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2018年11月21日 13時02分 JST | 更新 2018年11月21日 13時02分 JST

ゴーン容疑者は大統領を狙って蓄財? 逮捕はルノー見据えた日産の“クーデター”か

「日産社内の噂で『いずれブラジルの大統領選挙に出るんじゃないか』とも言われていた」

ゴーン容疑者は大統領を狙って蓄財? 逮捕はルノー見据えた日産の"クーデター"か

 「私たちは事業の透明性を保ち、定期的に財務状況を報告することを約束します」

 日産自動車の社長に就任した2000年、こう語っていた辣腕経営者のカルロス・ゴーン容疑者。しかし、その約束は破られた。

 19日、日産の会長のゴーン容疑者と代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者が逮捕された。ゴーン容疑者ら2人は、2010年度から2014年度までの5年分の有価証券報告書に報酬約100億円を50億円余り過小に記載した金融商品取引法違反の疑いが持たれている。

 日産の西川廣人社長は19日夜に会見を開き、事件は内部通報をきっかけに発覚したと説明。さらに、東京地検特捜部の捜索に先立ち独自に社内調査を行ってきたという。日産によると、ゴーン容疑者の不正は大きく3つ。

 ひとつ目は、開示される自らの報酬を少なく開示した疑い。ゴーン容疑者は日産の有価証券報告書で毎年役員報酬を公開しており、2010年度から2013年度にかけては毎年10億円近い報酬、2014年度からは3年連続で10億円を超える報酬を得たとしていた。しかし、年間の報酬額は10億円ではなく、実際には2倍の20億円を不正に得ていた疑いが浮上した。

 ふたつ目は、日産の投資資金を私的な目的で使った疑い。関係者によれば、ゴーン容疑者のルーツであるレバノンや出身地のブラジルでの不動産取引をめぐる疑惑が持たれている。これらの不動産は日産子会社が資金を支出して購入したが、実際にはゴーン容疑者が個人的に利用していたという。購入費用は約30億円以上にのぼるとみられる。

 みっつ目は、日産の経費を私的に流用した疑い。これに関して西川社長は会見で「捜査中」とし、詳しくは語らなかった。

 2つ目と3つ目の行為について検察はまだ捜査に着手していないが、今後会社に損害を与えた特別背任容疑や業務上横領容疑などで立件する可能性がある。

 そもそも、ゴーン容疑者が会社の資金や経費を私的流用する目的はどこにあったのか。ゴーン容疑者に何度もインタビューしてきたというジャーナリストの井上久男氏によると、「前妻との離婚の訴訟費用」「ニューヨークにある公表していない個人事務所の関連費用」「ベルサイユ宮殿での再婚相手との結婚式費用」などの話が以前から日産社内であったそうで、「ゴーン氏は離婚の際に慰謝料を取られてお金に困っていたという情報もある」という。さらに、ゴーン容疑者のお金遣いに関しては「ケチ。あまり食べ物とか着る物に派手な使い方はしない。むしろ蓄財するという感じで、日産社内の噂で『いずれブラジルの大統領選挙に出るんじゃないか。そのための政治資金を貯めているんじゃないか』とも言われていた」と明かす。

 現在ゴーン容疑者は、日産とルノー、三菱自動車のトップを務めている。この三社連合は2017年、自動車の世界販売台数でトヨタを抜き2位に浮上した。ルノーは日本時間の20日未明、「ルノー・日産・三菱の三社連合でルノーの利益も守ることに努める」と声明を発表。また、ルノー株の15%を保有するフランス政府は国内雇用問題にも関わることから事態の沈静化を急ぎ、マクロン大統領は19日、「フランスは株主として(ルノーの)グループの安定性を非常に注視していく」とした。

 今回のゴーン容疑者逮捕に関しては、「日産のクーデターではないか」という声もある。「フランスでの雇用を生み出したい」とルノーと日産の経営統合を求めるフランス政府に対し、日産側は配当を当てにしている「メリットが見えない統合」として対等なパートナーを主張してきた。ゴーン容疑者も経営統合には否定的だったが、フランス政府は2月にゴーン容疑者をルノーのCEOに再任。このことから、ゴーン容疑者はフランス政府の意向を受けて方針転換したのではとされており、今回日産がクーデターを起こしたという可能性が浮上している。

 仮にゴーン容疑者を排除したとして、再度フランス政府の意向を汲んだ人物が派遣される可能性はないのか。井上氏は「それはない」と否定し、「3年前に日産とルノーは契約を見直していて、日産が取締役会で決議すればルノーの株を買い増すことができる。いま日産はルノーの株を15%持っているが、これを25%に高めればルノーの日産に対する支配権が日本の法律上失効する。ゴーン氏が取締役会に残っているとそういう決議はできないわけで、今回ゴーン氏を切ることによって多数決でルノーとの縁が切られる状況にしたクーデターだと私もみている」と見解を述べる。

 では、日産とルノーの関係は今後どうなるのか。これについては、「フランス政府は今までの関係を続けたいが、日産はルノーの支配が強まるようだと関係を切る方向に動くと思う。日産はあくまでも対等な関係を維持したいと思っている」と指摘。ゴーン容疑者不在の日産については、「赤字になるとか車が売れなくなるということはなく、一時的な影響だと思う。ゴーン氏の豪腕経営がなくなると社内がまとまるのかという課題が中期的に出てくると思うが、いなくても乗り切っていけると思う」と述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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