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2018年01月23日 10時13分 JST | 更新 2018年01月23日 10時13分 JST

【後編】バングラデシュで学校運営。「組織再建の三原則」を教育現場で活かす

異国の地では文化や慣習が違うこともあり、はじめは少し戸惑います。

前回の記事(リンク:【前編】学校運営で次々に起こる問題。それはバングラデシュの問題にも直結している)では、バングラデシュの教育問題、ひいては国の問題について触れました。

今回は、それらの問題を、私たちの学校がどのようにして解決することができたかについて書いていきます。

組織運営で参考にした本

K.Furusawa

開校から様々な問題が発覚したのですが、その問題が当校のみならずバングラデシュという国の問題にも直結していることが明らかになりました。

異国の地では文化や慣習が違うこともあり、はじめは少し戸惑います。でも、私がいつも何かを考える際の基軸は「将来、子どもたちの幸せのために、今何を教えなければいけないか」ということです。

バングラデシュでは、子どもたちは家族や地域の方と一緒に生活することで多くのことを学びますが、その家族や地域の方も善悪の基準がはっきりせず、間違った行動をしている、もしくは教えていることが多々あります。こういった状況を踏まえて、私たちの学校では子どもたちに何から教えていくべきなのか......。

これらを考える上で参考にしたのが、教育者であり哲学者でもある森 信三(もり のぶぞう)先生の思想です。

森先生の著書『修身教授禄』と出会ったのは私が24歳の時です。教員になるにあたり、父にこの本を勧められて読みました。正直、当時の私には難しい内容でしたが、担任教諭として学級経営をするにあたり、この本から多くのことを学びました。

当校を運営するにあたっても、根幹となる部分のいくつかは森 信三先生の教えを取り入れています。そのひとつが「職場再建の三原則」です。

「職場再建の三原則」とは......

K.Furusawa

森 信三先生は著書において、「企業・学校のトップや幹部たちが、この『職場再建の三原則』を徹底すれば組織は再建する」と書かれています。

職場再建の三原則とは「時を守り、場を清め、礼を正す」。

【時を守る】

これは、相手を尊重することに通じます。時間、約束を守ることは、世の中で信用・信頼を得る最高の条件ということです。

【場を清める】

整理整頓含め、掃除をすることが主な意味です。掃除をすることで「気づく人になれる」「心が磨かれる」「謙虚になれる」「感動の心をはぐくみ、心が芽生える」など、場を清めることで心も清められます。

【礼を正す】

挨拶、返事をすること。挨拶、返事により人間関係が良くなります。朝の挨拶は人より先に、そして自分がされて気持ちよくなることを他人にする。もちろんここに「ありがとう」「ごめんなさい」も含まれます。

再建の三原則はこの3つだけです。「こんな簡単なこと?」と思われる方もいるかもしれませんが、実際に上手くいっていない組織はこれらの3つができていません。

森信三先生は組織がうまくいっていない時こそ、この三原則を見直し徹底する必要がある、と提言されています。

三原則を学校に浸透させるまで

K.Furusawa

私たちの学校では「時を守り、場を清め、礼を正す」という3つが、人としての土台に必要だということを、事あるごとにアセンブリ(全校集会)で話をします。

話をした後、すぐに変化が出るのが挨拶です。

数名の生徒は、その話を聞いた翌日から率先して元気よく挨拶をするように変わります。そして、またアセンブリで、私が挨拶を受けた喜びの気持ちを共有すると、それが別の生徒にも広がり、学校ではいつの間にか元気な挨拶が飛び交う雰囲気が当たり前のようになりました。

次のステップは、時を守ること、そして場を清めることです。

挨拶での説明同様、分かりやすいように身近なエピソードを用いて遅刻や提出物の期限、そして身の回りの整理整頓、最終的には自ら進んでゴミを拾うようになるように、毎週のように話をしていきました。

もちろん、生徒に話す前には全教職員に再建の三原則の大切さを伝え、内的動機付けの為に将来の生徒像をイメージさせました。

本校では開校当時からよくこの三原則の話をしているので、全校生徒がこれらを自分の言葉で説明できるのが当たり前です。

その甲斐あって、今では遅刻ゼロ、校内ポイ捨てゼロでの運営ができています。また、ゴミがない地域にしたいというある生徒の発案から、地域ゴミ ゼロ運動として生徒自ら竹で作ったゴミ箱を学校付近の地域に設置して、その回収などの地域活動もするようになりました。

現在多くの方が当校を見学しに来られ、都度 運営・管理方法について聞かれますが、別に変わったことはしていません。「職場再建の三原則」を徹底したことで、学校の雰囲気が変わり、本校の文化として根付いたのです。

Ambassadorのプロフィール

K.Furusawa

K.Furusawa

宮城県仙台市出身。大学在学中はプロキックボクサーとして活躍。卒業後は日本の私学教員をやりながらタイ、カンボジア、ネパール、ミャンマーなどアジアの教育支援に携わる。その後、とある公益財団法人の仕事としてバングラデシュでモデル校となる学校建設・運営を任される。現在は生徒数約800名の学校をバングラデシュで運営中。