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2018年09月05日 09時45分 JST | 更新 2018年09月05日 09時53分 JST

「辺野古移設には反対だが、話しづらい」「あえて経済を選んだ」沖縄の若者たちの本音とは?

「若者は新聞を読まないから容認派に投票したというわけではなく、基地なのか経済なのかという選択肢の中で経済を選んだのかなと思う」

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 沖縄県知事選を控え、民意の行方に注目が集まった今年2月の名護市長選挙。琉球新報が実施した出口調査によれば、普天間基地の辺野古移設について「反対」「どちらかといえば反対」が60%以上と、反対の立場を取る民意の根強さが読み取れた。しかし選挙結果は新基地建設への反対を主張していた現職の稲嶺市長が敗れるという結果になった。

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 この出口調査を年代別で見てみると、若い世代の中には「基地があることは当たり前で、人々の生活がそれによって成り立っている」という空気があるようにも見える。3日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんな沖縄の若者たちに話を聞いた。

■「安倍さんを描いたビラに引いた」

 「気持ちでは反対だが、諦めたくなるというか。でも諦めたら自然も失われてしまう」。

 沖縄国際大学に通う知花あかりさん(20)が普天間基地移設問題を考えるきっかけになったのは高校3年生の時だった。友人と2人、興味本位で反対運動に参加した。そこで感じたのは、抗議活動への違和感だった。「一緒に歌も歌ったけど、違和感もあった。反対の意見にも多様性があるはずなのに、それを主張するんじゃないし、抗議の仕方も合わないというか。配っていたビラも、安倍さんの顔とミサイルを描いて、"安倍政権は死ね"みたいな、過激な言葉もあって...。正直、引きました。若い人に向けて配るのであれば、それに合わせてほしいと思った」。

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 そんな疑問を抱きつつも、辺野古の海の美しさを目の当たりにし、基地建設反対の思いは一貫している。「日本に復帰するまでの間、日本でもアメリカでもないという状況が続いて、沖縄の誇りを持たないと生きていけなかったという話を聞いたことがあった。そういう人たちの意見をないがしろにして無理やり建設を進めたり、お金で解決したりしようとするのは違うと思ったし、辺野古に移設してもすぐ返還してくれるのか疑問だ」。

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 しかしこうした考えは、沖縄の若者の間でも決してメジャーではないといい、むしろ議論すら避けようとする空気があるのだという。「親が米軍基地で働いている人に向かって"反対"とは言いづらい。みんなそれをわかっているからこそ、反対・賛成に関わらず、話をすること自体タブーみたいな雰囲気がある。私も反対運動をすることで"過激な子なんじゃないの?"って見方をされるのが怖くて、こっそり行かないといけない。反対運動をしている人たちが悪いわけじゃないけど、無関心な人も多いし、自分が関わっても状況はあまり変わらないんじゃないかなという気持ちもある」。

■「若者はあえて経済を選んだのではないか」

 沖縄で生まれ育ち、現在は慶應大学に在学中の仲村颯悟さん(22)は、19歳の時に制作した映画『人魚に会える日。』で、政治には無関心な女子高校生の視点で基地問題を描いた。「大学に進学するために関東にやってきて暮らしていたが、"沖縄と言えば楽園、リゾートでいいところ"みたいな反応しかなかったことに、違和感を覚えた。沖縄に対する考え方、捉え方が東京の人とは違うと感じた」。

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 仲村さんが伝えようとしたのは、"飾られた沖縄"ではなく、"沖縄の日常"だった。「基地のせいで島中が真っ二つになってかわいそうさ」「沖縄から基地をなくすことは絶対無理だし、なくなってほしくない。アメリカ人が居なくなるとか寂しすぎるし」。作中のセリフは、仲村さんたちが高校生のころに話していた内容をそのまま再現した。

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 「沖縄の世代間ギャップは大きい。おじいちゃん、おばあちゃん世代は戦争を経験しているし、基地は絶対反対。本土復帰を経験したお父さん、お母さん世代は"本土並み"という気分の高まりや、その前後の事件・事故を見聞きした。そして僕らは生まれた時から基地があり、事件・事故もあったが、近所に住んでいる米兵と仲良くバスケットボールをするような交流もあった。そこで辺野古の問題をどうしますかと問われた時に、"この問題を引きずるのか?経済を良くして、豊かに暮らせるような沖縄を子どもたちに見せたい"と思うのではないか。辺野古の問題に関心がないわけではないし、おそらく多くの若者は沖縄の新聞のアカウントをチェックしていると思う。若者は新聞を読まないから容認派に投票したというわけではなく、基地なのか経済なのかという選択肢の中で経済を選んだのかなと思う」。

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■出口調査の通りには投票していない?

 ジャーナリストの津田大介氏は「アメリカンビレッジなどの開発が成功して、特に南部は返還してもらった方がうまくいくんじゃないかと自信がついた人もいる。経済的に基地がないとやっていけないと言われていたのが、基地依存率は5%くらいに下がった。鳩山さんの"最低でも県外"発言で大混乱に陥ったのは最悪だったが、それでも安倍政権以前の政権は心を砕いてくれたり、動いてくれた人もいた。それが安倍政権になってからは全く沖縄のことを顧みることがなくなった。今までの自民党とも変わってしまったと思う。基地反対といっても、イデオロギーだけではない」と指摘する。

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 「ただ、現場で取材をしていると、安倍批判をしたいがために運動に参加する沖縄県民は、はっきり言って嫌われているし、自分たちの政治的主張をするだけなら帰ってくれ、という軋轢もする。それでもあえてそういう人をも取り込んで運動を大きくするという考え方もある。翁長知事は雑誌のインタビューで"県外の左翼が来て応援してくれることをどう思うのか"という青木理さんの質問に"大歓迎だ"と答えている。つまり、日本国民全員に当事者意識を持って基地問題を考えて欲しいので、そういう人たちもウェルカムだ、ということ。そこが翁長さんが普通の基地反対政治家とは違ったというところだと思う」。

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 「安倍政権への嫌悪感、という話があるが、民主党時代の方が嫌悪感はあったと思う」と話すのは、元防衛大臣で拓殖大学総長の森本敏氏。「沖縄の皆さんが基地問題について率直に口を開きにくい最大の理由は、歴史体験だと思う。沖縄戦で親族を失い、苦しい思いをしながら戦後を過ごした世代に配慮すれば、簡単に基地に賛成とは言いにくいはずだ。これは本土にはない、沖縄の特殊な状況だと思う。それでも徐々に代替わりし、基地が返還されてアメリカンビレッジができ、基地経済から離脱し、発展していく沖縄の様子を見ているうちに、"こだわることはない"と考える若い人が少しずつ増えてきたのだろう。ただ、おじいさん、おばあさんのいる家庭ではそんなことはなかなか言えない。そういう中で若い人たちも苦労しているんだと思う。だから人に聞かれた通り、出口調査の通りには投票していないのだろう」と指摘した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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