、誰が想像するでしょうか? だから「へぇ〜」程度にしか考えていなかったのです。

森元首相の妄言がニュース報道されたのは7月27日のことですから、興味を持っている方ならば、その後の大反対の声もご存知のことでしょう。

あらためて問題点を指摘するまでもないのですが、あまりにおバカすぎて、すべてのおバカポイントをおさえきれないので、ここでは重要なおバカポイントに絞って考えてみましょう。

サマータイム導入が馬鹿馬鹿しいと思う数々のこと

・競技開催時刻の変更だけならサマータイムは不要

たとえば「朝7時スタート」の競技ならば「朝5時スタート」にすれば充分です。警備やスタッフの勤務などの時間が繰り上がることで、時間外手当てなど人件費の上昇などを指摘する声もありますが、後述するサマータイム対応コストの方がはるかに大きいことは疑う余地がありません。

それにサマータイムを導入するぐらいならば、労働に関する法律を再整備し、官公庁の勤務時間を夏期に限って早めた上で、全公務員の労働条件に柔軟性を持たせればいいだけでしょう。もしそれで仕事の能率があがり、明確なエネルギー削減が行えることが実証されれば、「サマータイム的な時間の使い方」的な考え方が官公庁主導で拡がるかもしれません。

もしそれが民間企業には拡がらず、それこそ"働き方の柔軟性"を高める結果にならなかったからといって何も変わりませんし、生活への大きな影響もないでしょう。

そもそも、サマータイムで2時間繰り上げになると夕方開始予定の競技(陸上のトラック、フィールド競技などは世界陸上の例などを見ると夜開催になりそうですよね)は2時間繰り上がり、暑い時間帯からの開始となります。

もちろん、暑いなら開始時間を繰り下げて夜間の開催すればいいわけですが、それなら最初からサマータイムじゃなくていいだろう、という再帰的なツッコミを誰もが真っ先に思いつくはずです。

・最も心配なのはマルウェアの蔓延

西暦2000年問題を知らない世代の方も増えているでしょう。

昔のコンピュータは処理や記憶に使うデータ量を少しでも減らすため、西暦を下二桁で簡易的に処理していました。1995年は"95"としてしか記録していない場合があり、2000年になるとデータ上は"00"となるわけで、1900年と認識される場合があったわけです。1900年にはコンピュータは存在していなかったのだから、何の問題もないように感じられますよね?

でも本当にそうでしょうか? "00"を2000年と扱うシステムもあれば、1900年と扱うシステムもあるかもしれません。このチェックと相互の運用が正しく行われるように、世界中で膨大な作業が発生したのです。この問題は「Y2K」という名称で呼ばれていましたが、ある程度規模が大きな情報システムを持つ会社には、たいてい「Y2K対策委員会」的なものが設置されていました。

ところが、この「Y2K」問題は、そりゃぁ大変だったねぇ、というだけで話は終わりません。「Y2K対応がちゃんと行われているかどうかチェックしましょう。あなたのコンピュータには、非対応部分が残されているので早急に手当てをしてください!」と、まぁ簡単に言えばフィッシングと言われる行為が頻発し、それによってマルウェアへの感染が拡がるという事態が発生しました。

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いわゆる、Y2Kウィルスですね。若い世代の方は知らないかもしれませんが、ある程度以上の年齢の方であれば、誰もが記憶に残る出来事でした。ですが、昔のことだと笑ってはいられません。なぜなら、この手法は今回のサマータイム導入にも応用が可能ですし、こうした風評を利用したマルウェアの拡散は、単純に気をつけるだけでは対処できないからです。

そうしたリスクを冒してでもやり遂げるべき大義があるならば話は別ですが、オリンピックのためという論理は筋が悪すぎます。

・電波時計はゴミ箱行き

長波放送によって、自動的に正確な時刻に合わせてくれる電波時計。今や当たり前に使われています。我が家でも、2本の腕時計と、部屋にある5つの置き時計や掛け時計は、すべてが電波時計です。

電波時計も一応はサマータイムにも対応しています。たとえ日本でサマータイムが突如採用されたとしても、放送の中に"今はサマータイムです"と印を立てるだけで、電波時計はサマータイムであることを認識してくれます。

