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2019年01月16日 11時25分 JST | 更新 2019年01月16日 19時56分 JST

ハリウッドで障害者のストーリーが語られるのは嬉しい、でも俳優は健常者ばかりでうんざり。

アメリカのTVドラマで障害のある役柄の95%は障害のない俳優によって演じられているという事実

Mikael Vaisanen via Getty Images
イメージ写真

私は映画『The Upside』を見ていないし、今後見ることもないとないでしょう。1月11日に全米公開されたその映画は、『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストンが、元犯罪者を介護人として雇う四肢麻痺の億万長者、フィリップ役として主演しています。

今の所、映画の評価は月並みーでもそれが私が映画を見ない理由ではありません。私が障害を持つ女性として、健常者であるクランストンが障害者の役を演じている事に納得がいかないからです。

そう感じているのは私だけではありません。クランストンとこの映画は、Twitterで障害者コミュニティから大きな批判を受けています。それでも、クランストンは車椅子利用者のフィリップ役を演じる事を擁護しました。

J. Merritt via Getty Images
ブライアン・クランストン

「俳優として、僕らは他の人になりきる事、演じる事を求められています」と彼は英国記者協会(British Press Association)に話しました。クランストンによると、様々な役は多様なバックグラウンドを持つ俳優によって演じられるのが理想とのこと。

しかし、これは見せ掛けを演じている、という問題だけではありません。障害は人種、性別、性的指向と同じくアイデンティティなのです。ハリウッドの白人化が間違っているのと同様に、障害者の物語から当事者を消し去ることは許されないのです。

"映画やTVドラマの中で、よく重要な役をたまたま障害を持っている俳優が演じる事は未だにとても稀です。"

もちろん、沢山の障害者の物語が映画で語られてきているのは嬉しい事です。映画『ブレス しあわせの呼吸』(2017年)で、私が使っている人工呼吸器の開発を手助けした、ポリオ感染者でありイギリスの障害者支持者、ロビン・カヴェンディッシュについて描かれていると知った時に私は歓喜し、存在を認められた気がしました。

しかし、その役をアンドリュー・ガーフィールドーまたもや障害を持たない俳優ーが演じると知って、心が沈みました。

映画『ワンダー 君は太陽』(2017)が特殊メイクで主演俳優を遺伝的な頭蓋顔面変形の10歳の男の子に仕立てて2018年アカデミー賞ののベスト・メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされた時も同じように感じました。そしてその前は、『博士と彼女のセオリー』(2014年)でエディ・レッドメインがALSを発症した理論物理学者のスティーヴン・ホーキンス博士を演じてオスカーの主演男優賞を受賞。

そしてその前は、、、もう意図はお分かりでしょう。

クランストンは英国記者協会とのインタビューで、「障害のある俳優への機会不足」が生じているのを認めたが、それは障害のある俳優の中で役をもらう為に必要な「スターの地位」を確立している役者が少ないからだ、と反論しました。

では、そもそもどのやって「スターの地位」を確立すれば良いのでしょうか?ここで根本的な問題は、業界での障害のある俳優不足ではありません。それは、ハリウッドがまだ彼らをー当事者としての経験を演じるだけの才能と専門知識があるにも関わらずー、開拓可能な市場として認識していないからです。

有色人種やLGBTQの俳優は徐々にハリウッドで存在感を示してきています。それでも映画やTVの中で、よく展開された役柄をたまたま障害を持っている俳優が演じる事は未だにとても稀です。実際、障害を持つ人々がアメリカの人口の20%を占めていますが、TVドラマで障害のある役柄の95%は障害のない俳優によって演じられています。

クランストンは人気TVシリーズ『ブレイキング・バッド』のウォルター役でよく知られています。興味深い事に、この番組は私のお気に入り番組の一つであり、障害を持つキャラクターを実際に障害を持つ俳優が演じている数少ない番組でもあります。5シーズンの後2013年に好評のうち終了したこのこの犯罪ドラマでは、クランストンは高校の化学教師から麻薬の売人になった、脳性麻痺を持つ10代の息子を持つ父親役。(息子の障害はストーリーの中では小さな部分ですが)実際に脳性麻痺の障害を持つ俳優RJ・ミッテはクランストンの息子役で有名になりました。彼は妹の演技マネージャーに芝居を勧められ、「発掘」されました。

ハリウッドには、ミッテのように役をもらえるのを待っている俳優が無数にいます。昨年、全米キャスティング協会(Casting Society of America)によって初めて開催された「障害者の為のオープン・キャスティング・コール」には、1日だけで約900人の障害を持つ俳優がオーディションに参加しました。私は様々な役ー主役、助演、エキストラー全てでもっと障害のある俳優を見たいです。アクションスリラー、子供のアニメ、クリスマス映画でも見たい。そして業界人がもっと障害者に対して演技の道に進む事を勧めたら、、、どれだけの障害を持つ俳優をスクリーンで観る事ができるか想像してください。

障害を持つ人々は絶えず機会、スペース、プラットフォームの為に闘う事にうんざりしています。障害者の持つ才能がハリウッドで認められるまで、クランストンのような俳優は舞台を降り、マイクをその役を描写したくてたまらない当事者にあけ渡すべきです。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。