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2018年07月18日 12時34分 JST | 更新 2018年07月18日 12時34分 JST

「SNSユーザーは右傾化」「若者の政治離れ」は年寄りが鬱憤を晴らすための見方?

「歳をとればとるほど、右も左も極端な意見を言いたがるようになると指摘されている」

 TwitterやFacebookへ日々接触する層ほど、安倍内閣の人気は高いのだろうか。朝日新聞が世論調査の結果を報じた記事が話題を呼んでいる。

 これは6月、新聞と支持率の関係について麻生太郎財務大臣が「若い人の方が自民党の支持率が高いんだから。はっきりしていることは一つ。10代、20代、30代前半、一番新聞読まない世代です。新聞社いっぱいいるけど、頭入れといたほうがいいよ。新聞読まない人たつは全部自民党なんだ(笑)」と指摘した発言に近い傾向だとも言える。

■佐々木俊尚氏「年寄りが鬱憤を晴らすだけの記事」

 16日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演したジャーナリストの佐々木俊尚氏は「年寄りが若い奴を批判して鬱憤を晴らすだけの記事だ。こういう話になると必ず"SNSは見たいものしか見ないようにさせ、分極化を促している"という、テレビ的でステレオタイプな議論で終わってしまうが、全然違うと思う。13日に富士通総研が発表した調査結果によると、実は歳をとればとるほど、右も左も極端な意見を言いたがるようになると指摘されている。そして意外にも10代、20代の若い人たちは、インターネットによって多様な意見に触れているので、実は偏ってない可能性があると指摘している」と話す。

 その上で佐々木氏は「内閣支持率が高くなることを"ネトウヨ化""右傾化"と見るのか、それとも"穏健な保守言論の増加"と見るのか。見る側によって変わるというだけの話だと思う。自民党が嫌いな人とは"ネトウヨ化している"と騒ぎたがるだろうし、安倍さんが好きな人達は真っ当な傾向だと言いたがる。まずは一歩引いて、ポジショントークをしないで語ることが大事だ。Twitterの技術的な問題でもあるが、拡散のスピードが速く、過激な意見ばかり浮上してしまう傾向にあるので、発信した側がますます過激になっていく。そうすると真ん中あたりにあった意見がどんどん左右に分かれていって、激しい意見ばかりが目立つようになる。だからもう少し穏当に意見交換ができる場所を作らないといけないという話に繋がってくると思う」とした。

 拓殖大学非常勤講師の塚越健司氏は「SNSというのは要するに友達や自分の趣味嗜好にあったものを見るものなので、そこを情報源にしてるということは、友達の話などの人のつながりの中で流れて行く感じになっていくのだと思う。また、自民党好き=ネトウヨということではない。過激な意見を目にしたとしても、半分"ネタ"として見ているひとが多く、本当の意味で政治的に目覚めて運動に向かう人はごく一部だ。ただ、情報をたくさん見せれば正しい判断ができるようになると考えている人も多く、最初はインターネットもそのために役立つと言われてきたが、それは大間違い。行動経済学で最近注目されているのは、人間は限定的な合理性しかもっていない」と話す。

 若者研究の専門家の原田曜平氏は「SNSとニュースサイトは意識の上では分かれているのだろうが、ニュースサイトの情報はSNSにも流れてくるので、調査設計上の問題点はある」と指摘した上で、「おそらく、この調査結果の"SNS"は、ほぼTwitterのことだと思う。それでも政治家をフォローしていたり、政治の情報が入ってくる機会は少ないと思うが、内閣支持、つまり少し右寄りの意見を持っている人が多く、友達がリツートした情報が出回ってくるなどして、価値観がすごく偏った方向に行っているのではないか」と分析した。 

■若者は「政治離れ」していない?

 また、原田氏は「若者は自民党支持という以前に、政治離れしている子の割合が増えている」と指摘する。この意見に対し佐々木氏は「若者というのは元々政治離れしているものだし、むしろ80年代の方が政治離れしていたと思う。いま起きているのは政治離れではなくて、政治に関心のある若者と全く関心のない若者の二極化が進んでいるのではないか」との見方を示した。

  慶大大学院に通うmanma代表取締役の新居日南恵氏は、「慶應大学の清水唯一朗教授が指摘しているが、例えば地方の問題など、社会課題や個別のテーマに関心を持っている若者はたくさんいる。でも"私は政治に関心がある"とは言わないので、政治離れという風に映る」と指摘する。

 佐々木氏は「今は社会課題を解決するのも政治だ。中高年は政治を"闘争"だと思っている。しかし、権力に対抗する=政治という考え方はかなり狭義のものだ。そもそも反権力が20世紀的なテーマで、20世紀の終わりくらいから21世紀に入る間に、強大な権力は仕組みそのものが次第になくなってきていると言われている。政府だけでなく自治体もNPOも力だし、国際社会も中国やロシアが出てきて、様々な力の相互作用によって成り立っている。どちらかというと前の世代の人は、強大な権力があってそれにぶつかるように苦労しているイメージしか持ってない。社会認識の違い、世界認識の違いみたいなものが、政治に対する見方の齟齬を生み出す一つの原因なんじゃないかと思う」との考えを示した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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