2018年11月20日 12時08分 JST | 更新 2018年11月26日 13時24分 JST

「草を食って生きろ」と言われた少年が、サッカー選手を経て一流の金融マンになるまで

「毎日の積み重ねが、一瞬の勝負を決める」

時国司さん
西田香織 / HuffPost Japan
時国司さん

時国司(ときくに・つかさ)さん。37歳。2児の父。

慶應義塾大学経済学部を卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社、現在は、運用資産4兆円を超える投資ファンド、オービス・インベストメント日本法人の代表取締役社長を務める。金融マンとして働く一方で、フットサルのFIFAワールドカップ最終予選にも出場した、異色の経歴を持つ。

父は台湾人、母は日本人。台湾で生まれ、1歳の時に家族で日本に渡った。商売人だった父の起業に伴い、家族で節約生活を送った。元軍人で、敗戦後に貧しい暮らしを経験してきた祖父からは、「草を食って生きろ」と言われて幼少期を過ごしたという。

サッカー選手になる夢を叶えるために、父と交わした約束

小学生の時、漫画「キャプテン翼」に憧れて、母国である台湾代表選手に選ばれることを目標に掲げた時国さん。サッカー選手になる夢を反対した父と、ある約束を交わす。

「サッカーを続けるために、学年で成績5位以内を取り続けること」

「できなかったら、すぐにサッカーを辞めること」

西田香織 / HuffPost Japan
時国司さん

こうなると、勉強するしかなかった。

その中で、時国さんは中学から高校の途中まで、クラブチーム「FC町田ユース(現FC町田ゼルビアユース)」に所属。その後、慶應義塾湘南藤沢高等部サッカー部に転籍し、キャプテンを務めた。インターハイや全国高校サッカー選手権大会神奈川県予選での活躍が、地元紙などで取り上げられたことで注目され、18歳で、サッカー台湾代表(U-19)に選出。FIFAワールドユース選手権アジア予選などに出場し、ここでもキャプテンを務めた。

大学卒業後は、外資金融との二足のわらじで2014年からイングランドFAナショナル・フットサル・リーグ、香港フットサルリーグなどでプレー。2015-2016年には、台湾フットサル代表としてFIFAワールドカップアジア予選に出場、最終予選に進出する。

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時国さん、香港レンジャースFC時代の練習風景

勉強や仕事をしながら、サッカーでも世界で通用する実力を身につけた秘訣はなんだろう。

複数タスクをこなすため「ひとりの時間」をつくる

時国さんは覚悟を決め、逆算して、目標達成までの道筋を描いた。

「目標について聞かれたら、『サッカーで代表に入ること』と、臆せずパッと答えてきました」と話す時国さん。朝練の文化がなかった高校のサッカー部時代にも、ひとりで朝練を続けた。

時間がなにより貴重だった時国さんが、実践したのは「ひとり行動」。

「子どもの頃から、休み時間や移動時間に勉強していました。部活帰りももちろんひとり。友人と同じ車両に乗らないようにしていました。こんな嫌な奴いないですよね(笑)」

周囲の目も気になるであろう、10代の多感な年頃。クラスメイトや部活仲間と距離をおくことに、不安や寂しさは感じなかったのだろうか?

「もともと、周りの目を気にするタイプ。『チームのキャプテンなのに、なぜみんなと一緒に帰宅しないんだ』と、チームメイトやコーチから批判されることもありました。葛藤はあったが、自分の夢を叶えるためには、この方法しかなかった」

「自分のような才能のない人間が夢を実現するためには、全員から支持してもらおうなんて考えてはいけないと割り切って、申し訳ないという思いを抱えながらも、自分が信じる道を貫きました」

何年もコツコツ準備する。勝負は一瞬で決まる

「私は一瞬の勝負を決めるのは、毎日の努力の積み重ね』だと考えています。勝負のチャンスは、必ずやってきます。その時のために足りないものを補い、強みを伸ばす。いつくるか分からない一瞬を信じて、何年間も毎日準備し続けられるかどうかが、夢を叶えられるかどうかの分かれ道のように思います」

