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2017年12月18日 10時08分 JST | 更新 2017年12月18日 10時08分 JST

プーチン大統領、"ロシアのパリス・ヒルトン"と呼ばれる恩師の娘とバトル!背景に再選への危機感も?

「心の中でサプチャク氏に喝采した人々もいただろう」

Sputnik Photo Agency / Reuters

 日本時間14日の午後6時過ぎから行われたプーチン大統領の記者会見。2001年から年末の恒例行事で、国際問題からロシアの内政や行政の問題まで、ありとあらゆる質問にプーチン大統領が1人で答え続ける。その長さは3〜4時間にわたり、休憩はなし。そのため、「マラソン記者会見」とも呼ばれている。

 今回、会場には海外メディアを含め約1600人の記者が集まり、質疑が終わるごとに、「わが街の汚染について」「年金受給者について」「海草業者について」など、思い思いの質問内容を書いたプラカードを掲げアピールしていた。

 今回のプーチン大統領の指名を受け、質問することができた記者は55人。このうち女性は25人で、偶然なのか、いずれも赤系の服を着ており、心なしか美人が多いように見受けられた。

 ロシア政治に詳しい中村逸郎・筑波大学教授は「ロシアでは赤い服というのは美しいということ。プーチン大統領は"知的だ"としておでこが広い人が好み」と話す。

 そんな中、ひときわ注目を集めたのがクセーニヤ・サプチャク氏という36歳のジャーナリストでテレビ司会者の女性だ。"ロシアのパリス・ヒルトン"とも呼ばれており、来年3月に予定されている大統領選挙への出馬を表明している。

 指名されたサプチャク氏が「選挙で争うことについて質問だ。あなたがご存知の通り、大統領選挙に出馬する予定だ」と言い放つと、プーチン大統領は「あなたは記者として来たのか、それとも大統領候補として来たのか」とけん制。サプチャク氏が「民放テレビ局の記者として来た。残念ながら、この場でしかあなたに質問する機会がない。ロシア市民は反対勢力だと殺されるか、収監されることを分かっている。そこで質問だ。当局は公平な選挙対立が怖いのか」と問いかけると、プーチン大統領は「あなたのスローガンは『すべての候補者に反対』だ。これが積極的な行動計画と言えるのか。クーデターを望んでいるのかもう一度、あの時代に戻したいのか。ロシア国民がそんなことを望んでいないのは間違いない」と答えた。

 興味深いのは、サプチャク氏とプーチン大統領との関係だ。中村教授は「彼女のお父さんは元大学教授で、プーチン大統領はその下で勉強しており、優秀な学生だったということで、サンクトペテルブルク市長を務めていた1990年代にはプーチン大統領を副市長に抜擢した。そのお嬢さんが過激な質問をしたということで注目された。恩師の娘からこんな質問を受け、『裏切られた』と思ったかもしれない。プーチン大統領は自分への批判に関しては寛容だが、恐れているのは裏切り。そこで『あなたはテロリストだ』と言い返したような格好だ」と説明する。

■「心の中でサプチャク氏に喝采した人々もいただろう」

 国民性として、強いものを求めると言われているロシアの人々。大統領にも政策より"強さ"を求めているといい、かつて諜報活動で養った強い心に柔道8段という鋼の肉体を持つプーチン大統領はロシア人の憧れだ。ファッションを真似る人だけでなく、名前をプーチンに改名する人もいるという。モスクワでは「スーパー・プーチン展」なるものも開催され、プーチン大統領とアメコミのヒーローが重ね合わされた絵などが展示されている。

 しかし、盤石と思われたプーチン大統領の足元にもほころびが見え始めているのだという。

 「会見の質問内容は、8〜9割くらいが国内問題だった。昨年まではウクライナ問題やシリア問題など、プーチン大統領の外交手腕をアピールする場だった。今、それほど国内問題が山積しているということだ。例えばクリミア併合によって欧米に課された経済制裁の結果、ロシア経済はガタガタになっている。昨年後半の6か月間で、給料を受け取っていない人が41%いた。ロシア人の70%は家計が危機的な状況だとも言われている。さらに国民総所得の70%が人口1%の富裕層に握られている。そうした不平不満が増大している」。

 また、国際的にはロシアチームによるドーピング問題、それが原因での平昌オリンピックに不参加となった問題も記憶に新しい。そのような中でのサプチャク氏の質問だけに、俄然注目を浴びたというわけだ。

 「プーチン大統領もロシア人も、ロシアに言論の自由は"ある"と答える。しかし言論の自由を行使した後に殺されることもあるし、メディアが閉鎖されるということもある。ソ連時代に生き抜いてきた人たちはそういう空気を読むし、メディアも"サプチャク氏の質問は素晴らしい"とは言わないが、大変注目している。心の中で喝采した人々もいただろう。プーチン大統領はロシア帝政時代の皇帝のようなふるまいをしている。会見で記者たちがプラカードを掲げている様子は、ロシア人から見れば宮殿に住んでいる皇帝に民衆が直訴した帝政時代の風景」。

 サプチャク氏のほか、数名の対立候補が出馬すると見られる大統領選挙。プーチン大統領は無所属での出馬を宣言、「インフラ整備、医療と教育の向上、労働生産性を上げることを目指す」と訴えている。現在の支持率は約80%で再選は確実と見られており、反対勢力に対しては「やつらは街で騒ぎ立てて不平をぶちまけるだけで物足りない。物事をより良くするための対案を出してこい」と、余裕ともとれる発言もしている。

 中村教授は「プーチン大統領の圧勝は間違いないが、問題は得票率。これまでは70%で圧勝と言っていた。今回はそこまでいかないだろう。そうすると投票率も関係してくるが、全有権者の50%を取れないのではないか」との見方を示した上で、「どんでん返しがある可能性は否定できない。有権者たちも、トランプ現象やイギリスの国民投票を見ている。これまでのようには行かないだろう。サプチャク氏への反応も、そうした焦りの現れではないか」と指摘した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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(2017年12月18日AbemaTIMESより転載)