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2018年12月07日 10時34分 JST | 更新 2018年12月07日 10時54分 JST

セックスしたい、したくない。言いにくいけど大事な言葉を伝えるスタンプが爆誕

産婦人科医の宋美玄さんが、「10~20代の人たちにも知ってほしい」とLINEのスタンプを考えました

同意・不同意や、性について話し合うきっかけになる文言を集めたLINEスタンプ
Ⓒ宋美玄/M 41 Co.,Ltd.
同意・不同意や、性について話し合うきっかけになる文言を集めたLINEスタンプ

大切なことだけど、パートナーや友達と話しにくいと感じてしまう「性」の意思表示。そのなかでも、雰囲気で押されてしまうと伝えにくい性的同意は、実は一番大事なカテゴリーかもしれない。

でも、本当はちゃんと伝えたい。

この悩みを解決すべく、産婦人科医の宋美玄さんや大学生らが12月、性の同意などを中心に、性の話のきっかけになるLINEスタンプをリリースした。

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LINEスタンプを考案した産婦人科医の宋美玄さん

性を語るハードルを低く。うさぎさんが伝える「嫌やったら言うてな」

いまの性教育では、性的同意について詳しく教えることがあまりない。中学生では保健体育の授業などでも「性行為」自体を教えられない。

だが、宋さんは「性についての話は、特に10~20代の人たちに知ってほしい」と話す。以前、著書「女医が教える 本当に気持ちのいいセックス」で、すでに伝えたい内容は書いた。

出版してから約10年間は、インターネット記事や雑誌、テレビや新聞などで性について話してきた。

しかし、そうした媒体ではなかなか学生世代には届かない。

思春期から大学生になるまでの期間、相手との距離感や、言葉一つに敏感になる。直接伝えると、相手も嫌な思いをするかもしれないし、角の立たない伝え方はないものか。

そんなとき、重苦しくなくカジュアルに、この世代にリーチできるのはLINEスタンプだと思いついた。

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性について語るきっかけになるLINEスタンプ

スタンプの内容は、堅苦しい教育の話ではなく、親しみやすくうさぎのキャラクター。関西弁にしたのは「関西弁だと、堅い感じにならない。ちょっと優しくやんわり言える気がしました」という。

パートナーとだけではなく、友達と語り合うきっかけにもなる文言をちりばめた。

うさぎさんが「あんたセクハラしてんで」と知らせるものや、「同意のない行為は犯罪やねんで!」と怒る描写もある。

相手が「ご飯に付き合えばセックスOKだ」などと本気で信じていたり「飲みに行けば同意」などと捉えている場合に、いきなり「ご飯以上はお断り」などと言えない。自意識過剰などと言われるのもつらい。

そんな場合の「飲みに行くだけやで」とそれとなく伝える手段にもなる。

性的同意ってなんだ

「部屋に来たらセックスしてもいいってサイン」「嫌っていうのもツンデレなだけ」「付き合ってるんだから、結婚しているんだから好きな時に触ってもいいじゃん」なんて考えている人は、要注意だ。

一度「いいな」と思っても、嫌だと考えが変わることがある。スタンプでは「今のところな」と、一時的な同意というスタンスがあることを知ってもらうものも用意した。

同意のない性行為は、犯罪になりうることもある。

12月6日には、酔った女性に対する準強制性交の疑いで、東京都世田谷区役所地域振興課職員の男(24)ら3人が警視庁新宿署に逮捕された。3人は容疑を否認しているという。

彼らは「ナンパの技術を学べる」とうたう「リアルナンパアカデミー」の塾長と生徒だった。

リアルナンパアカデミーでは、塾生が使える部屋を管理。この部屋に女性を連れ込んで酒を飲ませ、性的暴行を加えたなどの疑いで、すでに7人が逮捕されている。

宋さんは「積極的な同意でなければ、同意ではないということをしっかり分かってほしい」と話す。

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性について語る宋美玄さん

「後から『あのときエッチしなければよかった』と思わないように考えてほしい。大学生になる前から考えてほしい」

2人で確認していくコミュニケーションを

産婦人科医として、宋さんの元には普段から相談が舞い込む。「性に関することは、昔からほとんど同じ悩みで変わりません。AVを教科書にしているとか、『痛い』『嫌だ』って言えないとか。嫌でも相手を好きなら、しなきゃいけないのかと思ってしまう。そうじゃないんだよ、というメッセージを伝えたい」という。

診察の場では「ここだったら、聞いてもらえると思って」という泣き寝入りしたレイプの相談を受けることもある。

「『結婚したら、夫の要望を受け入れるのが妻の役目だと思って我慢している。断ってすねられるのはつらいから』なんて言われることも。付き合ってる場合もそう。気持ちは分かる。そこで飲み込まずに、ちゃんとコミュニケーションを取ってもらいたい」

相手が望まないセックスは性暴力。「イヤよイヤよも好きのうち」なんて論理はない。

相手に触れるとき、相手はどう思っているか考え、相手の気持ちを確認する。そして相手の意志を尊重する。そのコミュニケーションを怠ったら、自分本位で相手を傷つけるだけになる。

傷ついたとき、妊娠したとき、「ちゃんと言えばよかった」と自責の念に苛まれるかもしれない。

でも「『襲う』とか『妻・彼女の役目』なんて対等じゃない考えが性の世界にはなぜか根強く残っている。言えなかったと責めたり後悔したりしないで。コミュニケーションを怠ったのは、2人の気持ちを確認しせずに行為を進めた相手の責任」と宋さんは話している。

表現が使えないという課題も...

ただ、今回は当初LINEスタンプに入れたかった「『安全日』ゆうのはないんやで」「同意のない『性的行為』は犯罪やねんで!」などの文言は、変えざるを得なかったという。

LINEスタンプでは、「性的な表現」は禁止されており、文脈に関係なく「安全日」「性行為」「襲う」といった文章は却下されてしまう。

Ⓒ宋美玄/M 41 Co.,Ltd.
え、この表現でもだめなんでしょうか......

そのため「性行為」を「行為」に変え、安全日という単語は使わずに、コンドームの装着を促す「帽子は例外なくかぶってな」に表現を変更。

宋さんは「性の話題だから何でも表現をアウトにするという風潮は、つらいですね。ちゃんと伝えるべきことは、文言に関わらず伝えないといけないと思う。性教育にも言えることだと思います」と話している。