「テキストメッセージ税」を検討。カリフォルニア州の狙いとは?

「彼らはできるならトイレにだって課税するだろう」などSNS上で懸念が拡散されています。
ENGADGET 日本版

米カリフォルニア州の公益事業委員会が、携帯電話ユーザーのテキストメッセージ送信に課税する計画を検討していることが明らかとなりました。

同委員会が課税の根拠として提示しているのは、1930年代に制定されたPPP(公共目的プログラム)であるとのこと。これまで音声通話を対象としてきたものですが、携帯電話キャリアのテキストメッセージにまで範囲を広げる意向です。

新たな課税の根拠とされたPPPは、低所得者も通信サービスを利用できるように税金を使用する制度のこと。1990年代後半に全米の各州が「ユニバーサルサービス料」を徴収することを可能にしていました。

インターネットの登場時には、電気通信業界は電子メールやWebブラウジングなどは「情報サービス」であるとして、PPPの課税を免除されてきました。

しかし公共事業委員会の文書によると、人々が有線電話から携帯電話に移行するにつれて(音声通話以外の通信の比重が増えて)、PPPによる州の収入は2011年の165億ドルから2017年には113億ドルへ、実に3分の1も減少。その一方で、貧困層への補助金は同期間に6億7000万ドルから9億9800万ドルとなり、1.5倍に増加したとされています。

そして音声通話と携帯電話キャリアのテキストメッセージは同じ通信インフラを共有しているため、同プログラムの課税を適用できるとのこと。これにより、年間4450万ドルの収入を見込めると述べられています。

つまり課金の根拠が「キャリアの通信インフラを直接利用」となるため、iMessageやWhatsApp、FacebookMessengerなどの非キャリアが提供するメッセージングサービスは除外されることになります。ワイヤレス業界からは、追加の課税は携帯電話キャリアに大きな不利益をもたらすと批判の声が伝えられています。

アメリカの携帯通信事業者などが作る業界団体CTIAは、テキストメッセージが(PPPの課税の対象とならない)情報サービスであると「何度も」証明したとの文書を提出しています。

州規制当局は来月まではこの計画を投票にかける予定はないとしていますが、課税の対象となる(と予想される)ユーザーからは「カリフォルニアはもちろんテキストメッセージに課税したがってる。彼らはできるならトイレにだって課税するだろう」などSNS上で懸念が拡散されています。

早すぎる技術革新とインフラの変化に税制の更新が追いつかないことはままありますが、そうした法制度の空白や抜け穴が新技術の普及を後押ししている一面も否定できないでしょう。カリフォルニア州でどのような審議がされ、その結果が他の州や日本にどう波及するのか、見守りたいところです。

(2018年12月14日engadget日本版「「テキストメッセージ税」が米で検討 貧困者救済との名目」より転載)

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