VISAコーディネーターが明かす!タイのビザと労働許可証の取得順序

海外に住むにあたって間違いなくつきまとうのが、ビザ問題。今回はバンコクの企業で働くことを想定して、リアルな現場をお伝えします。

実はビザと労働許可証の発行をする為のコーディネーターをしています、つっちーです。

日本に日本人として住んでいると、めったに考えることのないビザ。

日本国内ではニュースで、外国人が不法滞在していたとか、ビザが発行できずに本国に強制送還されるから助けてください......云々をたまに聞くかと思います。

海外に住むにあたって間違いなくつきまとうのが、このビザ問題

今回はバンコクの企業で働くことを想定して、就労ビザと労働許可証についてのリアルな現場をお伝えします。

バンコク外、投資委員会認定企業にはまた別の場所・方法があり、また、同業他社の方とは異なる点もあるかと思いますが、これもひとつの方法論としてお読みください。

提出方法、書類内容などはナマモノで正解がないのが現状です。極論を言えば、担当官の気分次第で国外追放なので、内容の若干の違いはお許しくださいまし♫

それでは、就労ビザと労働許可証を取得するまでの手順とポイントを、時系列でお送りします。

1.就労ビザの取得(必要な日数:3営業日程度)

タイでの就職が決まったら、日本のタイ大使館にて就労ビザを取得します。大阪、名古屋、東京にタイ大使館があるのでそこでビザの申請をしましょう。

申請書類が中途半端だったりすると発行されないこともあるので、準備書類、特に招聘状の内容と取締役のサインと社判が押されたものを忘れることなく準備しましょう。ビザはだいたい提出日の次の日~1週間以内に発行されますが、必ず気持ちと時間に余裕をもって申請しましょう!

上の写真がタイのビザ。

上記はラオスで取得したもので、取得場所もVIENTIANEとなっています。

日本国外でも、タイ大使館があれば、国によって書類は変わるものの発行されます。詳しくは最寄りのタイ大使館のHPをごらんください。

2.タイに入国してから(必要日数:2週間程度)

入国も束の間、労働省(กระทรวงแรงงาน)にて労働許可証(Work Permit)の申請作業が待っています。

申請時はパスポートや膨大な書類(主に経理関係)・本人の証明写真(背景白3cm×4cmで真顔、口角を上げない)・学歴証明書等を提出し、1週間以内に本人同行のもと、労働許可証を受け取りに労働省へ向かいます。

労働許可証を受け取った日から晴れて、事実上タイで就労できる状態になります。

▶これが噂のWork Permit。パスポートと同サイズで、中身はどこまでもタイ語で個人情報がぎっしり刻まれている

3.タイに入国してから2~3ヶ月以内にイミグレーションへ

この1ヶ月の間に最大の関門、ビザの1年間延長手続きが待ち受けています。これには、申請者本人が必ず同行します。

申請者のパスポートとワークパーミットの他に、ここでも膨大な量の書類を提出します。

場所はバンコク・ドンムアン空港から車で10分の場所、チェーンワタナー・政府庁舎内にあるイミグレーション(ต.ม(Tor.Mor))へ。

そこでは、会社が本当に存在するか、タイ人従業員数と資本金が外国人従業員1名に対して足りているか、労働許可証と会社登記簿謄本の仕事内容と申請者の仕事内容がマッチしているかなど、重箱の隅を突き倒されるまで事細かに書類チェック、口頭尋問がされます。書類審査が通ると上官のサインを待ちます。

上官のサインの前に、その上官からさらに込み入った書類審査がなされます。その内容をチラッと......。

・前職の日本人がいた場合、前職の日本人のビザがイミグレーションでキャンセル手続きされているか

・会社の写真(従業員を含む)の写真は修正されたものでないか、会社の看板はちゃんとあるか、番地はちゃんと刻まれているか

ここで上官のサインがされず、次の日に追加書類を提出するハメになることも。

その追加書類も、イミグレーションから徒歩5分の場所にある役所で発行される書類ではなく、バンコク市内のイミグレーションから反対側の場所なんてこともあり、当日追加書類を提出するのが難しいこともよくあります。

