Dynabook社が誕生。東芝のノートPCだったけど、シャープが買収した結果

店頭ではシャープグループであることは強調せず「Dynabook株式会社のdynabook」として展開していく方針
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Engadget Japan

12月3日、「dynabook」ブランドでPCを展開する東芝クライアントソリューション(TCS)は、シャープによる買収後はじめての中期経営計画を発表。あわせて、2019年1月1日より新社名を「Dynabook株式会社」に名称変更すると発表しました。

TCSは2016年4月に東芝のPC事業を引き続ぐ形で発足した企業です。今年2018年10月、東芝はシャープに同社株式の80.1%を譲渡。会長にシャープの石田副社長が就任し、シャープグループ入りにしました。

2018年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2018」では、シャープブースの中で製品を展示するなど、TCSは東芝ブランドを冠しながらも、シャープの一部として経営されています。

Dynabook
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▲「CEATEC 2018」ではシャープブースの中でdynabookを展示していました。

独立性は確保、IPOも視野に

TCSの石田会長は「dynabook」を前面に押し出すブランド戦略を発表。店頭ではシャープグループであることは強調せず「Dynabook株式会社のdynabook」として展開していく方針。ちょうどソニーから切り離されたPC事業が「VAIO株式会社のVAIO」として販売されている状況と似た構図になります。

石田氏はDynabook社について「3年後(2021年)までにIPO(株式公開)を目指す」と表明。ただし、実際にIPOを行うかは決定しておらず、あくまで「3年以内に上場に耐えられる経営体力をつける」という目安にとどまるとしています。

まずは法人向けを立て直し、「dynabook」ブランドで海外展開

現状のTCSについては、社長兼CEOの覚道清文氏が紹介しました。過去数年間にわたって続いた構造改革の結果、海外売上がおおきく落ち込み、製品ラインナップや営業力などで他社に劣る状況となっています。

新生Dynabookでは当初、法人向けに重点を置いて展開です。現在はノートパソコンが中心となっているラインナップに加えて、デスクトップ型やサーバー用のdynabookも揃えるなど、ラインナップの充実を図っていきます。

Dynabook
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▲現状のdynabookの中核を占めるのは法人向けノートパソコンを中心としたラインナップ

海外展開では、シャープの海外営業網を活用して、パソコン製品を広げていきます。シャープは業務用プリンターやPOSレジといった製品で欧州や北米での販売網を築いており、そこに相乗りして「dynabook」を売り込んでいく戦略です。

また、国内のみで提供している「dynaCloud」などのクラウドサービスについても、海外向け市場で展開を目指し、PC本体の販売とならぶ収益の柱としていく方針です。

なお、現在の「dynabook」の商標は日本国内でしか使われていませんが、2019年以降は、海外向け製品についても「dynabook」という商標を統一するとしています。

dynabook中期経営計画
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▲現在22%の海外売上比率を2020年度には42%まで拡大する。シャープが強固な販売基盤を持つ東南アジアに特に注力する方針で、アジア地域では販売規模で2年で163%となる急拡大を目指します。

Engadget 日本版 12月3日「新社名は「Dynabook株式会社」、"シャープのPC"が復活 」より転載しました。

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