世界に拡散した「タイの人肉レストラン」は、フェイクニュースだった。

地元メディアによると「レストランは閉店していた」
タイ料理のイメージ写真
タイ料理のイメージ写真
Kesu01 via Getty Images

世にも恐ろしい事件が、世界各国で報じられた。タイのレストランで提供された料理に人間の肉片が混入していたというのだ。しかし、これはフェイクニュースだったことが11月2日までに明らかになった。

■人肉レストラン事件とは?

この事件は、シンガポールの中国語メディア「ザオバオ」が10月28日に報じたものを同国の英語メディア「アジア・ワン」が29日に紹介。アメリカの「ニューズウィーク」やイギリスの「デイリーメール」など世界各国で報じられた。

このうち、デイリーメールの報道は、こんな内容だった。

タイの首都バンコクにあるベジタリアン向けのレストランを訪れた客が、料理に肉が入っていたことに腹を立て、地元当局に苦情を申し立てた。

調べた結果、この肉の正体は人肉だったと判明したのだ。調理場には血痕や肉の塊が残され、浄水タンクの中から、腐敗した61歳の男性の遺体が発見された。容疑者であるオーナーが、遺体を切り刻んで客に食べさせようとしていた疑いが持たれていたのだった。

■現地メディア「レストランは閉店していた」

そんな都市伝説みたいな事件が本当にあったのだろうか......。不審に感じて調べていくと、やっぱりフェイクニュースだった。

10月23日に「ザ・ネーション」などのタイの地元メディアは、バンコクのレストランで遺体が見つかったことまでは報じているが、「人肉料理」が出たことは報じていなかった。

さらにタイの全国紙「カオソッド」は11月1日、「人肉料理」の報道を以下のように明確に否定した。

「警察の調査によると、海外メディアで話題になっていることは事実ではない。なぜなら、レストランはまだ建設中で開業していないし、お客へのサービスも提供していなかった。遺体はレストランの建設作業員のものだった」

同じく現地メディアの「ココナツ・バンコク」も同様に2日、海外メディアの報道は「フェイクニュースだ」と断定した。警察当局の話として、「レストランは3日間だけ営業したが、殺人事件が起きるまでには閉店していた」と書いている。

注目記事