辺境から世界を変える、起業家ストーリー〜Mr.Childrenで繋がるインドネシア〜

この国にはね、毎日命をかけて木に登ってココナッツの実を取る人たちがいるんだよ。
週刊ABROADERS

本気で世界を変えようとする、インドネシア人たち

▶インドネシアでインターン生とともに

初めまして!ライターのゴウスケです。

大学卒業後に起業し、教育や文化交流をテーマに活動しています!

特にASEAN地域には縁があり、学生の頃はカンボジアの教育支援に携わったり、シンガポールに留学していました。

今回タイトルにも使わせてもらったMr.Childrenには大きな影響を受けていて、仕事をしながら音楽活動もしています。

さて、そんな僕ですが、今回はインドネシアの辺境で出会った、とある起業家たちのストーリーをお伝えさせて下さい。

▶Lentera Angin Nusantara社CEOのイナヤさん

きっかけは、2016年が始まってすぐのこと。

僕が代表理事を務めるASEAN Youth OrganizationというNPO法人があるのですが、インドネシアから3人のエンジニアたちが東京にある僕たちのオフィスを訪ねてきてくれたのです。

「再生可能な自然エネルギーを利用し、インドネシアの貧困層の生活を底上げしたい」

彼女たちが働くLentera Angin Nusantara社が実際に製作した風車や電気自動車、拠点のあるチヘラスの風景など写真を見せてもらい、僕は衝撃を受けました。

▶拠点にある風車

「この人たち、本当に世界を変えようとしている!」

発展途上国といわれるインドネシアの人口は2.5億人。

ジャカルタを中心に経済大国への道を進みつつあるものの、貧富の格差や環境汚染、エネルギー不足は年々ひどくなるばかり。

なんとか技術の力で、この問題を解決したい。

そんな想いをもった彼女たちがこの試みに成功したら、いや続けていけば、必ずインドネシアの発展は良い方向に向かっていくのではないか。

そして、その成功事例は同様な問題で苦しむ人たちを救うのではないかと思い、思わずグッときたのです。

しかも、この会社の創業者であるリッキー・エルソン氏は、なんと日本に留学してエンジニアとしても働いていたそう!

彼はインドネシアに帰国後、この会社を2011年に興したのです。

僕はどうしても彼に会ってみたくなりました。

「今年中に、必ず会いに行くから!」と別れ際に彼女たちと強く約束しました。

インドネシアと世界を繋ぐ、希望の光

・・・そして月日は流れ、5月。

偶然、縁があったのですが、JAPI(日本国際化推進協会)のプロジェクトメンバーとしてインドネシアを訪れることに。

目的は親日・知日人材のリアルな繋がりを作り、コミュニティを形成すること。

まさにリッキーさんに会うために、天から降ってきた仕事! と言っても過言ではありません(笑)

▶セスナで目的地に向かう

ジャカルタからセスナ機に乗って1時間、そこからさらに車で海岸沿いの山道を2時間、チヘラスという辺境にやってきました。

ここに彼らの研究開発拠点があり、全国からエンジニアの卵たちが集まって日々、研究をしているのです。

▶拠点の風景

到着は夜8時頃。

真っ暗な敷地内に入ると半袖短パンにサンダルを履いた陽気な兄ちゃんが、バイクで出迎えてくれたのですが、この男こそリッキー・エルソン、その人でした。

▶創設者のリッキーさん

僕が自己紹介や挨拶を済ませると、リッキーさんは、よく通る柔らかい声で話し始めました。

「この国にはね、毎日命をかけて木に登ってココナッツの実を取る人たちがいるんだよ。

10代から毎日木に登り続ける。

怪我をしても保険はないし、年をとれば仕事はできなくなる。

そのココナッツは一個いくらか知ってるかい? 15円だよ。

でもその実をきれいに殺菌して発酵し、オイルを抽出すれば、300円で売れるようになる。

ヤシの木はね、実をつける前に花を咲かせる。

その花から採れる水分20ℓから、とても身体にいい砂糖が1Kg作れる。

これも釜で火にかける過程を改善するだけで20ℓから5Kgは取れるようになると思う。

僕はね、そういう風に技術を使って付加価値を加え、人々の生活を豊かにすることが、エンジニアの役割だと考えてるんだ。

だから貧しい農村に風力発電や灌漑施設のインフラを作り、収入を得られる農業や養殖の技術を提供している。

貧富の差を埋めることで小さな部族のコミュニティも残していけるからね。

そして僕らは、ここで技術を磨き、いつか自分たちの技術が世界に通用する日が来ることを夢見ているんだよ。

そうなれば本当に素晴らしいと思う。

Lenteraは光、Anginは風、Nusantaraはインドネシア。

僕らはインドネシアに希望の光を運び、世界と繋ぎたいんだ」。

インドネシアの辺境で、Mr.Childrenを歌った夜

▶リッキーさんの弟のリナルディさん

彼の話を聞きながら、僕はまさにずっと探し求めていた光を見つけたような気がしました。

リッキーさんには哲学があり、使命がある。

そして彼を慕う多くの若者がこの場所に集まり、自分たちの技術で、目の前の人たちを救おうとしている。

やっぱり、この人たちに会いに来てよかった。

そんな風に考えていると、突然「ところでさ、『花の名』って曲、知ってる?BUMP OF CHICKENの曲なんだけどさ」

そう言って『花の名』を歌い出すリッキーさん。え、めっちゃいい声やん!(笑)

「この曲大好き。BUMP OF CHICKENはこれしか知らないけど、Mr.Childrenは超詳しいよ」

「え? Mr.Children?俺も大好きですけど!!」

「え、まじか! アオ知ってる?」

「あお、青、蒼!? もちろん知ってるけど、アルバムSENSEに入ってるやつでしょ? マニアック(笑)」

「お~!!蒼歌おうよ、蒼」

そうして歌い出す僕ら。

自分では精一杯してるつもり~

でも動かないことばかりで~

揺らめく陽炎に追われ目で追う

触れないと知っていても

Mr.Childrenすげぇよ。こんなところまで届いちゃってるよ。

考えてみればリッキーさんの哲学って僕がMr.Childrenから学んだものとすごく近い。

そして、インドネシアの辺境でMr.Children歌ってる状況にちょっと泣きそうになる。

ありがとう、Mr.Children。ありがとう、リッキーさん。

彼らのオフィスにはギターもあったので、その後も「彩り」「Sunrise」「掌」と僕らは歌い続けたのでした。

地球のことを考えて、国を越えて面白いことをしよう

▶現地の魚の養殖所

東南アジアはどうしても途上国だと軽視されがちだと思うのですが、実はすごくアツイ人たちがたくさんいて、エネルギーに溢れています。

しかも、彼らは自分たちの国はもちろん、本気で地球のことを考えてたりします。

僕らの世代はそういう人たちと一緒に成長し、国境を越えて地球のために頑張りたいし、面白いことをどんどんやっていきたい、そんな風に思わせてくれた旅でした。

彼らについてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ僕にご連絡くださいね!!喜んでお繋ぎします。

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ライター

宇野 豪佑/Gosuke Uno

1988年生まれ。 大学在学中に休学しカンボジア教育支援団体CIESFの立ち上げメンバーとして活動。その後、シンガポールに1年留学し、30カ国以上を渡り歩き様々な文化や価値観に触れてきた。帰国後、既存の教育システムに疑問を抱き、高田馬場で学習塾シンカライナーを開校。教室と世界を繋げることで、本当に価値ある学習体験を提供したいと考えている。またASEAN Youth Organization Japanとして、ASEANと日本を繋ぐ活動も行っている。

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