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2019年02月07日 06時42分 JST | 更新 2019年02月08日 01時15分 JST

私は聞いた。クレーマーに耐えるコールセンター女性の声を。寄り添うツイートに大きな反響

「日本のどこかにいるあなたへ」。投稿はそんな一文から始まった

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小売店のイートインコーナーに居座った男性が、長時間にわたってコールセンターの女性に苦情を浴びせ続ける──。

そんな「クレーマー」を目撃した北海道在住の店員が2月3日、Twitterで思いをつづり、大きな反響を呼んでいる。

「日本のどこかにいるあなたへ」という書き出しで始まる一連の投稿は、たった一人でクレームに対応し続けた女性オペレーターに寄り添うだけでなく、同じような体験をしたかつての自分をいたわる気持ちから生まれたという。投稿主に思いを聞いた。

ツイートをしたのは北海道の小売店に勤める30代の女性店員。2月3日の昼前、いつものように店内で働いていると、1人の男性がふらっと入ってきた。

年の頃なら60代。食べ物を買うと、レジ近くにあるイートインコーナーに腰掛け、ノートパソコンをいじり始めた。

スマホ充電しながら延々苦情

男性は店が提供するフリーWi-Fiを使い、インターネットをしているようだった。

午後1時ごろ。男性はおもむろにiPhoneで電話をし始めた。女性は昼食でいったん店番を外れた。戻ってみると、男性はまだ通話していた。

「長いな」。女性はそう思って見てみると、男性はスマホをイートインコーナーのコンセントに差し込みながら話していた。

男性はスピーカーホンで話しているので、レジ打ちをしているとやり取りが聞こえた。

会話の内容から、男性はどうやらインターネットサービスでトラブルがあり、提供会社のコールセンターに苦情を言っているようだった。

男性の口調は次第に厳しくなり、激こうし始めた。「あの人、何なの?」。ほかの客は眉をひそめる。女性は苦笑するしかなかった。

「よくある『大変なお客様』レベルではないな」。自身も接客の仕事が長いだけに直感した。

通話はまだ続く。レジ打ちをしながら耳を立てると、iPhoneから漏れてくる声が聞こえた。相手のオペレーターは若い女性だった。

気分が悪くなった。大声を出したりテーブルをたたいたりするようなことがあれば、すぐさま警察を呼ぼうと決めていた。

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「屈服」させた瞬間、上機嫌に

「お客様の仰る通りです。申し訳ありません」。2時間ほどたった後、オペレーターがついに「屈服」させられた。

「謝るぐらいなら、なんで最初から聞いてくれないんだ」。男性はたたみかけたが、すぐに上機嫌になった。「あなたにもいい勉強になったでしょう」と、笑顔さえ見せた。

その瞬間、最も怒りがこみ上げた。

その日夜。女性は寝る前にこのことを思い出した。「あの若い人、大丈夫かな」。どこかにいるであろう彼女に、声をかけたくなった。

パソコンを起動させ、Twitterの画面を開く。「日本のどこかにいるあなたへ」。そんな書き出しでツイートし始めた。

投稿はオペレーターだけに向けたものではなかった。プロバイダ契約の勧誘、化粧品の店頭販売......。15年以上にわたって接客し、何度も同じようなつらい目に遭ってきたかつての自分もいたわるようにキーをたたいていった。

「ああいうお客様は一定数いるんです。そういうものだとあきらめて働くしかない。不愉快を感じない接客の仕事なんてありませんし、ある程度は耐えられます。でも、2時間にわたるあの電話は異常」

こうした激しいクレーマーには男性が多い、と女性は自らの経験を振り返る。「もちろん、すべての男性がそうではありません。でも、苦情の応対をしていると、男性による女性蔑視を感じます。こちらが男性に交代すると、急に態度が変わります」

反響の多さに驚く

翌朝、ツイートが多くの反響を呼んでいるのに驚いた。

「とりわけびっくりしたのは、コールセンターや接客の仕事で同じような経験をした人からの反応が多かったことです。こんなにも似たような、嫌な思いをした人がいるのかと。被害者が『可視化』された気がしました」

仮に自分が応対していたら、どうしただろうか。女性は言う。「可能な限り自分で対応し、それでも対応しきれないと思った場合は上長に判断を仰ぎます」

そしてこうも本音を打ち明けた。

「お客様に反論するようなことはしません。お客様の行動を是正することが私の仕事ではないので。でも、お客様とのやり取りが終わった後、心の中でこう思うでしょう。『死ねばいいのに』」