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2018年11月08日 13時11分 JST | 更新 2018年11月08日 13時11分 JST

北朝鮮と「コモンズ」共有経済: 新種国家の為の白紙状態なのか?

持続可能かつ協力的な経済及び社会発展の新たな基準を、国際社会に提供することができるだろうか。

Michael Ballarini / EyeEm via Getty Images

新たに浮上する北朝鮮は、持続可能かつ協力的な経済及び社会発展の新たな基準を国際社会に提供することができるだろうか? 地政学的変化と新しい技術のお陰で、共有経済「コモンズ」の考え方は益々実現可能なものに見える。南北の関係が急速度に変わりつつあるため、緊急な問題はもはや次の段階の和解プロセスのにあるのではなく、政治的、経済的及び文化的認識に向かっている。

新しい概念と技術で「隠遁の王国」の制度変容のドアが開きつつある。政府に対する新しいアプローチと新しいインフラ構築は、他の諸国が北朝鮮をモデルとすることができる刺激的な実験になるであろう。

朝鮮半島は未来が期待される発展の中にあるが、メディアの報道によると、多国籍の諸企業が北朝鮮の豊富な鉱物資源の開発と廉価な労働力を搾取し、迅速な富を創出する抽出的経済を計画しているという。

この利益は、貧困な北朝鮮の住民たちに入る訳ではなく、国際的投資家たちに利益をもたらすであろう。 これは戦後のイラクが見せた青写真と同じように、ウォールストリートやそれと類似した日本や中国の投資家たちが北朝鮮経済開発に関与することを示唆している。

しかし、北朝鮮は停滞と貧困をもたらした北朝鮮労働党の後進的な経済政策に従う必要もなく、グローバル投資銀行と彼らがファンディングしたコンサルティング会社によって運営される消費主義的な新自由主義的「開発」 政策を受け容れる必要もない。

ここに代案が存在する。北朝鮮が現状の腐敗政治経済も、国際投資銀行が夢で見ている汚くて搾取的な「成長」も、拒否しながらも依然として持続可能な経済的、政治的成功を達成する第三の道がある。

21 世紀のコモンズを受容

北朝鮮の為の「第三の道」とは即ち協力的な経済と社会である。これは、P2P(ピアツーピア)システムとコモンズ基盤の生産物 (例えばLinuxやWikipedia)によって可能になる教育、政治、製造、経済における新しいグローバルコモンズを受け容れることを意味する。本質的に北朝鮮はゼロから始めるため、他の所で行われたよりももっと包括的な方式でブロックチェーン(block-chain)やホログラフィック・インといった「検証インターネット」を採用することができる。

社会主義経済が存在するという前提下では、このような経済革新が共有され試されるだろうし、意思決定プロセスは社会全体に分散されて権威主義政治を避けることが出来るであろうし、コミュニティが優先順位を設定できるように権限を付与されるであろう。

このようなアプローチは北朝鮮が国際金融の指示に従わなくとも国際化から利益を得ることができるようにしてくれるであろう。アムステルダムの P2P財団とソウルのコモンズ財団(Commons Foundation)は搾取的かつ抽出的市場経済に対する実行可能な代案である共有経済の為の具体的な提案を提示した。

韓国を始め世界の仲間たちと連結させるグローバルP2P 経済に北朝鮮の住民たちを包含させることによって、北朝鮮は自らの住民に力を与えることができる。そうして国家やウォールストリートの統制を受けずして、コモンズ基盤のマイクロ生産を通して彼らは潜在力を実現することができる。北朝鮮は廉価な労働力や廉価な鉱物資源で搾取される代わりに、資本ではなく人々によって支えられている肯定的なグローバリゼーションモデルを開発することができる。

要求される根本的な概念転換の例示を近代の韓国において見つけることができる。1910-45年の日帝植民地戦略はかつて韓国の村落で栄えていた相互支援コミュニティを破壊した。大部分の韓国人たちにとって彼らの土地と伝統的な生産手段を奪った日本の「エンクロージャー」行為と言える。

コモンズ財団創立者のチェ・ヨングァンは、コモンズが韓国において新しいアイデアではないとして、「郷村規約(郷約)は地域社会における役割を規定したが、絶対的な所有権を付与しませんでした。郷村規約は日本植民地時代に破壊されました。非人間的な競争から始まった不平等の深刻化とそれによる富の集中が始りました」と説明している。

コモンズは市民たちに焦点を合わせた共有経済を創出することによって、裕福な国々が建設的で非搾取的な方法によって開発途上国と協力することができるのかというテーマに対するモデルを提供することができる。さらにコモンズ経済は外国人投資や労働搾取に関するものではないため、国連の対北制裁に明示された経済的相互作用の標準モデルに該当しない。それゆえ現実的な希望の門戸を示してくれる。

