【戦略】映画「パンク侍」、Twitter史上初となる「全編無料公開」の裏側

担当者は「新しいことへのチャレンジとして、デジタル上のマスメディアで実施したかった」と述べた。
「パンク侍、斬られて候」メインビジュアル
「パンク侍、斬られて候」メインビジュアル
エイベックス通信放送提供

綾野剛主演の映画「パンク侍、斬られて候」が1月19日(土)、Twitter上で全編無料公開されることが明らかになった。24時間限定で、Twitter社が映画本編の無料公開を実施するのは初。

本作は2018年6月、劇場公開。同年12月から動画配信サービス「dTV」のみで配信されている。

■無料で見るには?

同作は「dTV」のTwitter公式アカウントで1月19日0時からライブ配信される。約121分のライブ配信終了後は、23時59分までであれば、スマートフォンでもPCでも、いつでもどの場面からでも視聴可能。

アカウントのフォローやリツイートなどの条件もなく、誰でも無料で見ることができる。

ただし、19日から20日に日付が変わった瞬間、視聴途中でも公開は終了されてしまうので、注意が必要だ。本編は約121分。遅くとも1月19日の21時57分頃から見始めなければ、最後まで見ることはできないとのことだ。

「パンク侍、斬られて候」は、芥川賞作家である町田康さんの小説が原作のエンタテインメント作品。映画では、宮藤官九郎さんが脚本、綾野剛さんが主演を務め、北川景子さん、浅野忠信さん、豊川悦司さんなどが脇を固める。

映画の製作は、複数の企業が出資する「製作委員会方式」が多い中、本作はdTVを運営するエイベックス通信放送が単独で製作した。製作ではなく配信が本業の企業が単独で映画を作ることは異例として、公開当時、話題になった。

■「チャレンジとしてデジタル上のマスメディアへ」

なぜ今回、Twitterでの無料公開に踏み切ったのか。ハフポスト日本版はエイベックス通信放送の担当者に取材した。

担当者によると、元々はdTVの視聴数を増やすPR施策の一環として、無料公開というアイデアが出ていたという。

その上で、旧来のマスメディアではなく、「新しいことへのチャレンジとして、デジタル上のマスメディアで実施したかった」とのことで、その中でも拡散性に優れたTwitter社に無料公開企画を提案した。

映画本編の無料公開はTwitter社にとって初めての取り組みだったが、快諾。実現に至った。

dTVのみで配信している作品を無料公開すると、同作を目当てにdTVを見る人が減るのではないだろうか?

同担当者は「コンテンツをdTVだけにホールドしたいとは考えていない」といい、今後さらなる「マルチユース展開も予定している」と述べた。

また、他のコンテンツのプロモーションをする上でも、「Twitter社とのパートナーシップ構築の1歩目としてのメリットも強く感じている」とのことだ。

コンテンツビジネスにおいて、DVDや本などの有料コンテンツと同じ内容を無料で公開する手法は徐々に増えている。

最近では、歌手のw-inds.が24時間限定でライブ映像をYouTubeに公開したり、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんが著書をウェブ上で全編公開するなど、様々な取り組みがなされている。

今回、約2時間の映画全編をTwitter上で無料公開することがどのような結果となるのか。今後のコンテンツビジネスの新たな標準になるかもしれない。

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