並々ならぬ努力と、意思を貫くことで夢を掴んだ時国さん。これまでの人生をこう振り返る。

「夢を実現する過程で、むしろ仲間は増えていきました。結果的に周囲の力に助けていただいて目標を達成できたわけですが、はじめから誰かに頼ったり、批判を受けて志がブレていたりしたら、肝心なところで誰も助けてくれなかったように思います。『ゴルゴ13』は、殺し屋だけど、ずっと続けているから、周りに信頼されていますよね(笑)。ブレずに一本筋が通っていることが大事だと、ゴルゴから学びました」

「毎日使うものを見直す」ことも時短につながる

ひとり行動で、時間を有効活用してきた時国さんだが、現在は会社の経営者として部下を引っ張って行く立場だ。仕事と家庭において、かつてのようなひとり行動は難しい。時間の使い方を、どのように工夫しているのだろう。

複数のToDoを同時進行させるオペレーションが全てなので、手帳で細かくスケジュールやタスクの管理をしています。なるべくパソコンを持ち歩いて、乗り物での移動中や、子どもの習い事の送迎時などには、ちょこちょこ仕事を進めることも重要。飛行機と電車は、小学生の頃から、私にとって最も作業がはかどる場所です」

朝の支度は分刻みだ。子どもの幼稚園バスの時間に遅れないように注意を払う。「自分のミスでバスに遅れると、たくさんの人に迷惑をかけてしまうので」と笑う。

「毎朝の髭剃りは、気持ち良く1日をスタートさせるための大事な習慣です。私は手先が不器用なので、使いやすい髭剃りを選ぶようにしています。失敗して肌を傷つけると、それだけで、絆創膏を貼ったりする新たなオペレーションが生まれ、時間をロスしてしまうので。毎日使うものを見直すだけでも、時短になると考えています」

西田香織 / HuffPost Japan
愛用しているジレット プロシールドは「深剃りがスムーズ」「握りやすく操作性が高い」と話す。

日々の暮らしの中では、ネットの定期便なども活用しているそうだ。

「自分が食べるシリアル、子どもたちの朝食用のパンは定期便を利用しています。洗剤や髭剃りの替え刃といった消耗品も、買い忘れのないよう定期便が便利ですね。定期便などのサービスを、積極的に暮らしに取り入れることで、効率化を計っています

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希望のサイクルに合わせて、定期的にジレットの替刃が届く「ジレットシェーブクラブ」。不在時にもポストに届くから、忙しいビジネスマンにとって地味にうれしい。

清潔感は相手へのリスペクト

効率化と共に、ビジネスを円滑に進めるためのコミュニケーション。彼がどんな点に気を遣っているのか聞いた。

ビジネスは人間対人間で作られているので、常に誠実であることを第一に考えています。相手に失礼のないよう見た目の清潔感を保つことも意識しています。イギリスで働いていた時、ビジネスマンが見た目にすごく気を遣っているなと感じました。パリッとしたドレスシャツを着て、靴はピカピカに磨き上げ、歯のホワイトニングも習慣にしている。私もそうした文化に触れ、清潔感のあるスタイリングを意識するようになりました」

西田香織 / HuffPost Japan
取材時にも、時国さんの靴はピカピカ。

「自分を貫かない」――マネジメントする立場で変わった思考

会社の代表として、ビジネスにおけるさまざまな判断を下す必要がある。もしも部下と意見が分かれた時、判断に迷うこともあるのではないだろうか。

「自分の価値観を押し付けないようにするのはもちろんのこと、できるだけ相手に合わせるようになりました。代表として、ビジネスに関わるジャッジをするときは、やっぱり"会社にとっての利益"を優先することにしています。それが、双方にとってフェアだと考えるからです」

自分を貫く姿勢をとってきた時国さんだが、経営者になってからは、コミュニケーションの仕方を変えたと話す。

「以前は、飲み会も断ってきたんです。でも、今はマネジメントする立場でもあるので、仕事仲間とは、会話を増やすことを心がけ、飲み会にも参加するようになりました。かつての自分とは真逆なので、自分にとっては大きなチャレンジです(笑)」

いくつもの夢を叶えてきた時国さん。今後は、日本の資産運用業界の変革や教育支援、サッカーチームの監督といった夢を抱いているそうだ。

夢の実現に向けて走り続ける時国さんのストーリーは、まだまだ続く。

西田香織 / HuffPost Japan
時国司さん

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