「丸三角シカク」とは何者か? 謎の“超普通系”バーチャルYouTuberにインタビュー

P-MODELを彷彿とさせる「天空処女」から、ヒップホップ風の「○△□」まで
丸三角シカク
丸三角シカク
Twitter/kakushika_v

YouTube上で架空のキャラクターを演じる「バーチャルYouTuber」が大流行しているが、そんな中でも飛びきりの個性派が登場した。

その名は「丸三角シカク」。「普通も普通、とにかく普通、骨の髄まで普通」と主張しているセーラー服姿の少女だが、デビュー曲の「天空処女」は往年のP-MODELを彷彿とさせるテクノポップ、2番目に発表した「○△□」はヒップホップ風。

作詞・作曲も手がけて、歌って踊れる「バーチャルYouTuber」という特異な存在だ。楽曲の奇妙な中毒性にハマる人が続出している。

10月7日の投稿開始からまだ2週間程度だが、一部のネットユーザーにカルト的な人気を集め始めている。ハフポスト日本版では、丸三角シカクさんにインタビューした。

■カスタムキャストで「これなら私でも出来る!」

—バーチャルYouTuberとしての活動を始めたきっかけは何ですか?

キズナアイさんミライアカリさんなどが台頭し始めた当初から、バーチャルYouTuberには興味があったのですが、決め手になったのはミソシタさんの登場ですね。私はもともと以前から同人音楽家として活動しているので、創作家の情熱を奮い立たせるようなミソシタさんの楽曲やスタンスを目の当たりにして「私も後に続きたい!」と思うようになりました。

ただ私はVRや立派なPCを持っていなかったのでなかなか実行に移せなかったのですが、スマホで簡単に3Dキャラクターが作れる「カスタムキャスト」というアプリが流行り出したのを知って「これなら私でも出来る!」と。

— 「丸三角シカク」という名前の由来は?

この名前は、私が私(丸三角シカク)として活動する以前から、色んな創作物で使っていた名前です。ゲームのキャラクターだったり、小説の登場人物だったり。名前自体に深い意味はありませんが、お気に入りなんです。

— 「普通系」バーチャルYouTuberを名乗っている割には、趣味が個性的なのはなぜですか?

カスタムキャストをインストールしてとりあえず私の身体が生まれた時、自分の趣味を惜しみなく注ぎ込んだつもりのこの身体が、バーチャルYouTuberとしてデビューするにしては余りにもインパクトが無い事に悩んでたんです。だったらいっそのこと、「普通」という個性を掲げて参入してやろうと思い、このコンセプトが決まりました。

ただ、動画や創作物では自分の好きな物から外れたものを送り出すことはしたくなかったので、少しだけメインストリームから外れたものになってるかもしれない、という事ですかね。正直あまり意識してなかったです...笑

でも私の音楽の趣味なんかを見て「まぁ、普通だな。」って思える感覚の人も沢山いらっしゃると思うので、実際はどうなのかは分かりません。

— 平沢進さんの音楽のどんなところが好きですか?

平沢音楽の良さは「美しさ」と「遊び心」がどちらも高密度で共存しているところだと思います。

クラシカルなサウンドにテクノのリズムを合わせたり、楽曲構成はロックンロールなのに荘厳な雰囲気を持っていたり、意味不明な歌詞でも日本語の持つリズムの面白さを強調していたり...私達が思い付きもしないようなアイデアを平然とやってのけた上で飄々としているところに、憧れてしまいますね!

— 「天空処女」はP-MODELや、平沢進さんの影響が強く見られる曲ですが、どんなコンセプトで作りましたか?

天空処女は、友人との他愛もない談笑がキッカケで、歌詞から先に生まれた曲です。女の子が初めて出すオリジナル曲にしてはタイトルが際どいのは、私(丸三角シカク)が歌うことが後から決まったからですね。

ここで歌われる「天空」という言葉は、「自意識や自己肯定感が著しく高く、半ば暴走している人や、その様」を指します。要するに自分や自分の創作物に酔いまくっている人ですね。

先述の談笑の中で「私達はもはや天空だよね笑」といった形で誕生しました。実は私もなかなかの"天空"なので、それにまつわる失敗談が沢山あるのですが、天空処女の歌詞はその1つを元に書いたものです。

サウンドが完全にP-MODELになってしまったのは、こういった経緯があったので何も考えず自分の趣味をブチ込んでしまったからです笑

平沢進ファンの方々からも予想外の反響を頂いてて、驚いています。

— 「○△□」は打って変わってヒップホップ系の曲ですが、これを作った理由は?

これは、私のオリジナル曲としてちゃんと作りました!笑

私は最近ヒップホップにかなりハマってて、「○△□」を作る直前も日本のヒップホップばかり聴いてました。ヒップホップって、自分の事を歌ってる曲が多いんです。「俺はここから絶対成り上がる」とか「俺はスーパースター。金の雨を降らすぜ」みたいな。

私は、次の曲は自分の名刺代わりに出来ると同時に「バーチャル」っていう自分達の居場所を讃えるアンセムのような曲を作りたいという気持ちがあったので、そういったメッセージを打ち出すにはヒップホップが最適だと思ったんです。

あとはやはり、前作「天空処女」とのギャップというものは意識しました。私は「音楽系バーチャルYouTuber」という肩書きを付けていないので、音楽にそこまで情熱的ではない人も楽しめる楽曲を作りたいという思いがありました。

— なんでセーラー服を着てるんですか?

バーチャルYouTuberとして活動する以前の創作物に登場する私(丸三角シカク)は、丸メガネを掛け、変な文言が書いてあるダサTシャツにデニムパンツという出で立ちでした。

ただカスタムキャストにはそういった服やアクセサリは実装されていなかったので、「じゃあ制服がいいな」と思って制服にしました。

赤い制服なのは「らき☆すた」が好きだからです。

— バーチャルYouTuberとして活動を始めて2週間たちましたが、振り返って視聴者の反応などをどう感じましたか?

毎日が驚きの連続です。 とにかく動画への反響が予想外過ぎてビックリしています。

「100再生行けば良い方だな...」と思っていたので、オリジナル曲をTwitterでたくさん褒めていただいたり、最近なんかは私の曲を歌ってくださる方がいたりして、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。見てくださっている皆さんには心から感謝しています。

バーチャルYouTuberという肩書きを持つからには、エンターテイナーとして視聴者の皆さんを飽きさせないような活動を心掛けて、これからも頑張っていきたいと思っておりますので、何卒ご贔屓によろしくお願いいたします!

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