これからの経済
2018年11月09日 15時00分 JST | 更新 2018年11月09日 15時03分 JST

ハイスキル人材を最も確保しづらい国日本、その土壌に“学級委員への憧れ”?

「文系の総合職で30歳で年収1000万...それが良いモデル、良い社会のようになっている」

ハイスキル人材を最も確保しづらい国日本、その土壌に"学級委員への憧れ"?

 イギリスの人材サービス大手「ヘイズ」は、世界33の国と地域で高度なスキルを持っている人材の需要と供給のバランスを評価・分析した調査結果を発表した。

 調査によると、日本は求職者が持つスキルと会社が求めるスキルの乖離が大きく、「人材のミスマッチ」の項目でワースト1位。つまり、日本は世界で最も「高いスキルを持つ人材を確保しづらい国」ということだ。特に確保が難しいのは、「データサイエンティスト」「自動運転技術者」「AI技術者」「IoT専門家」などで、急成長分野の鍵を握る人材が決定的に不足しているという。

 背景には、日本に根づく「終身雇用」がある。横並びの給与形態や従来型の評価制度によって、ハイスキル人材の給与が他の先進国に比べ低く優秀な人材が集まりにくい点と、個人でスキルアップを図る人が少ない点があげられている。今回の調査結果について、街の人からは次のような声があがる。

「突出したスキルを持っている人ってあまりいないかもしれないですね。日系企業的な特性で"一生安定""終身雇用"。1つの会社に入ったら特別なスキルを身につけなくてもずっとここで働いていけるんじゃないか(っていう考え)」

「(周りにスキルアップをしている人は)あまりいないですね。多分それに流されて、僕もしないほうに流れていっていると感じています」

 事実、日本は他国に比べスキルアップに費やす時間が少ないという。一方、人材ミスマッチが少ない国・地域1位の香港は、積極的に外国から優秀な人材を雇用し、そうした人材への給与水準も高いことが要因になっている。

 なぜ、日本はハイスキル人材が確保しにくいのか。慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は、背景を次のように述べる。

 「ある分野はもの凄くできるプロフェッショナルが、国によっては高い給与で雇用されている。でも、日本の横並びの人事制度は何かが突出して偏っていると評価がマイナスになる傾向があって、全体的に点数を取れる、大きく失点しない人が組織で評価されやすいという歴史が残っている」

 さらに、そうした土壌は学校生活から培われていると指摘。「学級委員とか生徒会長になるのはある教科がずば抜けている人ではなくて、成績や部活で必ずしも一番ではない、誰からも大きく怒られないような人。そうした人がいい大学に指定校推薦枠で行って、文系の総合職で30歳で年収1000万といった企業に就職する。それが良いモデル、良い社会のようになっている。学級委員はジェネラリストとして重宝されるから皆が憧れるけど、どこかに突出しているスペシャリストにも価値があるという風に変わっていかないといけない」との見方を示した。

 建築やIT業界においては、工程全体をとりまとめる業者(ジェネラリスト)を"上流"、その下請け(スペシャリスト)を"下流"などと称するが、若新氏は「いい大学を出た人は上流に入って、手を動かすよりは計画を立てたりチェックしたりするけど、現場の"作る"ところにはもの凄い技術が必要なのに。この考え方がそのまま"プログラマー、エンジニア軽視"に引き継がれてしまっている」と指摘。大学受験もひとつの分岐点になっているとし、「理系の学生が大学受験をする時、権威のある工学部は国公立にあるところが多いので、5教科7科目を勉強しないといけない。数学とか物理が飛び抜けてできても、東大など旧帝大には入れない。総合的にできる人が選ばれていって、できる分野が偏っている人はどこかこぼれ落ちてしまう。AO入試なども増えているがまだまだ少ないので、そこが引き上がられるとハイスキル人材の育成と確保が進むのでは」と述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

▶︎なぜ割り箸はむき出しで散乱?消防が"完璧な仕事"

(2018年11月09日 07時00分「Abema TIMES」より転載)