アート&カルチャー
2019年02月11日 10時47分 JST | 更新 2019年02月11日 10時47分 JST

『逃げるは恥だが役に立つ』連載再開。作者の海野つなみさん「こうあらねばならない、捨てるのも手」

「生きづらさ」との付き合い方をインタビューで語りました。

朝日新聞社
主人公・森山みくりの伯母(おば)で50代・未婚の土屋百合は、年齢にとらわれすぎる生き方を「呪い」と断じ、若さを至上の価値として振りかざす年下女性を諭す=(C)海野つなみ/講談社

「こうあらねば」捨てるのも手 「逃げ恥」作者海野さん

 漫画「逃げるは恥だが役に立つ」の連載が25日発売の「Kiss」3月号から再開された。森山みくりと津崎平匡(ひらまさ)を中心に展開されるラブコメは、今の社会の「生きづらさ」をも浮かび上がらせた。作者の海野つなみさんに聞く、「生きづらさ」との付き合い方。(大木理恵子)

■あれから2年、みくりはミセスっぽく

 ――「逃げ恥」、再開されました

 前作が終わってから2年くらい経った設定になっています。みくりちゃんもミセスっぽくなっています。見た目も変化をつけた方がいいかなと思って、平匡(ひらまさ)さんの「ある部分」を変えてみたんですよ! 皆さん気付いたかな。

 ――前作の「逃げ恥」では、固定観念にとらわれない多様な結婚観や恋愛観、働き方が描かれました。周辺キャラクターとして登場したLGBT(性的少数者)の同僚も、物語へ自然に溶け込んでいます。現実の社会はどうでしょうか

 昔に比べるとずいぶん変化したように思いますけどね。地方だと、私の10歳くらい上の世代の方に話を伺うと、「女学校を出たらすぐに親の決めた人と結婚するものだ」という空気がまだあったそうです。私の学生時代にはそういう空気はもうなかったですが、都会と地方でも違ったんでしょうね。

 ――ここ30年ほどの変化は特に大きいですね

 都市部と地方では今でも結婚観に開きがあると思います。「逃げ恥」で描いた契約結婚の世界を、「憧れます」「うちも事実婚なんで」という風に一定のリアリティーをもって読んでくれたのは主に都市部の人でした。一方、「こんな世界があったら......」というファンタジーとして楽しんでくれた人は、地方に多かった気がします。

■結婚で押し寄せる「~~せねば」

 ――私もいわゆる「結婚適齢期」の年代です。でも、まだ結婚を自分の問題として考えるのを避けているところもあって......

 結婚にしても、本来なら好きな人と暮らすのは楽しいはずです。でも、結婚したとたん様々な「○○せねばならない」が乗っかってくる。結婚したらしっかり稼がねば。家を常にきれいに掃除しておかねば。夫の、妻の責任を果たさねば――。そういうのが嫌で結婚しない人もいますよね。

 でも、それは恋愛でも同じことです。「彼女はお弁当をつくるもの」「デート代は彼氏が払うもの」「恋人は毎日LINEをするもの」となっちゃうと、すごくしんどいですよね。「こうあらねばならない」を捨てて、「世にある○○というものに、自分もなる」と考えることをやめるという手もあると思います。

 ――そうかも知れません

 自分で空回りして、相手が望んでいるわけでもないことに引きずられることはよくあります。我慢して、相手の望む自分を演じてしまう。でも、お互い、もっと気軽に言い合える方が楽だし、長く続きますよね。世間一般にある「型」に自分をはめるよりは、個々でカスタマイズ。不都合が生じたら、その時点でまたカスタマイズ。その方が生きるのも楽な気がしますね。

(朝日新聞デジタル 2019年02月11日 08時00分)

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