カンボジアでアパレルブランドを経営する葛藤から、僕が気づかされたこと

現在、僕はとある悩みにぶち当たっています。

カンボジアよりスースダイ(こんにちは)、浅野です。

僕は日本でのサラリーマン生活を終えて、カンボジアに来るにあたり、そしてプノンペンのNorton大学 大学院 開発学部に入るにあたって、当初は心に決めていることがありました。それは、「カンボジアの人たちに雇用を作る」、そして「仕事を通してカンボジア人の人たちに"夢"を与える」ということです。

その後、その脳裏に描いたミッションを心に秘めながら大学院に通っていた頃、僕たちのブランド「Sui-Joh」は産声を上げました。ローカルテイラー一家と協業することで少しずつ前へ進み、今に至ることができています。

Sui-Johを介して雇用が生まれ、そこで働くみんなの夢を耳にすることができ、共に喜び、時には共に悩む。そんな濃い時間を共有できていることこそ、とても贅沢なことだと感じます。かつて僕が描いていたそれに近づいているのかな......、なんて思ったりもしたものです。

しかし! これらも単なる自己満足なのではないか、と思う今日この頃。そしてそんな中でも日々は続きます。現在、僕はとある悩みにぶち当たっています。

僕とメンバーの意識の差

浅野祐介

Sui-Joh創設当時は、何か問題が起きるたび、「I will help your problem(あなたの問題を助けてあげる)」という言葉をよく耳にしました。

これはとてもありがたい言葉ですが、一方で、「help」という単語が何気なく入っている時点で、つまるところSui-Joh = 浅野 という構図で物事を考えている、ということではないでしょうか。あるいは、浅野>Sui-Johともいえると思います。

僕の勝手かつ一方的な要望ではあるけれど、Sui-Joh = 私たち に意識変革していかなければ未来は無い。

いつか僕がいなくなっても、Sui-JohはSui-Johというカンボジア生まれのブランドとして生き残ってほしい。

いつか世界のどこかに支店ができた時は、カンボジアで働くカンボジア人が店長として、その国へ出向してほしい。

それで100年後くらいに「Sui-Johの創設者、実は日本人だったらしいよ」と、都市伝説みたいに語り継がれたら嬉しいです(笑)。

そんな悩みを抱えながらも幸いなのは、当社のマネージャー陣ふたりが特に仕事ができて、とっても頼もしいことです。

僕がいなくても(いや、僕がいないほうが......汗) 改善が行われ、良い環境になってきていると思います。彼らも無意識に、かもしれませんが「Sui-Joh = 浅野、ではなく自分たち」という前提で考えてくれているのが言葉の端々から伝わってきて、僕は涙が出るほど嬉しくなります。同時に、次のステップに向かわなければと思わせてくれるのです。

「弱小」を強みに

浅野祐介

僕らはまだまだミジンコごとき小さな、弱小ブランドではあるけれど、夢や野望、希望だけは、象のように大きくありたい。また、「弱小」であることさえも強みに換えて、皆さまに愛着をもってもらえる存在になりたい。

「雇用創出したい」「カンボジア人に夢を」といった想いも単なる自己満足ではないか、と先述しましたが、ある意味全くその通りだとも思っています。カンボジアという国、カンボジア人の仲間たちこそがSui-Johを支えてくれているから、僕の仕事があり、生活できているわけで......。与える側になりたいと考えていたけれど、与えられているのは自分だった、ということに気づかされるわけです。

さまざまな想いを抱きながら、今日も汗かき一歩前へ!!

Ambassadorのプロフィール

浅野祐介

浅野祐介

日常にHAPPYと彩りをお届けするカンボジア発のファッションブランド、Sui-Johの創設者。1981年愛知県生まれ。4人兄弟の長男。会社員を経て、2010年秋よりプノンペン市内のNorton大学 大学院へ入学。その中で、ファッションと文化の融合を目指しシャツ作りを始め、現在はトートバッグやポーチなど幅広く制作をしている。モットーは"Happiness is only real, when it's shared"。

注目記事