安田純平さん解放か。2015年にシリアで行方不明、武装組織に拉致されていた模様

菅官房長官が発表「本日午後9時ごろ、カタールで解放され、現在トルコで保護されているとみられる」
拘束時の安田純平さんと見られる男性の画像
拘束時の安田純平さんと見られる男性の画像
時事通信社

シリアで武装組織に拘束されたフリージャーナリストの安田純平さんが解放され、トルコ政府の保護下にあると見られることが分かった。10月23日午後11時から、菅義偉・官房長官が緊急会見を開いて明らかにした。

菅官房長官は「本日午後9時ごろ、カタール政府から情報を得ました。安田純平氏とみられる人物がカタールで解放され、現在トルコのアンタキアの施設に保護されているとみられる。トルコ当局等を通じて、人定関係を確認中でありますが、諸般の情報を総合すれば、安田純平氏本人である可能性が高いとみられ、その旨を安田氏の婦人にもお伝えをいたしました。なお、人定関係の確認には、一定の時間を要する見込みです」と述べた。

安田さんは2015年、内戦下のシリアを取材中に行方不明になっていた。国際テロ組織アルカイダ系組織を母体とする「シリア解放機構」に拘束されたと見られていた。

7月30日には、安田さんとみられる男性が「今すぐ助けてください」と訴える映像が動画投稿サイトで公開されていた

■安田さん、どんな人?

埼玉新聞などによると、安田さんは1974年生まれ。埼玉県入間市出身で、県立川越高校を卒業後、一橋大学に入学した。1997年に地方紙の「信濃毎日新聞社」に入社して新聞記者となった。山小屋し尿処理問題や脳死肝移植問題などを担当し、2002年にアフガニスタンとイラクを休暇を使って取材していた。2003年に信濃毎日新聞社を退社しフリージャーナリストとなった。

2004年4月14日、イラクの首都バグダッド郊外で、アメリカ軍の爆撃を取材するため車で移動していたところ、現地の武装勢力に拘束された。同行していた市民団体メンバーの日本人男性と一緒に拘束され、3日後に解放された。武装勢力から「アメリカのスパイ」の容疑をかけられ、民家などに監禁されたという。解放後、安田さんは「身元確認を目的とする拘束で、紳士的な扱いを受けた」と説明した

その後も何度もイラクやシリアを取材しており、著書に『囚われのイラク』『誰が私を「人質」にしたのか』『ルポ戦場出稼ぎ労働者』などがある。

■「日本は無関係ではない」紛争地帯を取材する必要性を語る

2004年4月、イラクから帰国した後に都内で会見を開いた安田純平さん(左)

安田さんは2015年6月下旬、シリア内戦を取材するためトルコからシリア北西部に越境。しかし、予定していた7月中旬を過ぎても帰国していなかった。

時事通信では、安田さんのシリア入国は、過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害されたジャーナリスト後藤健二さんに関する取材などが目的だったとみられると報じている。

安田さんは入国前の2015年1月、「なぜ日本人が紛争地帯を取材する必要があるのか」という趣旨の質問に「『無関心』こそが、いま起きている問題を引き起こした」などと答えていた。

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