シンガポールで震災支援。アートセラピーをきっかけに私が学んだ、グローバル連携の力

日本では公的にアートセラピー活動が認められていないが、一方でシンガポールは政府のもとアートセラピー活動が公的に認められている。

海外に身をおくことは、仕事や人間関係だけでなく、社会参画や文化など多様な側面で、グローバルな学びの機会を与えてくれます。

特に自分が「外国人」となることで、社会や文化を見る視点が大きく違ってくるように思います。

日本で「グローバル企業」を謡う会社に入社するのではなく、大学卒業後、私がすぐ海外に行くことを選んだのは、仕事以外の多様な面からもグローバルに学びたいという想いからくるものでした。

シンガポールで福島支援のアートセラピー活動に、ボランティア参加

自分の興味のあるものを起点に、海外での社会活動に参加するのは、そんな学びの絶好の機会です。

私はもともとデザインやモダン・アートを中心としたアートが大好きなのですが、先月シンガポールでアートセラピーに関わるボランティアをする機会がありました。

Miracle Kutchie Experience 2(みらくるクッチー体験2)」は、東日本大震災や福島第一原発事故で被害の大きかった福島県の子どもたちに向けた、アート保養プログラム。

開催2年目となった今年は、2016年7月23日~8月7日の間、福島県広野町の9~12歳の小学生20名が参加していました。

子どもたちがシンガポールでのホームステイと多様なアート活動を通して過去の辛い体験を乗り越え、問題解決する力を身につけていくことが大きな目的です。

主催の「TODAY IS THE DAY FOUNDATION」は主にアーティストたちで構成され、ニューヨークを拠点に、芸術を通した社会貢献をグローバルに行う非営利組織です。

アジアの中でも積極的な、シンガポールにおける芸術療法

▶参加した子どもたちの作品

アートセラピーというキーワードを耳にするのは、これが初めてではありませんでした。

しかし、日本では公的にアートセラピー活動が認められていないということ、一方でシンガポールは政府のもとアートセラピー活動が公的に認められていることは、ここで初めて知りました。

シンガポールの芸術学校として知らない人はいない、ラサール・カレッジ・オブ・アーツでは芸術療法が研究されており、このプログラムにも参画していました。

シンガポール赤十字社もこのプログラムのスポンサーとなっており、アートセラピーが社会をより良くする手段であると認知され、国自体が協力的だということがうかがえます。

グローバル連携が生み出すインパクト

▶子どもたちの作品

ニューヨークを拠点に活動する主催団体が今回シンガポールという地を選択したのは、そのような背景が大きく影響しており、また安全な環境や日本から近いアジアであるなどの要因もあります。

シンガポールに在住する私にとっては、福島で起きた原発事故への理解を深め、何か自分にも少しでも貢献できることをする、という意味でとても良い機会でした。

社会貢献の仕方や原発事故の被害に対するアプローチも、グローバルな連携をもとに行われていることで、新たな価値が出てくると思います。

また、海外から日本国内へ支援が来るのとは逆に、外へ出ていく形で行われるのも、比較的新しい試みのように思えます。

もちろん、通訳は随時ついていましたが、シングリッシュで陶芸の説明がされていたり、ローカル料理がイベントで出されていたり、子どもたちが芸術活動だけでなく、シンガポールの多文化性に触れる機会も多くありました。

社会をより良くしようという試みをグローバル規模の連携を通して行うことは、本来の芸術療法の目的以上に、これからの国際社会に必要な力や学びを子どもたちに与えているのではと、多くを考えさせられました。

グローバルな環境で学ぶこと、グローバルな連携を通して生み出されるインパクトを感じること。

海外で働くということは、仕事以外の場面でも、このように異文化に触れることで多くの示唆を与えてくれるのです。

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ライター

Erisa

平成元年生まれ。都内の大学を単位ギリで卒業後シンガポールに渡り、米リサーチ企業入社。2015年秋より米大手IT企業に転職し、新な成長痛に奮闘中。仕事も生活も、シンガポールでのいろんな人と文化に囲まれカラフルな日々。好きなものは、人・食べること・飲むこと・旅。

カフェとか可愛い要素皆無の海外就職の仕方、グローバルとキャリアについてのブログ『新卒海外就職啓蒙プロジェクト

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