三度目の正直、ラオスで大魚を夢見て

皆さん「雷魚」という魚を知っていますか?日本にも生息する雷魚(外来魚)は、頭がヘビに似ているので「スネークヘッド」とも呼ばれています。

内陸国ラオスでは海がないため、釣り好きの人々はタイの国境に沿って流れるメコン川や湖沼で魚釣りを楽しみます。実はメコン川では、781種の魚種が確認されており、アマゾン川の1,271 種に次いで世界第2位の魚類の多様性を誇っています(Fishbase、2009年)。AAR Japan[難民を助ける会]ラオス・ビエンチャン事務所の岡山典靖が、ラオスでの釣りの話をお届けします。

念願の大魚は釣れるのか...

小学生のころから池での魚釣りに夢中になり、6年生で釣った魚を水槽で飼うようになり、中学生になってエンゼルフィッシュなどありとあらゆる熱帯魚を飼うようになり、水槽で魚が卵を産んで繁殖すると興奮したものでした。ラオスに赴任したころ、すくい網をもって週末は真っ先に近くのドブ川で小魚をすくっては「おっ、図鑑で調べたあの魚だ!」などとひとりで感動していました。

皆さん「雷魚」という魚を知っていますか?

日本にも生息する雷魚(外来魚)は、頭がヘビに似ているので「スネークヘッド」とも呼ばれています。ラオスなど東南アジア一帯には、とてもきれいな縞模様をした「ジャイアントスネークヘッド」という雷魚の仲間がおり、最大1メートルになる大魚だそうです。

兼ねてから一度はこの魚を釣ってみたいと思っていました。

雷魚は細長い胴体の淡水魚です

ラオス駐在中にこれまで2回スネークヘッドを釣りに行きました。

1回目に釣れたのは魚ではなくカエル(魚が全く釣れなかったので葉っぱの上で休んでいたカエルの鼻先に餌のミミズを垂らしたら食らいつき、それを釣果として釣れたことに)。

2回目はお目当てのスネークヘッドの代わりに、変わり者の淡水のフグが釣れただけでした。日本ならどの季節に、どんな場所で、どのような魚が釣れるのか、そしてその釣り方も熟知しているのですが、ここラオスではそれがまったくわかりません。

しかしそれでも三度目の正直ということで、4月のある週末、日本のNGO仲間を誘い、「釣りは任せておけ」と豪語して、夜明けに地元の市場で餌となるセミの幼虫とタニシを買い、田舎の方のとある湖に行ってきました。

湖岸から見る水の景色はすばらしく、釣り場についたときは二人とも意気揚々たるものでした。

今回釣りに行った湖(2017年4月1日)

ところが開始して早々、友人がリールで投げた仕掛けが沖の方の岩に引っかかってしまいました。

「しょうがないなぁ、取ってきてやるよ」と湖に入ったはいいものの、足を踏み入れると湖の底はニュルッとした泥で気持ち悪く、少し進むと水深も深くなり、「自分の仕掛けは自分で取ってきて」と友人と交代。

彼はパンツ一丁になって軽快に水に入っていき、仕掛けを取り戻すことができました。しかし、その後も2~3時間粘ったものの、まったく魚の影もなく、むなしい時間が過ぎていきました。

しばらくして近くに地元の女性二人がやってきて、彼女たちが長い竹竿で次々に魚を釣り上げていました。

遠目からしか見えませんでしたが、彼女たちが釣っていたのは、おそらくシルバーバルブ。

ラオスの淡水域でよく見かける、フナに似たコイ科の魚です。よく、大きいものは一匹丸ごと塩焼きに、小さいものであれば数匹並べて串焼きにして売られています。

彼女たちも塩焼きにして夕飯にしたのでしょうか。どんどん魚を釣り上げていく彼女たちを見ていると、さらにむなしくなり、こちらは二人とも無言となりました。

「あれ岡山さん、釣りは上手って言ってたじゃないですか」

「・・・」。

湖を後にした二人でした。

また雨期が始まったら挑戦したいと思います。

友人のために仕掛けを取りに行くのをあきらめて戻る筆者。

「深い...」「やっぱり自分で取ってきて」(2017年4月1日)

【執筆者】

ラオス・ビエンチャン事務所 岡山典靖

2004年6月よりラオス・ビエンチャン事務所に駐在し、車いすの製造・普及、障がい者の収入向上、車いすバスケットボールの活動など、障がい者支援に従事。50歳、愛知県出身

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