【インドネシアの教育現場】22歳の私が多様性に触れて変化するまで

学校で私が特に感動したのは、何気ない日常生活から伺えるほど、生徒が先生を心から尊敬しているということ。

初めまして、みきのと申します。

2015年1月から半年間インドネシアに滞在し、現地の日本語教師をサポートする役目を担っていました。

今回は現地の教育現場で感じた魅力や、自分自身に起きた変化ついてお話しいたします。あくまで私が滞在していた学校でのストーリーなので、一般的な事例と異なる場合もあるということを念頭に置いていただけると嬉しいです。

"日本語パートナーズ" 派遣事業

私は国際交流基金の "日本語パートナーズ" 派遣事業のインドネシア2期生として、現地の国立高校に派遣されていました。

国際交流基金が2014年から開始し、ASEAN諸国の中学・高校にいる日本語教師や生徒のパートナーとして、授業のアシスタントをしたり日本文化の紹介を行ったりするこのプログラム。

大学で東南アジアや教育社会学を学んでいた私は「東南アジアで現地の人と一緒に生活を送りながら、教育について深く知りたい」と考えており、この選択肢こそぴったりだと感じて参加することにしました。

インドネシアの高校の日常

朝の7時ごろから授業が始まるインドネシアの高校。「アザーン」という礼拝への呼びかけが街中に大音量で響き渡っても起きない私は、朝早い授業に慣れるまで少し大変でした。しかし日常的に早起きをしているムスリムの先生や生徒にとっては、早朝の登校は苦ではないのだそうです。

学校で私が特に感動したのは、何気ない日常生活から伺えるほど、生徒が先生を心から尊敬しているということ。

現地では目上の人に対する尊敬の念を示す行動として、自分の額に相手の手を当てて挨拶をする習慣があります。廊下ですれ違う時や授業時には生徒たちが私にもこの挨拶をしてくれて、心を打たれました。

そんな彼らはとても優しく、半端なくフレンドリー! 皆いつも笑っていて人生を心から楽しんでいる気持ちが伝わってきます。人間性の豊かなところが、インドネシア人がもつ大きな強みだと思うのです。

そんな彼らと過ごしたおかげで「頭がかたい」と言われることが多かった私の価値観も、次第に大きく変わるようになりました。

現地で客観的に感じた自分の欠点

開始時間が遅れる、時間が決まっていなくてなんとなく始まる、なんとなく決まるということが日常茶飯事のインドネシア。日本で時間や約束を守ることを第一に考えて行動していた私は、日本との違いに衝撃を受けて勝手にストレスを感じていました。

しかし生活しているうちに気づいたのは、インドネシアでは「時間」ではなく「人」を中心に物事が進んでいるということ。時間はあくまで目安としてあって、現地では人の体調や用事の方が優先されるべきだと考えられているようなのです。

学校では授業中に自由にトイレに行ったりお祈りに行ったりすることが黙認されています。各々が好きな行動をとるとクラス全員で授業を受ける時間は減ってしまいますが、彼らは特に気にしていない様子。

授業をする側としてはちょっと困ってしまいますが(笑)、日本ではあまり感じられない「自由な雰囲気」が心地良くもありました。

また、生徒の中にはキリスト教徒やヒンドゥー教徒も少数いました。大多数のムスリムとは異なる方法で、彼らが周りと同じ時にお祈りをする様子を何度も見ましたが、それが日常的に何の違和感もなく行われています。

異なる宗教を信仰する人とも共生しようという姿勢や、私のような日本人も温かく迎え入れてくれたところ。どんな場面においても本当に寛容な点に次第に魅かれるようになりました。

現地で生活するにつれて、日本の慣習や時間ばかりに気をとられてイライラすることはなくなっていきました。「ひとつの考え方にこだわりすぎて、自分を縛りつけすぎていた」ということを客観的に感じることができたのです。

色々な考えがあることを教えてくれたインドネシアの人たちには、感謝の気持ちでいっぱいです。

東南アジアの教育現場というと「日本と比べてまだまだだ」と言われてしまいがちです。しかし実際にその中に入り込んでみて、こんなにも人の温かみであふれた場所なのだと気づくことができました。

そして何より「海外で生活する」ことは、自分自身を客観的に見つめるチャンスになります。これからも自分の内側の変化に目を向けながら、環境の違いを思い切り吸収していきたいと思います。

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ライター

みきの/Mikino

1993年生まれ、東京都出身。都内大学で東南アジアや教育について学ぶ。国際交流基金 "日本語パートナーズ" 派遣事業インドネシア2期として国立高校に派遣され、現地で半年間日本語教育補助や日本文化紹介に携わる。

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