晴れて追加書類が申請されたら1ヶ月の調査期間を経て、1年間の居住権を得られます。

ただし、ビザの延長ができず、事実上国外追放されることがまた多々あるのも事実です(失効後はビザ復活できないので、マジで出国するハメになります)。

▶上官のサインを受け取れずビザ延長が失効になり、11月2日から1週間以内に出国をしなければならなくなった図

4.1ヶ月の調査期間

ビザの延長手続きが終わると、1ヶ月間の調査期間が設けられます。この1ヶ月の間に、イミグレーションの担当官がオフィスに突然来ることがあります。

その時は、担当官にオフィスの従業員が全員いる日を伝え、指定した日に再度来てもらい、従業員が本当にその会社で働いているのかなどを厳しく尋問されます(名義貸しなどの不正防止の為)。

この調査期間に調査が来ることもあれば来ない会社もあり、このさじ加減はイミグレーションの担当官の気分次第。この1ヶ月間を乗り越えたらもう一度イミグレーションに向かい、1年間のビザが受理されます。

上の写真の通り、一番上に押されたハンコは、1ヶ月の調査期間が記載してあり、2014年3月10日にもう一度イミグレーションに来てビザの調査結果を聞きに来なければならない旨が記載されています。

その下にあるハンコは、2014年3月12日に1年のビザが下り、2015年2月10日まで延長することなく滞在が可能という記載がされています。この日付を間違うと厄介なことになるので、受け取ったその場で必ず確認をしましょう。

5.90days Reportって?

すべての外国人は、90日おきにパスポートをもってイミグレーションに行って、バンコクでの居住地を知らせる「90days Report」という申請義務があります。

タイに連続で90日滞在する際には、必ず忘れずに手続きをしましょう。

前回の報告日から90日以内に出国予定のある方は、出国日で一度リセットされ、次の入国日が90days Reportの初日になりますので、イミグレーションに提出する必要はありません。

6.リエントリー、忘れたら悪夢!

全ビザ所有者は、タイを出国する前に、リエントリー・パーミットという再入国許可が必要となります。

シングルとマルチプルがあり、1年のうちの出国回数に合わせてどちらを取得するか、決めましょう。

リエントリーを取得せずタイを出国するとビザが失効し、次回入国時にはビザ無しの扱いで入国となります(日本パスポート所持者の場合)。

ビザ無しの滞在期間は30日。しかもビザ失効者の再取得は、タイ国内では絶望的! 忘れずリエントリーを取得しましょう。

番外編-やべ、ビザが失効してるの忘れてた!

落ち着いて、まずは出国するための準備をしましょう。

次の3~5日は遠隔で仕事をする予定を組む、もしくは仕事を休み、就労ビザ取得の為の準備をします。

出国方法は飛行機で近隣諸国、または日本に行く方法もありますが、陸路でラオスまで行き、ラオスで取得する(VISA RUN)という方法も一般的です。

ビザは失効した次の日から2万バーツを上限に、1日500バーツの罰金が科せられます。

また失効後90日不法滞在すると半年間、半年間不法滞在すると何年間もタイへの入国禁止という、とても厳しい措置を取られます。

おわりに

私たちは、外国に出ると紙切れ1枚、ハンコひとつで身柄を他国に強制送還されるという「外人」の立場になります。ビザがなくなるだけで人権を半分無くされるようなもの。

また、就労ビザの取得は、会社が外国人雇用の為の条件を満たせていないと自動的にその外国人はタイを追い出されるので、会社事を自分事と思いましょう。自分を守る為のビザ事情、少しでも参考になれば幸いです。

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ライター

つっちー/Tsucchi

京都府出身。小さな頃からの"外部"との交流やLGBTとして過ごした経験から、心理学や国際政治、哲学に興味をもち、在学中はイギリス、タイに留学。現在は、タイのコンサル会社にて日本人とタイ人をつなぐコーディネーターとして日々邁進中。将来は世界の人々に対して、有益な情報を啓蒙をするお仕事に携わること。

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