「Tバックはセックスの同意じゃない」弁護士の発言に、女性たちが下着の写真を投稿して抗議

被害者非難を終わらせたい。#ThisIsNotConsent (これは同意じゃない)というハッシュタグに込められた思い
「ノーはノーだ」と書いた下着を掲げるデモ参加者
「ノーはノーだ」と書いた下着を掲げるデモ参加者
Niall Carson - PA Images via Getty Images

強姦罪の裁判で、罪に問われた男性側の弁護士が「女性が、レースのTバック下着を履いていたことに着目すべきだ」と強調したことへの抗議運動が、アイルランドで巻き起こっている。

SNSでは、#これは同意ではない (#ThisIsNotConsent)というハッシュタグとともに、下着の写真が多数投稿されている。

裁判では、女性側が「レイプだった」と主張。男性側が「同意があった」と反論し、「同意の有無」が争点となっていた。

アイリッシュ・エグザミナー紙によると、男性側のエリザベス・オコンネル弁護士は、陪審員に向かってこう述べた。

「この裁判に集まった証拠によって、彼女が被告人に惹かれていたことや、誰かと出会い、一緒になろうと期待していた可能性を、完全に排除できるでしょうか? 彼女が何を着ていたかに注目してください。彼女はレースがついたソング(Tバックの下着)をはいていたのです」

陪審員(男性8人・女性4人)は全員一致で、男性を「無罪」とした。

しかし、この発言が報じられると、SNSでは「かわいい下着を着用していたからといって、性行為に同意したことにはならない」といった声が数多く上がった。抗議は広がり、国会でも取り上げられた。

被害者をサポートするためにダブリンに集まった人たち。ソングを頭上に掲げ「裁判所での被害者非難をやめて」と訴える
被害者をサポートするためにダブリンに集まった人たち。ソングを頭上に掲げ「裁判所での被害者非難をやめて」と訴える
Niall Carson - PA Images via Getty Images

「可愛い下着を着ているからって、私は同意しているわけじゃない」

「信じられない、本当に信じられない。私たちの国は、後退じゃなくて前進していると思っていた。Tバックは普通に着るものでしょ」

「レースのついたフルバックもしくはレースのないソング。どちらがレイプされにくいか、誰か教えて」

「レイプで無罪判決を受けた男性側の弁護士が、17歳の被害者が着ていた下着を考慮しなければいけないと言った。とんでもないコメントです。フォロワーのみなさん、ソング/下着の写真を投稿して、被害女性のサポートしてください」

「ソングがレイプの原因じゃない。短いスカートがレイプの原因じゃない。レイプ犯人がレイプの原因!」

「一体どんな下着なら許されるの? 私たちみんなが持っている、レースのついた安い下着は、どう考えてもダメなんでしょ。着てもいい下着のリストをエリザベス・オコーナーに作ってもらいたい。何が良くて何がダメなのか、彼女は知ってるみたいだから」

ダブリンレイプ被害者支援センター長のノエリン・ブラックウェルさんは、インディペンデント紙に「どんな服を着ていたか、どれだけ飲酒していたか、なぜ叫び声をあげなかったのかということが、いつも問題にされます」と述べる。

「セックスは同意に基づくものだと主張するために、こういったレイプにつきまとう神話や偏見は、裁判で幾度となく出てくるのです」

11月13日に開かれたアイルランド議会でもこの問題は取り上げられた。ルース・コッピンガー議員は黒いソングを議場で掲げ、「この国の女性は、被害者を非難するアイルランド裁判所と政治家が何もしないことに疲れています」と訴えた。

#ThisIsNotConsent はネット空間を飛び出し、アイルランド各地でのデモ抗議に広がっている。

デモを組織した、アイルランドのフェミニスト団体ROSAの広報担当者フィオナ・ライアン氏は、PA通信にこう語った。

「集会を呼びかけたのは、この事件のためだけではなく、法廷での被害者非難を終わらせようと呼びかけるためです」

「これは同意じゃない」というメッセージを掲げ、ダブリンで性暴力の被害者をサポートする抗議集会が開かれた。
「これは同意じゃない」というメッセージを掲げ、ダブリンで性暴力の被害者をサポートする抗議集会が開かれた。
Niall Carson - PA Images via Getty Images

「被告弁護人が17歳の女性の下着を非難したレイプ裁判で、何百人もの人がコークの裁判所に向かって抗議デモをしている」

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