ロンドンでも「ええじゃないか」。EU離脱に反対するプラカードが衝撃的

幕末にならって、ロンドンでも世直しということなのか。

イギリスのロンドン中心部で10月20日、EU離脱に反対する大規模なデモが実施された。

主催者発表によると70万人が参加。2019年3月末に迫ったイギリスのEU離脱に反対の声を上げた。

その中でひときわ目を引くプラカードがあった。「ええじゃないか」と大きく日本語が書かれていたのだ。イギリスの大学院に留学中のsrkさんが撮影して21日にTwitterに投稿したところ、1万5000回以上もリツイートされた。

srkさんが10月20日にロンドンで撮影した写真
srkさんが10月20日にロンドンで撮影した写真
srkさん提供

■「ええじゃないか」とは...

朝日新聞によると、「ええじゃないか」は幕末に起きた大衆運動。1867年、現在の愛知県で起きたとされ、江戸や中国・四国地方にまで広がった。老若男女が身分を超えて酒を酌み交わし、「ええじゃないか」などと言いながら歌い、踊りまくった。大政奉還へつながる時代の変革期に起き、世直し運動の一つとも言われている。

幕末にならって、ロンドンでも世直しということなのか。ハフポスト日本版は、写真を撮影したsrkさんに話を聞いた。

■「相当な教養があると思う」

--- 国民投票の再実施を求める20日のデモの現場には、どのようにして居合わせたのですか?

週末だったので郊外に出ようとハイドパークコーナーのバス停まで行こうとしたところで、道が塞がっていました。横切ろうと流れに入ったら身動きがとれなくなったので、そのまま流されて国会議事堂まで歩くことにしました。

---「ええじゃないか」のプラカードを見たとき、どんな風に感じましたか?

この言葉の存在と恐らく歴史的由来までほぼ正解に知っている時点で、相当な教養があると思うので、その点で純粋に感心しました。 個人的には、おかげ参りそのものに対して何となく時代の終末感に伴った投げやりな興奮というような印象が強いために、デモの場に何となくそぐわない気もしたのですが、単純に世直しを盛り上げるという文脈を踏まえてであれば、中途半端な理解から作られたものではないのだろうと思います。

--- 推測で構わないのですが「ええじゃないか」に込められた意味は何だと思いますか?

正直に言えば「ええじゃないか」についてはどうしても冷静さを欠いた集団ヒステリーというイメージが先行するので、もしそこまで知ってあえて選択したのであれば、一つの社会目的の前に熱狂し連帯感を楽しむというところでしょうか(ええじゃないかプラカードは連帯どころか浮いていますが)

--- 今回の大規模なデモを間近でご覧になったご感想は?

日本人はデモというとすぐ斜に構えるというか、行動する民主主義にネガティブですが、主張や方向が何であれ一人ひとりが明確に立場を持ち、無関心や諦めを許さず、見えるかたちで意思表示するという姿勢を持つような社会に生まれ育った人たちからしてみれば、理不尽と感じたことへのアクションとしてデモへのステップは短いです。

今回のデモ(マーチ)はブレグジットに対する不満の表明の機会でしたが、離脱反対のプラカードに混じってレインボーフラッグなどが一際目立っていたのを見て、多様性に対する不寛容さもまた争点にあるのだと感じました。

離脱を主導した前市長ジョンソン氏は人種や性的指向に対する差別的見解、女性蔑視で知られており、それでもって完全に区分することは間違いにしても、保守的・前時代的な主張を持った層が離脱派の顔であることは事実であって、自由主義的価値観を守りたい側が是が非でも前世紀に退場願いたい人たちという訳です。

このような排除的な思考は、離脱派の打ち出した移民抑制政策に端的に現れ、より均一な社会である地方部、かつ教育水準の低い層に受けていますが、都市部の人間や若い人を中心に、相手がどこから来たか、どんな生き方をしているかなどに構ったりあげつらったりする暇も必要もない人々が、こういった言説が今後幅を利かすことを許さないという強い意志を示したのを見て、非常に心強く感じました。

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