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2018年08月31日 17時37分 JST | 更新 2018年08月31日 17時54分 JST

"ゴミ屋敷"報道に小籔千豊が苦言 「面白がっているだけでは良くない」

専門家「強制撤去が終わりではない」

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 横須賀市の住宅街に集まったゴミ収集車。「ただ今から行政代執行開始宣言を行う。行政代執行を実施し、敷地内、屋外、ベランダ、共有地に堆積している堆積物の撤去、処分作業に着手する」。古谷久乃・市福祉総務課長の宣告とともに、いわゆる"ゴミ屋敷"からのゴミの強制撤去が始まった。

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 行政代執行が行われている間は、住人でも許可なく敷地には入ることはできない。撤去にかかった費用60万円は、住人に請求されるという。この事態に各局のワイドショーや報道番組も注目、この模様は中継も交えて大々的に伝えられた。

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 全国の自治体が次々に条例を制定するほどの社会問題になっているゴミ屋敷。一軒家だけではなく、大型マンションの約1割がゴミ屋敷になっているというデータもある。28日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、「あくまでも行政代執行は対症療法に過ぎない」という指摘もあるゴミ屋敷問題と、その報道のあり方について議論した。

■小籔千豊「面白がっているだけの報道は良くない」

 横須賀市によると、この住宅では3年ほど前からゴミが溜まり始め、近隣住民から臭いについての苦情などが寄せられてきたという。「晩秋も深まった時点で、マスクなしでは外で作業ができなかった。食べ物の腐ったような臭だった」「ネズミの駆除の業者に来ていただいた。100匹以上いたと思う。うちの方にも3、4匹来ていた」(近所の人)。さらに通勤や通学に使う道路にまでゴミが溢れたため、去年11月には市の職員が撤去に乗り出したが、ゴミ屋敷の住人は「一時的に置いてあるだけ」と作業を妨害したという。

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 そして今年4月、いわゆる"ゴミ屋敷条例"が施行され、行政代執行により市が強制的にごみを撤去することが可能になった。改めて現地調査を行った市は、近隣の生活環境が損なわれていると判断。住人に対し保健師による福祉支援を行いながら、ゴミの撤去をはじめとした生活環境の改善を繰り返し求めた。さらに神奈川県で初めてとなる、氏名と住所を市のホームページで公表するという強硬手段にも打って出た。それでも改善が見られなかったため、ついに市は書面で伝えた上で強制撤去に踏み切った。

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 一連の報道について、よしもと新喜劇の小籔千豊は「面白がっているだけの報道は良くないのではないか。確かにこの住人は周りに迷惑をかけているが、ちゃんと真面目にできる人の発想だけで責めてはいないか」と、マスメディアが興味本位で取り上げることに苦言を呈する。

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 100円家事代行サービスを展開する、株式会社「御用聞き」の古市盛久社長は、ゴミ屋敷の清掃業務も行ってきた。「事情は人それぞれで、片付ける動機がないという方、天井までゴミで埋まっていても"どこにゴミがあるの"という方もいる。コミュニティの変化、住まいの変化、経済状況の変化など、その人の人生が絡まっている。いかに歴史を紐解いて、共感してあげられるか。心をスッキリさせ、生活習慣をどう変化させていくかが一つのカギで、そこまで踏み込まなければ根本的な解決にはならない。また、家の中の物に触れなくて、手術で使うような手袋をしながら生活をしていた20代女性の片付けを手伝ったこともある。全てのケースを病気に当てはめてしまうのは危険だが、専門家のところに行ったり、カウンセリングを受けたりするのも手段の一つだと思う」。

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 臨床心理士の藤井靖氏は「計画を立てるのが苦手なADHDの傾向のある人、孤独な人、潔癖な人がゴミ屋敷になりやすい。心のどこかではこの状態は正しくないという問題意識を思っている。行政代執行を受けた場合、自分の心情が理解されないなど、ネガティブに捉えることもあるため、心のケアが必要」と話す。

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 藤井氏が関わった50代男性の場合、10年前に妻を亡くし一人暮らしをしていたという。仕事は日雇い労働で人間関係は希薄、うつ状態が続いていたという。日々の行動を分析し、地域の社会人サークルに参加した結果、人間関係が形成され、自主的にゴミを片付けるようになったのだという。

■家事代行業者「強制撤去はゴールではなくて途中経過」

 今回の行政代執行で撤去されたゴミはトラック3台分に及んだ。しかし、行政代執行で強制撤去できるのは家の外だけ。古谷福祉総務課長は「ご本人が家の中にゴミを移動させてしまったようなので、それを外に出して堆積する恐れがある。パトロールを頻繁に行いながら、溜めないようにお願いしていく」と説明。近所の住民が「1か月もすれば、またゴミでいっぱいになるんじゃないかと思う」と危惧するように、行政の限界も伺わせた。

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 古市氏は「報道によって社会課題としてフォーカスされることには価値がある。ただ、強制撤去はゴールではなくて途中経過。この後も住人や地域の人たちが一緒に住み続けることを考えると、誰がどうケアするのかもセットで考えないと危険だ。これをきっかけに健全な議論が共に起こるよう、私たちも行動していきたい」と話す。

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 慶應義塾大学の若新雄純・特任准教授は「ゴミを出しているという意味ではみんな一緒。それをゴミ捨て場に持っていけるかどうかの違いだけなのに、ヤバいものを生み出している人、という印象になってしまう。大家族が当たり前で、地域の助け合いがあった時代から、独身で孤立している人が珍しくない時代になった。誰もがゴミを出す以上、スピード違反のように、誰もが同じような状況になる可能性があるということを認識する必要がある。ゴミ屋敷には現代社会が抱えている問題が表れていると思う」と指摘。

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 テレビ朝日の小松靖アナウンサーは「しかし、それを情報番組は取り上げない。テレビというのはそういうメディアだし、人はそういうところばかり見たいという、非常に即物的な面がある。最後までケアして初めて、私たちは社会問題を提起する資格があると思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

(2018年8月29日 AbemaNews『「面白がっているよう」「強制撤去が終わりではない」テレビの"ゴミ屋敷報道"に苦言』より転載)

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