2018年11月29日 13時42分 JST | 更新 2018年11月29日 13時47分 JST

都会にいる時、田舎にいる時、それぞれの“自分らしさ”を求めて。私たちは「二拠点生活」を選んだ。

憧れの二拠点生活、仕事や移動はどうしているの?

都会には都会のよさが、田舎には田舎のよさがある。

生き方や暮らし方の選択肢が広がりを見せている中、ここ数年で注目されているのが、都会と田舎の両方に住まいを構える「二拠点生活」だ。

複数の拠点を持ち、両方で暮らしを編んでいく生活には、どんな魅力や苦労があるのだろうか。今回ハフポストは、二拠点生活の実践者たちに話を聞いた。

西田香織 / HuffPost Japan
(写真左)赤羽孝太さん。一級建築士。長野県辰野町生まれ。長野と神奈川の2拠点居住を実践中。地方の廃屋をリノベーションして、地域住民と町外住民が交流できる場づくりを行う。一児の父で、妻と共に二拠点生活を実践中。 (写真中央)山下実紗さん。大学卒業後、貿易関連会社に勤務。その傍ら長野県の廃屋をリノベーションする取組を行う「0と編集社」の理事を務める。現在も東京と長野を行き来しているが、本格的な二拠点生活を計画中。 (写真右)大宮透さん。1988年山形県生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了(都市工学修士)地方創生の成功モデルとして知られる、長野県小布施町内の産学官民連携の組織「一般社団法人小布施まちイノベーションHUB」を立ち上げ、事務局長として活動を推進している。小布施町と東京の二拠点生活を実施中。

二拠点スタートのきっかけは「仕事ができた/つくったから」

――みなさん、どのようなきっかけで、二拠点生活を始めたんですか?

大宮:僕は地元が群馬県の高崎市で、まちづくりや政策づくりの仕事に携わっている関係で、2012年に長野県の小布施町に移住しました。

当時は「2年くらいで実績をつくって、また関東に戻ってくるかな」と"一時滞在"のように考えていました。地域の皆さんとの関係を構築していくにつれ、小布施での生活が板についてきて、今では小布施がメインの拠点になっています。

次第に地方と都市部の架け橋となるような仕事も増えていったため、「東京にも拠点が必要だ」と感じて、2つ目の拠点として東京にも家を借りました。

西田香織 / HuffPost Japan
大宮透さん

赤羽:私の地元は長野県の辰野町なのですが、大学進学を機に上京して、卒業後は建築士として首都圏に拠点を構えて仕事をしていました。

そのうち、だんだん活気を失っていく辰野町の様子に危機感を覚えるようになって、「何か地元が楽しくなるような活動ができないかな」と思うように。

そこで、行政の制度を活用しながら地元でも仕事をつくって、2年前から東京と長野での二拠点生活を始めました。

山下:私は学生時代に滞在型インターンで訪れた町が素敵で、すっかりほれ込んでしまったんです。社会人になってからも、2カ月に1度くらいのペースで足を運んでいます。

 

長野を訪れるたびに「ここで生活したい、ここの空気をもっと吸っていたい!」という思いが膨らんできました(笑)。これまで長野に滞在する時は、毎回ゲストハウスに泊まっていたんです。地域振興に関わる空き家のリノベーション事業に携わっているので、そこを住まいとして、これから二拠点生活を始めようと思っています。

西田香織 / HuffPost Japan

拠点≒生活があるからこそ生まれる"つながり、余白"

――2つの拠点を持つためには、それなりにコストもかかると思います。一時滞在の選択肢もある中で、わざわざ「拠点を設ける」のはなぜでしょう?

赤羽:「仕事と暮らしがどちらにも存在する」という環境をつくりたかったんです。拠点を持つことで、そのエリアが生活圏になる。生活圏で生まれるつながりって、仕事とはまったく違う奥行きがあって面白いし、そこから思わぬビジネスに結びつくこともあります。

山下:私も学生の時に1カ月間住み込みでインターンをしたからこそ、その町の人々の人柄や優しさに触れられたのだと感じます。生活してみないと見えてこないよさってありますよね。

大宮:単に仕事をこなすだけなら、拠点を持たなくても十分だと思います。僕も東京に通い始めた頃はホテル滞在で済ませていました。

だけど、一時滞在の場合って、余白が生まれないんです。基本、「用事が終わったら帰る」という考え方になる。拠点があると「しばらくこっちでゆっくりしよう」「ついでにあの人に会おう」「ちょっと近所の催しにでも参加してみようかな」といったように、過ごし方の選択肢が広がります。

赤羽:自治会の活動とか、生活しなきゃ絶対に関わることもないし。「こっちはホーム、あっちは仕事」みたいに、決めつけてしまうのはもったいない。

西田香織 / HuffPost Japan
赤羽孝太さん

大宮:確かに、その土地の住人になると、ご近所付き合いのような面倒なことも出てくるし、お金もかかってきます。でも、二拠点生活に関わらず、誰かと向き合って関係性をつくっていくのって、総じて面倒なものじゃないですか(笑)

本腰を入れてその地に根ざした活動をしていきたい、そこにあるコミュニティに貢献していきたい......そんな思いが芽生えてきたら、自然と拠点を持つようになるのかな。

都会にいる時、田舎にいる時、それぞれ違った"自分らしさ"