西側のメディアは北朝鮮を奇怪で孤立した神秘な国として描いているが、最近の韓国との交渉は他の開発途上諸国と同じく、金融機関が支配する無慈悲な世界化秩序の中で自分の居場所を探し出す為に北朝鮮が孤軍奮闘していることを見せてくれた。筆者の提案する革新は特定の技術から構成されるのではなく、開放型プラットホームとして、北朝鮮が全世界の知識や技術、専門知識、金融資源にアプローチすることを可能にさせ、寡頭政治に陥ることなく経済的転換を成し遂げることを可能にする。

コモンズ 101:何をするのか

北朝鮮は現代技術がほとんどない一方で、他の諸国の文化を破壊した商業主義や消費主義もほとんどない。したがって、北朝鮮の出発点がゼロであるので、他の国では不可能な制度革新の為の前例の無い機会が存在する。

北朝鮮は全ての建物で太陽エネルギー発電の使用を義務化することができる。この製造は地域単位でのオープンソース革新を可能にする。そのサービスは仲介人なしに家庭間で共有される。また、地方自治体が他国の他の地方自治体と教育及び社会的交流の為の関係を結ぶことができるように許容しなければならない。

北朝鮮は地域経済自治を構築する手段として暗号通貨やクラウドファンディングを使用する地域協同組合を育成する革新的な金融システムを構築できるのみならず、クラウドファンディングの形式で外国人投資を許容したり全世界の支持者たちの少額投資を受け入れることができる。

北朝鮮は清掃機やノコギリから洗濯機や太陽光発電機に至るまで、全てのものをコミュニティに任せる共有経済に含ませることができる。全ての市民の貢献を認めるサービス交換(掃除や料理から児童と老人をケアする労働まで)プログラムを計画することができる。老人たちを若者達と、農民たちを都市住民たちと連結し、新しい文化的、経済的シナジーを創出することもできる。

地域農業とマイクロ製造業に根ざした共有経済のコモンズを導入することは、浪費と経済的格差を促進するのみならず、軍事的軋轢の主要要因でもあった、今日の東アジアの頭痛の種である持続不可能な過剰生産を減らすことにおいて必須である。

北朝鮮は良質の高速道路と自動車に対する依存性が少ない。したがって、輸送手段が全て電気で作動する交通手段が共有される都市、自動車に対する必要性を減らす都市を計画することが可能である。

北朝鮮の開放は健全なP2P 国際化モデルを構築できる貴重な機会となり得る。

コモンズ 101: どのようにするのか

韓国は同じ言語を共有しているだけでなく、P2P経済の強力な前例を確立しているため、重要な役割を果たすべきである。

韓国人は参加型政治に対する物凄い熱意を示してきており、その頂点と言うことができる2016 年の「ロウソク革命」では、数百万の市民たちが共に出て腐敗した政治の終焉を要求した。

ソウル市は4年前に市全域で共有経済の強力なプラットフォームを提供する地方の村を作るプログラムを始めた。また、この都市は最近、ソウル全域にブロックチェーンシステムを構築し、効果的に使用できる新しい世代の専門家を養成する為に 6千億円の予算を投入した。

北朝鮮は短期利益ではなく経済的・技術的変化の倫理的意味に焦点を置いたP2P 諮問委員会が必要である。韓国もこの役割をすることはできるが、新興経済が陥りかねない落とし穴を避ける方法について全世界から助言を求めることもまた重要である。

韓国鉱物資源公社によると、北朝鮮に6兆ドル規模の石炭やウラン、鉄、金、亜鉛及び稀土類鉱物(レアメタル)が大規模に埋蔵されていると言う。P2P諮問委員会の最初の勧告事項中の一つは、北朝鮮が開発の長期的な環境影響を評価できる充分な専門知識を保有するまで地下資源開発を凍結することになるかも知れない。

資源開発、交通インフラ構築、P2P 専門家ネットワークによる都市空間開発に関する全ての提案を検討することは重要な最初の歩みとなり得る。

北朝鮮は開放の初めの段階において過度の負債が生ずることを避けなければならない。投資家の短期収益を保障することを計画の要素としない政策を樹立するように委員会は助けることができ、資本逃避の危険がないように明確化することができる。ソ連崩壊の後に寡頭政治が浮上したのと北朝鮮の状況が類似していくのを防ぐ為に、人々はコミュニティ銀行を作って参加型資金調逹メカニズムを構築しなければならない。

北朝鮮が「先進国」産業化された世界に「追いつく」べき神秘的で閉鎖的で不可逆的な冷戦時代の残在である必要はない。むしろ北朝鮮はブロックチェーン技術、マイクロ製造業、持続可能なエネルギーインフラ及び国際化に対するP2P方式のような新しい時代、東北アジア及び世界を先導する刺激的な実験になり得る。


この記事はLayne Hartsell共同執筆しました。P2P 構成員として倫理及技術哲焦点を合わせています。また Asia Institute技術コンバージェンス 3E(エネルギー、環境及経済)プログラムの理事でもあります。