川上量生さん、ドワンゴ取締役とカドカワ社長を辞任。これまでの経緯は?

ニコニコ動画で一世を風靡。スタジオジブリにも「プロデューサー見習い」として参加
川上量生さん(2017年撮影)
川上量生さん(2017年撮影)
時事通信社

川上量生(かわかみ・のぶお)さんが自ら創業したドワンゴの役員を辞任し、親会社のカドカワ社長も辞めた。ドワンゴの業績悪化による引責辞任とみられる。カドカワが2月13日に発表した

2018年11月にドワンゴがリリースした位置情報ゲーム「テクテクテクテク」が振るわなかった。そのことが原因でカドカワは2019年3月期の連結業績予想を下方修正することになり、当初予想では54億円の黒字となるはずだった最終損益は、43億円の赤字となったという。

カドカワの後任社長は、専務を務めていた松原真樹さん。ドワンゴの荒木隆司社長も同日付で辞任し、元NTTドコモ執行役員の夏野剛取締役が就いた。

■ニコニコ動画で一世を風靡。スタジオジブリにも参加

cakesなどによると、川上さんは1968年生まれ。京都大学工学部を卒業後、ソフトウエアの専門商社に入社。同社倒産後の97年、パソコン通信用の対戦ゲームを開発する会社としてドワンゴを創業。2000年に代表取締役会長に就任した。

ドワンゴは携帯ゲームや着メロのヒットで業績を伸ばした。2006年から子会社のニワンゴで開始した「ニコニコ動画」が一世を風靡した。

川上さんはドワンゴを率いながら、2011年に宮崎駿監督らが所属するスタジオジブリに入社。「プロデューサー見習い」として「風立ちぬ」などのアニメ映画に関わった。2013年からは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズを手がけるカラーの取締役にも就任している

2014年には「ネットとリアルの会社が一つになる」として、角川書店などを傘下に持つ出版大手のKADOKAWAと経営統合し、株式会社KADOKAWA・DWANGOを設立した。2015年に同社はカドカワに改名した。

川上さんは代表取締役会長や代表取締役社長として、カドカワの経営トップに君臨していた。

しかし、ドワンゴは主力サービスであるニコニコ動画の有料会員数が2016年の256万人をピークに減少を続けている。2018年9月末には194万人と、2013年以来初めて200万人を割った

ニコニコ動画のサービス内容への不満の声などを受けて川上さんは、2017年12月にドワンゴの代表取締役会長を辞任して代表権をもたない取締役CTOに退く結果となった。

経営統合によるシナジーが期待された角川書店グループとドワンゴの経営統合だったが、今回の辞任劇は一つの節目となりそうだ。

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