猛毒のソウシハギ、晩ご飯の鍋になっていた? 食べた家族3人は無事

三重県内のスーパーで販売、県庁が行方を追っていました。
売れ残っていたソウシハギとみられる魚
売れ残っていたソウシハギとみられる魚
三重県庁

日本列島が真冬の寒さに包まれた12月。鍋が美味しい季節だが、思わぬ落とし穴が待っていた。

■「うちで売っていた魚に毒があったかもしれない」

12月11日、三重県大台町のスーパーマーケット「味彩館キッチン海ものがたり」から、三重県庁に「うちで売っていた魚に毒があったかもしれない」と通報があった。

この魚は「皮はぎ」の名前で同日昼ごろに、3匹が店頭に並んでいた。11日夜時点で2匹がすでに販売済みで。売れ残った1匹は、長さ50cm幅15mほどで、重さは745グラム。480円の値札がついていた。普段売っていたカワハギと姿が違うことから、気になった従業員がネットで検索して通報したという。

売れ残りの1匹を県庁が調べたところ、カワハギ科のソウシハギの可能性が高いことが分かった。ソウシハギは内臓に、フグ毒「テトロドトキシン」の10倍の毒性がある猛毒「パリトキシン」を含むことで知られている。三重県庁によると、もし食べた場合には呼吸困難、歩行困難、胸部の圧迫、麻痺、けいれんなどの症状が出て、重篤な場合は死に至ることもあるという。

すでに皮が剥がされていたが、スーパーの担当者の聞き取り調査によると、体に黒と青い斑点があることなど、ソウシハギと酷似していたという。

11日夜の時点で、1匹は販売先を特定し、県庁が回収したという。しかし、もう1匹は特定できず、県庁は「健康被害が発生する可能性がある」と注意を呼びかけていた

■鍋料理にして食べたけど無事。なぜ?

この行方不明だった1匹は、三重県玉城町に住む人が購入し、家族3人で食べていたことが判明した。家族が12日に新聞記事を見て「うちで食べた魚では?」と思い、県庁に連絡したという。

13日午前に三重県伊勢保健所が職員を派遣し、この家族に聞き取り調査をしたところ、「家族3人で身も肝も鍋に入れて食べた。今のところ体調に問題はない」と話したという。毒の潜伏期間は12時間から24時間とされているため、県庁では「健康被害はなかった」と判断。骨を回収して、種の特定を急いでいる。

内臓ごと食べたのに、なぜ毒がなかったのか。三重県医療保健部の担当者は、ハフポスト日本版の取材に以下のように答えた。

「ソウシハギは生まれたときから毒があるわけではなく、エサから毒を体内に濃縮します。個体差があるので、今回は幸運なケースだったのかもしれません」

今後、三重県庁では種類の分からない魚を売らないように、小売店に広く呼びかけるという。

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