山下:「地域に根ざした活動をしていきたい」という名目がある一方で、私は自分の心のバランスを整えるためにも、長野に拠点を持ちたいと思っています。

東京での仕事は充実しているのですが、日々忙しく、心に余裕がなくなってしまいがちで。たくさんの出会いや機会に恵まれているのに、それを生かしきれていない自分にモヤモヤすることも多いです。長野に行くと、東京で張り詰めていた心が緩んで、余裕を取り戻せるんです。

西田香織 / HuffPost Japan
山下実紗さん

赤羽:場所が変わると、思考をリセットできますね。スイッチとしての"都会/地方"の移動は合理的だと思います。

山下:東京にいる時の自分と、長野にいる時の自分って、結構違うなと感じていて。仕事上の関係では見せられない一面が、長野では自然と出てしまうというか。どちらかが"本当の私"というわけではなくて、どちらも本当の私なんですけど。

大宮:都会が好きな自分と、田舎が好きな自分。格好つけたり背伸びしたりする自分と、気を抜いてダラっとしている自分。二拠点生活は、そういう"一人の人間の中にある多様性"を解放してあげられるという点でも、効果的なのかもしれません。

二拠点生活、やっぱり「移動」が大変です

――頻繁に行き来している中で「二拠点生活、ここがちょっと大変だな」と感じていることはありますか?

山下:地方では交通の自由度がないことが不便だと感じます。私は車を持っていないので、現地での移動は公共交通機関に頼っています。

赤羽:地方は電車もバスも本数は少ない上に、停車場間の距離が長いから、行きたいところにピンポイントで停まってくれない。

山下:そうなんです。連絡すれば現地の知り合いが車で迎えに来てくれるんですけど、毎回頼るのも申し訳なくて気が引けます。やっぱり、地方で生活するのって、車移動が前提になっている感じはありますよね。

大宮:そうですね。僕は車を4台持っています(笑)

西田香織 / HuffPost Japan

山下、赤羽:4台!?

大宮:現地の方々がお古をくれるんですよ。僕の拠点がコミュニティハウスになっていて、週末になると都会から5~6人くらい泊まりにくるんです。彼らに貸し出すのにちょうどいいので、「いる?」と聞かれると、ありがたくいただくようにしています。

車があると、田舎らしいアクティビティや温泉など、地域のよりディープな魅力にアクセスできるようになります。

山下:地域の魅力を伝えるためにも、誰もが利用しやすい公共交通機関の選択肢が、もう少し増えてくれるとありがたいですね。

高齢化に伴って不便さが増す"交通空白地帯"

赤羽:自分は車を持っているし、運転も苦ではないのでいいのですが、地元にいる親の運転がちょっと心配です。最近、母が車を買い替えたんですけど、「80歳になった時のことを考えて」と、最新の安全機能を搭載した軽自動車を選んでもらいました。

大宮:うちの両親は、車がないと不便なところに住んでいるのに、免許を持っていないので、これから先が本当に心配です。

山下:健康なうちはよくても、ちょっと体が不自由になってきたりすると心配ですよね。

大宮:タクシーを使うことはあっても、コストを考えると頻繁には利用できない。バスは気兼ねなく乗れるけど、家からバス停まで遠いと大変です。

赤羽:そういう"交通空白地帯"と呼ばれている場所って、都会にも結構あるみたいです。田舎に限らず、タクシーとバスの中間的な公共交通機関があると、助かる人はきっと多いですよね。

***

二拠点生活の実践者たちの声に耳を傾けてみると、それぞれの場所で"生活"を営む意味や、拠点を持つからこそ得られるメリットが見えてきた。一方で、地方で暮らしをつくっていく中では、「交通手段が限定的であること」という要素が課題になっている。

日本の路線バスは人口減少に伴う業績不振の影響で、その本数を徐々に減らしており、今後"交通空白地帯"は増えていく一方だろう。NTTドコモでは、こうした社会的課題を解決する手段として「AI運行バス®」を開発している。

「AI運行バス®」は、スマートフォンのアプリで配車依頼をすると"乗りたい時に、乗りたい場所から、行きたい場所まで運んでくれる"オンデマンドの乗合型交通システム。

従来の路線や運行ダイヤに縛られた路線バスとは異なり、運行区域内を小型車両が巡回しながら、利用者を任意の場所で乗降させる。AIを駆使したナビゲーションシステムを活用することで、利用者の移動ニーズをリアルタイムで処理しながら、最適なルートで目的地まで運ぶことが可能になっている。

「AI運行バス®」は実用化に向けて、全国各地で実証実験を行ってきた。2018年11月30日より、群馬県前橋市でも新たに実証実験が開始される。

この「AI運行バス®」の取り組みをはじめ、NTTドコモは高齢者や障がいを抱える人、妊娠中の人など、さまざまな個性に寄り添い、人々が自分らしさを発揮できる社会の実現をめざす「For ONEs」という取り組みを行っている。

「AI運行バス®」も実用化されれば、高齢者に限らず、多くの人々についている"交通の不便"という悩みを解消し、ライフスタイルの選択肢が広がるだろう。一人ひとりが自分らしく生きるための、一助になるはずだ。

(取材協力:Cift)

(取材・文:西山武志 撮影:西田香織 編集:川崎絵美)

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