ところが、何時間ズラすべきか? という定義はされていません。そして、2時間ずらすサマータイムなんて過去に例がありません。そのためどんな電波時計でも、1時間しかズレないことを前提に設計されています。

つまり、既存の電波時計が夏時間の間電波を受信しても、1時間しか時間を早めてくれません。でも実際には、2時間のサマータイムシフトとなるのですから、今ある電波時計はすべて、1時間遅れた時刻に自動調整されることになるでしょう。これでは、今ある電波時計はゴミ箱行きということになってしまいます。

・サマータイムを考慮していないコンピュータシステムには膨大な改修・試験コストが

システム設計の経験がある人ならば誰もがわかっていることですが、多様なプログラムが連動したり、ネットワークを通じて連携して機能したりするかの確認作業は、ゼロから開発するのと同じぐらいに大変な作業です。

"コンピュータの時間なんて合わせれば済むこと、"そもそもプログラムは実時刻を意識して動いてなんかいない"なんていう、とっても大胆な意見を持っている方が「サマータイム導入に難はない」と、トンデモな意見を披露していましたが、絶対にそんなことはありません。世の中のコンピュータは、そのほとんどが単独では動いていないからです。

ネットワークで接続されたコンピュータの中には、いくつものソフトウェアシステムが共存しています。それらがどう情報を受け渡し、処理するのか。その取り決めや情報やり取りの手順などをチェックし、正しく動作するよう膨大な作業が必要になります。

このこととサマータイム、どういう関係があるのでしょうか?

サマータイムが導入されると、1日が22時間の日と、1日が26時間の日が、それぞれ年に1回づつ設定されますから、金利計算や給与計算などのシステムは改修が必要になるでしょう。もちろん、何らかの情報を交換しながら外部のシステムと連動しているようなシステムは要確認になります。"自分が思う正午"と"相手が思っている正午"は同じはずですが、本当に同じなのかどうか、摺り合わせる必要があります。

また、サマータイムを考慮していない機器やシステムが残る可能性を考慮する必要も出てきます。またシステムを構成するプログラムの中には、最初にプログラムコードが書かれてから時間が経過し、どのように時間概念を処理しているのか、表面上の仕様書でしかわからない(中の処理がブラックボックス化している)モジュールだってあるはずです。

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たとえば、あなたが"今日からサマータイムだ"だと知っているプログラムと考えてみましょう。もしあなたが今日から開始と知っていたとしても、伝票を交換する相手はサマータイムを知らない可能性があります。サマータイムに入ったことを知っていても、時差を1時間と勘違いしているかもしれません。あるいは時計が早く進むはずなのに、間違って遅れると思っている人もいることも、可能性としてはありますよね。

あなたは日数+時間で、期間中の時間を把握しているかもしれませんが、別の人は時間数だけを計算して、日数は1日あたり24時間という割り算で考えている人がいるかもしれないということです。

そして重要なことですが、あなたと友人の間ではサマータイムに関する認識が合っていたとしても、その友人が別の友人からもらった情報が正しいかどうか、あなたは知ることができません。

僕がエンジニアをしていたのは28〜30年ぐらい前のことですが、そんな化石のような、インターネットも介在していない厳密な管理下に置かれたシンプルなシステムでさえも、きちんとシステムが動くかどうかを確認するのは大変だと想像できます。

ましてや現代ではより複雑に情報システムが繋がり、応用範囲も業務システムから一般コンシューマ向けサービスまで混在している中で、「たいしたことじゃない」と言っている人がいるとしたら、相当に想像力が欠如した人ということになるでしょう。

・たとえ頑張って対応したとしても......

ここまで挙げてきた問題点は、いちいち考えなくとも"問題"であると直観的に想像できることですが、それをどう頑張って対処したところで、そのエネルギー、開発リソースが社会を前進させることに一ミリも貢献しないことも問題です。

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テスト、テスト、確認、確認というけれど、ほとんどは大丈夫じゃないの? と考え、「イレギュラーは年に2回なんだから、イレギュラーなケースとして個別に処理すればいいんじゃない?」といった、無茶苦茶な主張をしている記事もみかけました。

そこまで世の中の企業はおバカではないでしょうけれど、たとえ大半が問題のない実装になっていたとしても、同じように考えて対策を怠っているシステムはあるかもしれません。

