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2018年09月14日 09時50分 JST | 更新 2018年09月14日 09時50分 JST

平壌の若者たちと交流した大学生「演技じゃないなと感じた」「これも北朝鮮の側面だと思った」

「歴史認識には違うものはあったが、そこも深く議論ができた」

「自分の価値観が揺さぶられるような現場だった。思った以上に自由に撮影ができる状況だった」。

 JVC(日本国際ボランティアセンター)が中心となり、日朝双方の学生や子どもによる交流を続けてきたことを知った堀潤氏が先月、平壌を訪問する日本の学生たちに同行し、その模様を撮影。12日放送のAbemaTV『AbemaPrime』で公開した。

 今回訪朝したのは、実行委員会の職員と、事業を知って自ら応募したという大学生6人。滞在期間は8日間で、国交がない北朝鮮には中国・北京から空路で入る。約1時間半のフライトを終え、平壌国際空港では北朝鮮の学生たちの出迎えを受けた。全員が日本語を話すことができ、「発音しにくいんですけれども、チョー・ミョンシムと申します。チョーでいいです」と流暢に自己紹介をした。チョーさんは、日本語の勉強の際に使ったというジブリ映画の主題歌を驚くほど上手に披露してくれた。

 平壌外国語大学では、日本語を専攻している学生たちとの交流の時間が設けられた。たどたどしくも、皆会話するのには問題ないほどの日本語力を持っていて、核開発や拉致、経済制裁についても議論が交わされた。ある北朝鮮学生は「日本と言ったら朝鮮を統制して、植民地にした国なので、私は日本語を習って、それに対する賠償をもらいたい。2番目の理由は、私たちの国の隣国ですから学びたい」「一言でいえば朝日関係をもっと新しくしたい」と話した。

 日本から参加した大学生の仙道洸さんさんが「その気持ちはみんな一緒だね。僕たちが来た理由も、近い国だけど、国交がなくなかなか会えないから。難しい国際情勢が絡んでくるけど、人と人の関係が国と国との関係につながると思う」と話すと、 北朝鮮の学生も頷いていた。

 また大学1年生の田尾紗衣さんが「金正恩さん嫌だなとか他の人がいいと思ったことはないか」と聞くと「とんでもない。敬愛する元帥様を心から尊敬しているので他の人がいいとは考えたことはない」と返ってきた。「向こうには不敬罪があるからなのかなと。その答えは一貫して国民全体で決まっているのかなという感じがした」。

 それでも仙道さんたちは、学生たちのこうした言動に、「言わされている」「本当の姿ではない」といった疑念を抱くことは無かったと口を揃える。「実際に話していると、言葉とか表情から温かみというか、ちゃんとしゃべっているな、演技じゃないな、というのが分かる。そういうものを現地で感じられた。歴史認識には違うものはあったが、そこも深く議論ができた」(仙道さん)。

 堀氏も「センシティブな話になった途端に打ち切られる、といったことも無かった。核の問題にしても拉致の問題にしても、ビールを飲みながらの大人同士の議論では"あなたは外国人だから許すが、そんなに簡単に言って欲しくない"と口論になりかけた。でも"私たちは聞かれたことは話したい"、と。"拉致の話は正直驚きました。私たちとしてはできることはやったつもり"と見解を述べていた」と振り返る。

 一行は、金正恩委員長の肝いりで建設が始まり、約1年の短期間で完成した街だ。タワーマンションが立ち並び、平壌の新たなシンボルに位置付けられている「黎明通り」や、教員養成大学で行われていたVRを使った授業の研究の様子なども見学した。

 田尾さんは「私は北朝鮮の人たちについて、暗い顔をしてて、いつも何かをやらされていて、ギリギリの生活を送っていると思っていた。でも、少なくとも平壌は違っていた。楽しくバドミントンをやっている人や、自転車に乗っている人、露天のかき氷を食べている人もいた。思っていた以上に普通の生活をしていたのが驚きだった。北朝鮮側の人は、平壌と地方の格差は確実にある説明していて、まず平壌でモデルを作って、それを地方に広げていきたいと話していた。脱北者の方がメディアで話している北朝鮮の姿と、自分が見た北朝鮮の姿の違いに悩んだが、両方とも本物の北朝鮮だと思う」と話す。

 堀氏は「"堀さんは平壌の一部のショーケースだけを見て帰ってきている。プロバガンダだ"と批判する人もいる。北朝鮮側もそのことはよく認識しているし、実際に"平壌は特別だ"と言っていた。そうした地方との格差を埋めるための教育にも取り組んでいたし、そういう最新情勢を知らないままの外交交渉は見誤ると思う」と話す。

 「与党のある政治家は"舞台裏では外務省も一生懸命やってるし、独自のルートでやってるって言うんだよ"と自信ありげに語っていたが、今回の映像を見せたら"こんなになっているのか。正直情報がないんだよな。やっぱり向こうに連絡事務所でもあって日々見とかないとな"と本音を漏らしていた。自民党総裁選で石破さんが平壌に連絡事務所を作るということを掲げているが、やはり雑談レベルで普段からやっている状況があればこそ、色んな交渉ができるのではないかと感じた。また、訪朝の報告会を開いたとき、特定失踪者のご親族の方が最前列で一生懸命メモを取りながら聞いていた。"日本政府の皆さんと話をしていても、本当にどこまで調査して、向こうの情報を持っているのか不信感を抱いていた。でも、こうやって現場に入ってコミュニケーションをとり続ける人たちがいるんだということを知ってちょっと安心した"と話してくれた。"北朝鮮の都合のいい話だけなんじゃないか"と言われるが、そうしたベースさえない状態では前に進めない」と訴えていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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