アート&カルチャー
2018年10月02日 12時40分 JST | 更新 2018年10月05日 11時13分 JST

水曜日のカンパネラ・コムアイが絶賛、日本人若手デザイナーが作る驚きのドレス

「ファッションというのは人間像をつくるもの。実際に生きている人間の今を見せる」

(この記事は2018年8月30日放送のけやきヒルズ 「水曜日のカンパネラ」コムアイが注目デザイナーを特集!AbemaNewsチャンネルを元にしたものです)


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若者に大人気の音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」のコムアイがミュージックビデオで着た衣装を手がけ、一流アーティスト・ビョークが注目するある若手女性ファッションデザイナーがいる。AbemaTV『けやきヒルズ』では、世界を驚かせた彼女のデザインの秘密に迫った。

 都内にあるアトリエで、真っ黒な衣装で現れたのは津野青嵐(つの・せいらん)さん、27歳。祖母と母が住んでいる家のリビング部分を借りて、アトリエにしているという。アトリエには鮮やかな色彩のドレスがあるが、これらの作品は通常服に用いられない素材で作られている。

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 「3Dペンという、3Dプリンターを手作業でできるような機械があって、それで地道に作っています。今年の2月からなんですけど、2月にはまだ何もできてなくて、3Dペン自体も発見していなかった」

 わずか半年前から制作を始めたという津野さん。その素材には、主におもちゃとして使われる、プラスチックの樹脂などを溶かし立体的な構造物を作る「3Dペン」が使われていた。1本1本線を引かなければならないため、ドレス1着を仕上げるには数人の協力を得ても1週間。一体、なぜこのようなドレスを作ろうと思ったのか?

 「手でできるし、すごい可能性があるなと。もっと大きく大きく作ったら『どんな迫力になるだろう?』とか想像しながら造形を作ってみたら、不思議な感覚のものができた。見たことないような、プラスチックだけど透明にも見えるし、服もやってみたらできるんじゃないかと思ったのがきっかけです」

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 制作を始めてわずか4カ月の今年6月。イタリアで行われた一流デザイナーの登竜門、「ITS」というファッションコンテストに出品され、日本人ではたった1人のファイナリストに選ばれた。

 日本の一流アーティストも津野さんのドレスに注目している。独特な世界観で若者を魅了する、「水曜日のカンパネラ」のボーカル・コムアイ。「かぐや姫」という曲で、津野さんが制作した作品を身につけてミュージックビデオを撮影した。コムアイが津野さんの作品と出会ったきっかけはInstagramだという。

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 「インスタで見てフォローしていた。『PVやるんですけど貸してください』ってDM(ダイレクトメール)して、『わかりました』みたいな感じで。かぐや姫って竹の中に入って登場するけど、どこから来たのかというのは謎じゃないですか。どこから来たんだろうな?という衣装を探していて、津野さんのこの衣装は森にも馴染む。使っているのが3Dペンで、素材が樹脂なので、少し宇宙とかSFとか未来を感じるような素材ですごくバランスが良い。色は蛍光ぽい色でバキッとしていて、形は有機的というところですごく気に入ってお願いしました」

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 津野さんは自身の作品をネックレスと呼んでいる。「体から離脱して見えるネックレスみたいな服。自分の魂は体から抜けてうつろいゆくもの、日本人の魂っていうものに対する捉え方を形にできたら」と話す津野さん。幼少期の頃からもの作りが大好きだったというが、デザイナーを夢見ながらも高校卒業後は看護師の道へ。

 「当時はもっと太っていて120キロくらいあったんですけど、それをメイクでカッコよく見えるように研究した。見たことがないことがやりたい、負けたくないと思っていた。こういうのは美術教育を受けている人がやるから」

 とにかく負けたくない一心で、渋谷の街へと繰り出した津野さん。看護師になってからもデザイナーへの道を諦めることはできず、「ヘッドピース」と呼ばれる頭飾りのデザイナーとの2足のわらじを履くことに。

 「いずれはつくる方の道で自分のことを世界中に広めたい」――その夢を実現するため、津野さんは看護師として働きながら「coconogacco(ここのがっこう)」というファッションデザイナーが集う学校へ。そこで大切なことを学んだという。

 「ファッションというのは人間像をつくるもの。実際に生きている人間の今を見せる」

 既にあるものではなく、自分にしか作れない"今"を表現したい。そこで生み出したのが、3Dペンで作ったドレスだった。

 つい最近、津野さんは看護師を辞め、デザイナー一本で勝負をかけることに決めた。

 「いままでに見てきた装いという範疇を飛び越えて、全く人が見たことないようなビジュアルをつくっていく。それと同時に、世界中の人がそれを見て感動して、どこかで癒しみたいなものが出たらというのが目標ですね」

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 取材した徳永有美キャスターは、津野さんと話した印象について「『負けたくない』とか『勝ちたい』とか、泥臭いことをもの凄く強く言う。と同時に、人が全くやったことのない、思いつかないことをやってやるんだという気概・パワーに満ちあふれていた。その発信力の強さが最高にかっこいい」とコメント。津野さんの「体から離脱して見えるネックレスみたいな服」については、「このドレスはネックレスのように首の後ろ1つでつながっていて、新しいことに挑戦しながらも、そこには『うつろいゆく魂を形にする』という彼女の意思がはっきり存在している。そこが強みだと思う」と絶賛した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

Abemaビデオ▶津野青嵐さんへのインタビュー映像はこちら