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2018年06月07日 11時23分 JST | 更新 2018年06月07日 11時55分 JST

東京の待機児童問題の解決策?町田市で大人気の"送迎サービス"とは

町田市が運営する「つながり送迎保育園」とは

 1日の定例会見で「都内の待機児童数が昨年に比べて全体で3100名減少した」と、待機児童対策が着実に成果を上げていることを訴えた小池都知事。

 その取り組みの一つ、国家戦略特区制度を利用し、去年4月、荒川区南千住(汐入地区)の公園内にオープンした認可保育所の「にじの森保育園」を訪れると、内部は子どもたちが走り回れるほど広々と作られており、現在0〜6歳までの142人の子どもが通園している。さらに、子どもを預けていない母親の悩み相談を保育士が無料で聞いてくれる「子育て交流サロン」も併設、屋上には地域交流の場として、一面に人工芝の敷き詰められた広いスペースも整備。自身も"保活"に苦労したという犬山紙子氏は、施設の充実ぶりに驚きを隠せない。

 荒川区の待機児童の数は4月1日時点で80人いるとされているが、区内全体では保育園に415人分の空がある。「にじの森保育園」の渡邉真弓園長も「汐入地区には待機児童がほとんどいない。空いている園もある」と話す。

 その背景には、区内での待機児童と保育園の定員の"ばらつき"の問題があるのだ。

 徒歩で30分近くかかる認証保育園に1歳、3歳、5歳の子どもを送り迎えしている東京・港区在住の本山さんは、「自宅は港区の品川駅寄りだが、青山、麻布の方の保育園なら空いていると言われる」と話す。現在4人目を妊娠中の本山さんにとっては送迎だけでも負担だが、品川駅周辺の再開発に伴い、現在通っている保育園が立ち退きを迫られているため、将来的には品川、麻布、赤坂にある別々の保育園に預けなければならなくなる。「もう車がないと。しかも3人乗せるとなると、チャイルドシートだけで大人は座れませんみたいな...」。

 渋谷区から品川区まで電車で送り迎えをしている平本さんは、「雨が降ったりダイヤが遅れたりすると、一気に人が押し寄せてきて。抱っこしたり、手を繋いだりするが、子どもとは乗れなくてタクシーで送り迎えしたこともある」。

 元衆議院議員の宮崎謙介氏は「議員会館の保育園に子どもを預けているが、都の認証保育園なので、議員が特権で使っているわけではない。実際に半年待って入園したので、待機児童問題を実感していた」と話す。「議員辞職後も待機児童対策をウォッチ、23区の区長10名以上にヒアリングしてきた。区によって取り組みは様々だが、みなさんおっしゃるのは、"イタチごっこのように待機児童が出てくる"ゼロにするのはなかなか難しい"ということ。企業であれば、どこにどういうニーズがあるかマーケット調査をした上で手を打つが、行政が場当たり的にやっている部分が多く、待機児童が200人いるから200人分埋めようとやっている。施設をどんどん作っていっても、ある時から確実に子どもの数は減っていき、また違う問題が出てくるはずだ」と指摘する。

■町田市が運営する「つながり送迎保育園」とは

 こうした状況を打開するための取り組みが、東京・町田市で始まっている。

 同市では、町田駅から徒歩5分の場所にある「つながり送迎保育園」に子どもを預けると、市内12か所の保育施設へ送迎してくれるサービスを去年10月に開始した。月額利用料は2000円ほどかかるが、近所に保育園がない保護者や、行かせたい保育園が遠くにある保護者からは大人気だ。保育・幼稚園課の押切健二課長は「町田駅周辺は非常に待機児童が多い一方、送迎先の12園は定員に余裕があった。これをいかに有効活用するかと考えた」と話す。

 昨年、待機児童数が約230人いた町田市で"ミスマッチ"を解消する役割を果たしている「つながり送迎保育園」。しかし、サービス開始から定員を10人追加、30人にしたが、これ以上の子どもを預かることは難しいという。

 今年3月まで小池都知事のブレーンとして待機児童対策を担当してきた鈴木亘・学習院大学教授は「画期的な点は自治体がやっていること。千葉県で同様の取り組みがあり、最近になって広まった。駅から離れている地域では定員が少し空いている保育園が多い。そこを有効活用できるので一石二鳥、三鳥。送迎サービスを行う自治体の特徴は、面積が広いということ。駅を基点にすると複数の区にまたがってしまう可能性があり行政的に難しいが、世田谷、練馬、江東区などではこういうシステムが作れる」と話

 宮崎氏は「送迎問題は私も苦労した。中央区に引っ越したが保育園の空きがなく引き続き議員会館の保育園に通わせている。バスと電車を乗り継いで30分くらいかけて送迎しているので、これは本当に画期的なサービスだと思う。ただ、例えば江東区の端に住んでいる人が隣の区にある近くの保育園に通わせたいと思っても、行政をまたいでいるのでできないですというのはバカバカしいことだ」と話す。

 これについて鈴木氏は「待機児童対策は基礎自治体である区・市がやっているが、本当は都が広域調整をするのが現実的だ。また、公的にやると公平性でどうしても限界があるので、民間同士が手を組んでバスを走らせるなど、色々なやり方を組み合わせて、そこを行政が補助することの現実的だ」とコメント。「保育の世界もビジネスにすべきだと思っている。"待機"というのは、サービスの量が足りないということ。普通は足りない=ビジネスチャンス。経営者が入ってきてビジネスを始めれば、あっという間に問題が解決するだろう。しかし現状ではビジネス感覚を持った人たちが参入できないような色々な規制がある。もっと規制、価格、参入を自由化して、切磋琢磨させ、コストを安くしていく必要がある。介護分野ではそういうことをした」と提言した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶放送済み『AbemaPrime』の映像は期間限定で無料視聴が可能。

(2018年2018年6月7日AbemaTIMESより転載)