札幌の爆発事故、原因はスプレー缶か。正しいガス抜きのやり方は?

業界団体は「火気のない風通しの良い屋外で作業する」と注意喚起していました。
スプレー缶のイメージ画像
スプレー缶のイメージ画像
Dorling Kindersley via Getty Images

42人が負傷した札幌市豊平区の爆発事故は、屋内でスプレー缶のガス抜きをしたことが原因だった可能性が浮上している。スプレー缶をゴミに出す際の正しいやり方を解説しよう。

■100本以上の除菌消臭スプレーを放出

12月16日午後8時半ごろ、札幌市豊平区で爆発が起き、居酒屋や不動産会社の事務所などが入る2階建ての建物が全焼した。爆発の勢いはすさまじく、半径約100メートルの範囲で、爆発した建物を含めて20棟、車両26台に被害があった。

消防隊員が消火活動に当たる爆発現場=16日午後9時半すぎ、札幌市豊平区平岸
消防隊員が消火活動に当たる爆発現場=16日午後9時半すぎ、札幌市豊平区平岸
時事通信社

朝日新聞デジタルによると「不動産仲介会社の従業員2人が、店内の片付けをしていて、室内で100本以上の除菌消臭スプレーを放出した後、手を洗おうとして湯沸かし器をつけた際に爆発した」と、捜査関係者は話しているという。

■かつてはフロンガスが使われていたけど...

国民生活センターによると、スプレー缶の噴射剤には、かつて不燃性のフロンガスが使用されていたが、オゾン層を破壊して地球温暖化をもたらすとして問題視され、1990年以降は使用が激減した。

フロンガスの代替品となった噴射剤は、液化石油ガスやジメチルエーテルが代表格だが、これらは両方とも可燃性だ。廃棄するためにガス抜きをしているときに、近くの火が引火して爆発する危険性があるという。

■これが大事。「火気のない風通しの良い屋外で作業する」

スプレー製品の業界団体である「日本エアゾール協会」は、スプレー缶の公式サイトで「正しいごみへの出し方」で、缶をカラにする際には「火気のない風通しの良い屋外で作業する」ように注意を促している。

同協会が勧める「正しいごみへの出し方」は以下の通り。

日本エアゾール協会の公式サイトより
日本エアゾール協会の公式サイトより
aiaj.or.jp

<STEP1>缶をカラにする

・製品を使いきって、缶をカラにする

・使いきれない場合は、中身を出して缶をカラにする

※どうしても缶をカラにすることができない時は、商品に記載されているお客様相談室や販売元にお尋ねください。

<STEP2>缶がカラになったか? 確認する

・缶を振って音を聞いてみる

・中身が残っていると『シャカシャカ』『チャプチャプ』などの音がする

※カラだと思っても・・・使用条件により、中身が少量残ることがある

<STEP3>ガス抜きキャップを使って、ガスを抜く

・製品に書いてある"ガス抜きキャップの使い方"をよく読む

「ガス抜きキャップ」がない場合は、ボタンを押してガスを完全に抜く

屋内で中身を出すと、近くの火気や静電気で引火することがあり危険

・ティッシュや新聞紙などに吹き付けることで、周囲への飛散に配慮する

<STEP4>ごみに出す(「ガス抜きキャップ」を使った後)

・キャップ(ふた)や噴射のためのボタン等、プラスチックを分別する

容易に取り外せない場合は、無理して外さない

・ごみの出し方は、地域によって異なる

不燃ごみ・資源ごみ(缶類・金属類)など、分別の仕方を確認して、ルールを守りましょう。

※エアゾール製品は、容器の耐圧強度と気密性によって、使いきるまで安全性が保たれていますが、多くの製品は、液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)などの可燃性ガスを噴射剤として使用している為、中身が残っているエアゾール製品の容器に、不用意に穴をあけたり、中身が残ったまま"ごみ"に出すと、火災や破裂事故につながることがあります。

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【編集部注】スプレー缶のゴミの出し方は自治体によって異なります。詳しくは、各自治体の公式サイトで確認してください。

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