1616本の注射器と虹色の赤ちゃん。不妊治療の喜び、苦しみを伝える写真に反響

写真を見た女性たちが、自分の経験もシェアしてくれた

不妊治療の苦しみと、新しい家族を授かった喜び。両方をうつした赤ちゃんの写真が、話題になっています。

写真を撮影したのはアメリカ・アリゾナ州に住む、写真家のサマンサ・パッカーさん。自身のFacebook「パッカー・ファミリー・フォトグラフィー」で、パトリシア・オニールさんとキンバリー・オニールさんの娘、ロンドンちゃんの写真をシェアしました。

レインボーカラーの布で包まれたロンドンちゃんは、1616本の注射器で作ったハートの中で眠っています。

注射器は、パトリシアさんが4年間の体外受精で使ったもの。パッカーさんはこう綴っています。

「こんな写真を撮ってくださいと頼まれたのは初めてです!すごく光栄でした。特別な撮影にしたかった!

ママから『4年間、7回挑戦して、3回流産し、1616本の注射をした』と教えてもらいました。気に入ったらシェアしてください。だけどダウンロードして再投稿はしないでくださいね」

写真は、現時点で9万いいね!6万6000シェアされ、たくさんのお祝いコメントや感動したという感想が寄せられています。

「体外受精に使った注射器と一緒に撮影して欲しい、注射器のアレンジの仕方は任せる」というのが両親の要望だったと、パッカーさんはハフポストUS版に話してくれました。

「彼らの体外受精の道のりについて、全て知っているわけではありません。だけど、ロンドンちゃんが生まれる前に、赤ちゃんを失ったことは知っていました。以前、別の妊娠の時に、撮影の問い合わせをもらったから」

「だからハートを描こうと決めました。可愛い赤ちゃんと出会えるまでの長かった道のり、そこで感じてきた痛みを通して、愛を伝えたかった」

体外受精を始めた時、二人はまさか4年も続くことになるとは思わなかったそうです。

しかしパトリシアさんは2016年に2回、2017年に1回流産。その後、パトリシアさんに血液凝固機能異常があるとわかり、普通の体外受精の注射に加えて、抗凝血薬の注射を1日2回打つことになりました。パートナーのキンバリーさんは、パトリシアさんが使った全ての注射器をとっておいたそうです。

ようやく赤ちゃんと出会えた二人のママたち。注射器を使ったアレンジを見たとき、二人の目は涙で溢れました。

「並べられた注射器を見て、胸がいっぱいになりました。『ああ、私はやり遂げたんだ、これをやり抜いたんだ』と思いました」と、パトリシアさんはPeople誌に話しています。

「(注射器は)私たちの長い道のりの象徴として、ぴったりのものでした。体外受精はタブーなトピックであるにも関わらず、写真を見た女性たちが自分の経験もシェアしてくれたんです。『やり抜くための希望を持てた』と言ってくれた人もいて、嬉しかった。体外受精をしているときは、希望が必要なんです」

注射器を並べるのに、パッカーさんは1時間以上費やしたそうです。「ハートの形を作った段階でまだ5袋残っていたので、残りでハートを囲みました。ママは全部使い切らなくても大丈夫、と言ってくれましたが、二人が辿ってきた道のりを、忠実に伝えるために、全ての注射器を写真に入れたいと思いました」

両親と同じように、パッカーさんもまた写真に対する大きな反響に心を動かされたといいます。

「写真にはすごく大きな反響がありました。たくさんの女性たちに、体外受精を続けるための希望をもらえたと言ってもらえて、胸がいっぱいになりました。体外受精に苦しんでいる人に、希望を感じてもらえたら嬉しい。そして不妊治療に苦しんでいない人には、(不妊治療を受けている人への)思いやりや理解を感じてもらえたら嬉しいです」

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。