風疹患者1100人、昨年の12倍に 職場で集団接種も
関東を中心に風疹の流行が続いている。今年に入ってからの患者数は1103人となり、昨年1年間の約12倍に上る。患者の中心は30~50代男性だ。時間のない働き盛り世代のため、職場で集団予防接種をする企業も出ている。
患者が増え始めたのは7月下旬。直近では5週連続で100人超の患者が出た。特に多いのが東京、千葉、神奈川、埼玉など首都圏。そのほか愛知や大阪、広島、福岡などでも患者が発生。今年、風疹患者が出ていないのは、7日までの報告で、佐賀や長崎など九州を中心に7県のみだ。
風疹はウイルス性の感染症で、くしゃみやせきなどのしぶきでうつる。潜伏期間は2~3週間。発熱や発疹、リンパ節の腫れが主な症状だ。発疹がでる1週間前から、人に感染する。妊娠初期の女性がかかると、赤ちゃんに難聴や心疾患などの障害が出るおそれがある。1万6千人超の患者が出た2012~13年の大流行では、45人の赤ちゃんに障害が出て、うち11人が亡くなった。発熱などの症状を和らげる対症療法以外に治療法はなく、ワクチンで感染を防ぐほかない。
ワクチンは1回接種だけでは免疫がつかない人が5%いる。2回接種でより高い効果が得られる。接種歴が不明で、抗体検査の時間がない場合も、免疫がすでにある人が再度接種しても副反応などの問題はない。子どもの頃の接種歴は母子手帳に書いてある。大人になったら自分で保管することが大切だ。
また妊娠中は予防接種が受けられないので、女性は妊娠の2カ月前までに済ませておく必要がある。
今年の風疹患者の約7割は、働き盛りの30~50代男性だ。この世代は予防接種の制度変更の影響で、抗体保有率が低い。13年の流行時は20~60歳の患者のうち、男性の7割弱、女性の4割弱が職場で感染した。
社内での感染を防ぎ、従業員やその家族の健康を守ろうと、ロート製薬は全従業員約1700人を対象に、希望者に無料で予防接種を始めた。
(朝日新聞デジタル 2018年10月21日 07時32分)