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2019年02月07日 11時03分 JST | 更新 2019年02月07日 11時03分 JST

残業時間・有給休暇の仕組みが変わるのを知っている?「働き方改革」施行まで残り約50日

高度プロフェッショナル制度について、専門家は「良く言えば柔軟な働き方、悪く言えば"定額使い放題"になる」と話す

残業時間・有給休暇の仕組みが変わるのを知っている?「働き方改革」施行まで残り約50日

 「働き方改革、いよいよ待ったなしであります。この4月から、大企業では36協定でも超えてはならない罰則付きの時間外労働規制が施行となります。企業経営者の皆さん、改革の時は来ました。準備はよろしいでしょうか」。

 先月28日の施政方針演説でそう呼びかけた安倍総理。時間外労働の罰則付き上限規制や、年収1075万円以上の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」など、賛否を呼んだ「働き方改革」によって、私たちの生活は4月からどう変わるのか。5日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、働き方評論家の常見陽平氏に話を聞いた。

 まず、残業について考える。月45時間・年360時間という原則に変わりはないものの、繁忙期などの場合は単月100時間・複数月平均80時間・年720時間に変更される。中小企業には猶予期間があるものの、違反した場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰則となる。また、月60時間を超える残業の賃金割り増しについては、中小企業の残業割増賃金率が25%から大企業と同じく50%に引き上げられる。違反した場合、これも6か月以下の懲役または30万円以下の罰則が課せられることになる。

 年次有給休暇の取得も義務付けられる。現状は労働者から取得を申し出る形になっているが、上司が労働者の希望を聴き、それを踏まえて時季を指定する形が加わった。こちらは違反の場合、30万円以下の罰金だ。

 常見氏は「残業時間の上限規制については、今までもあった"36協定"をよりワークさせるための規定が設けられた。ただし、単月100時間というのは過労死ラインを超えているという問題もある。有給取得の義務付けについて補足すると、年10日以上の有給が付与されている者というのが前提で、5日は労働者が自由に取るもの、残りの5日は使用者が休ませるものとなる。結果としてサービス残業が増加してしまっていったり、有給を取る前日の労働時間が長くなる傾向が強くなったりする可能性がある」と指摘する。

 これについて、Twitter上には「残業規制されたら残業代で飯食ってる僕みたいな人はどうなっちゃうのよ。それに残業なんて無かった事にされたら意味無いじゃん」「こんなんされたら私まじで生きていけない。残業代があるからなんとか生活できてるのに残業規制すると国に何のメリットあるの?国民の収入が減って景気がさらに落ち込むだけじゃないの?」といった不安の声もある。

 常見氏は「簡単にいうと、その分賃金を上げろという話だ。収入が減るという問題に関しては、一部の企業では残業削減手当といって、個人レベル、組織レベルで残業を対前年比で何%か減らしたら、その分の残業手当を出すという制度が始まっている。あるいは残業をしようがしまいが残業手当を45時間分出して、45時間を超えた分はちゃんと払うという会社もある。ただ、皆さんには"そもそも残業代とは何か"ということを議論してほしい。残業したときの割増というのは、労働者の頑張りに報いるという意味なのか、割増を払わなくていいよう労働時間を削減しろと企業に促すものなのか。海外では割増がもっと多く、経営を圧迫するから残業させない方向にいく国もある。その点、日本は中途半端だ。ゼネラリスト的な働き方をしているため、仕事の切り分けもしにくい。だから結局、"残業代を払っておけばいい"という考え方になるし、ブラック企業は払わなければお得だろうという考え方になってしまっている」と訴えた。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「本来、有給休暇は会社側と時期を決めておくものではなく、急にライブに行きたいな、とかなったときに好きに取るものではないのか」と疑問を呈する。

 常見氏は「安部さんの話は正論だ。僕もサラリーマン時代は、ゴホゴホ言わないと上司も納得しないかなと思って、わざと咳をしながら電話をしたりしていた。本来はアイドルが脱退したとか、"◯◯ロス"とかで休んでもOKのはずだ。仕事の繁忙を読みやすい製造業の現場は2か月先でも有給を取っておくことができるし、全部取らせる方向でやっている。ただし日本はゼネラリスト型で、仕事も複数抱えているので、なかなか休みが取りにくい。今回の改革によって、休暇が固定化されてしまうのは若干危険だ」とした。

 また、常見氏は「高度プロフェッショナル制度」についても、「良く言えば柔軟な働き方、悪く言えば"定額使い放題"になる。年収や職種が限定されているものの、この小さな風穴が今後どう広がっていくのか。ポジティブになるのかネガティブになるのか、これはちょっと気をつけないといけない。対象でなくても、たとえば芸能界やマスコミでも、マネージャーさんや編集者さんが夜中に対応してくれないと困るという意見もあるが、みんなが思いやりを持っていかないと、なかなかの地獄だし、"楽しければいくらでも働けるよね"というのも危険だ。気が抜けたり、環境が変わったりするとバタッと倒れることがある。僕も昔、うつで会社を休んだ」と警鐘を鳴らす。

 「働き方改革が叫ばれて以降、今も負の連鎖みたいなものが起こっている。いわば"働き方を変えましょう"という話が、"働かせ方"を変えましょうという話になり、時短問題に矮小化されているとも思う。仕事のどこを削りましょう、役割分担をどうしましょう、そもそも人間がやるのか、やる場合には人を増やし、トレーニングも必要だといった、トータルなデザインができている会社はいい。そうではないところは、叩かれるのが嫌だから、気合と根性で残業時間を減らせとか、残業代がつかない管理職に丸投げするようになる。実際、そういう"時短ハラスメント"によってカーディーラーの管理職が自殺するという事件まで起きている。いずれにしろ、認知度が低すぎる。日本商工会議所が中小企業を対象に実施したアンケートによると、上限規制について知らないと答えた経営者が約40%、有給取得についても知らないと答えた経営者が25%に登っている。中小企業での導入は来年からとは言え、あまりにも認知度が低くないだろうか。取引先も含めて、互いに分かり合うことが大事だ」。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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