"かもしれない"があるならコードを確認しなければなりませんし、システムとして機能するかの確認が必要です。現実的にどこまでテストを行うのかは要検討ですが、日本中のシステム屋さんがこの"何も生み出さない"仕組みを実現するために忙殺されることは間違いないでしょう。

また、仮にこの不毛な作業を"仕事になるから"と積極的に請け負う企業があるとして、"サマータイム特需が景気を刺激する"なんていう話をし始める人がでてくるかもしれないですね。

しかし、ただでさえエンジニアが不足している昨今、新しいアイディアを実現するために前向きに開発パワーを使うのではなく、既存システムが正しく動くか否かをひたすら確認することに社会的意義があるでしょうか? 一時的に特需があったとしても、その成果物が世の中を前進させ、新しい製品やサービスを生み出すことはないわけですから、自ずと結論は出ています。

さらに言うと、2020年夏までに導入という日程を考えると、今すぐに対応の検討を開始しなければ間に合わないでしょう。2019年5月には和暦の元号が変わり、同じ年の10月には消費税が10%に上がります。2020年東京オリンピック前にサマータイム対応システムにするならば、これらと並行してシステム改修を進める必要があります。

【結論】サマータイムは導入できない

もう少し、スマホやガジェット寄りの話もしましょう。

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パソコンやスマートフォンの場合、時刻の自動修正およびタイムゾーンの自動設定がオンになっていれば、おそらくは大きな問題は起きないのではと予想します(厳密にはわかりません)。ただ、すべての端末がインターネットや携帯電話ネットワークから日時、あるいはタイムゾーンが取得できるように設定されている保証はありません。

また、すでにメンテナンスが終わっている、すなわちOSの更新が提供されていないスマートフォンは、サマータイムに対応できない可能性が高いでしょう。もしかすると、アップルのように自社向け製品のOSや、マイクロソフトWindowsのように幅広いシステムにインフラを提供している場合は、メンテナンスが終わった製品にも特別措置的に修正が行われるかもしれません。

しかし、Androidを採用したスマートフォンの場合は、端末メーカーが個別に端末ごとにカスタマイズを施して開発を行っていますし、Google Playが使える端末としてリリースするにはCTSという認証試験を通さねばなりません。これを過去に遡って提供するには、コスト面からみても時間の面からみても無理があります。

たとえある程度の範囲において、過去の製品もアップデートするとして、その費用は誰が負担するのでしょう?

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100歩譲って、そんな古い端末なんて使わないよと割切る、問題があれば時刻とタイムゾーンの自動設定を行えばいいとした場合。そこそこ根付いてきている中古市場などでは、端末の価格がかなり荒れるかもしれませんね。新製品の場合でも、海外からのローミング時に外国客のスマートフォンが対応できていない、ということがあるかもしれません。

さらに問題となるのは、さまざまなIoT機器の動作です。

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IoT機器内の時間軸と、連動する端末やクラウドサービスの時間軸は、正しく処理されるのかどうか、まったくもってわかりません。もちろん、日本のサマータイム導入に合わせてアップデートをしてくれる製品なら問題ないでしょうが、ファームウェア更新が放棄された古い製品や、日本の代理店がなくなった製品なんてものがあるとしたら、それらは誤動作する可能性があります(もちろん、正しく動くよう設計されている場合もあるでしょう)。

さて、どうでしょう? サマータイム。そもそも導入なんてできると思いますか?

僕は睡眠や生活リズムに関する研究を取材したことはありませんが、健康被害や仕事の能率を下げる懸念もあると言われています。実際、サマータイムが導入されている国では、たった1時間の時差でも健康被害が確認されているケースがあるそうです。身体のリズムが狂い、能率が落ちるという研究結果もあります。

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それにも関わらず、2時間もズラそうなんて案(あくまで案ですが)が現実的とは思えません。よしんば、それが国家的な戦略ならば話はわかりますが。

たとえば、サマータイム導入で会社終業後の時間的余裕が生まれ、人々が活動的になって消費が増え、第三次産業が中心となっている我が国の産業構造を考えるに内需拡大が期待できる......あれ? そういえばプレミアムフライデーって機能していましたっけ?

ともあれ、少なくとも全国民の健康を賭けてまで導入する意味はありませんよね。もし強行したならば、きっと100年後にまで語られるような愚かな政策を実施した政府として、名を残すことになるでしょう。

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