差別とたたかう安倍総理夫人から得たインスピレーション

私たちは、HIVに伴うあらゆる形態の差別と偏見にノーと言わなければなりません。

偏見、社会からの疎外、差別との闘い。それは、エイズの流行終息に向けた取り組みにおける次の大きな課題となっています。近年、エイズ対策は驚異的な進歩を遂げましたが、その前進はしばしば不平等という壁に阻まれてきました。

偏見と差別はHIVのまん延に拍車をかけています。世界では毎週、7,000人以上の少女と若い女性が新たにHIVに感染しています。男性同性愛者、トランスジェンダー、セックスワーカー、薬物使用者など感染リスクが最も高いキー・ポピュレーションの間では、HIVは依然、大きな問題となっています。あまりにも多くの人々が置き去りにされています。最も脆弱な立場にいる人々の感染を抑えるため、私たちは差別と偏見を解消するための手段を見つけなければなりません。

私は、日本の安倍昭恵総理夫人の素晴らしい取組みに感銘を受けています。安倍夫人は、HIV/エイズと共に生きている人々を尊敬し、尊厳を守ることを呼びかけています。HIV感染の遠因となる社会の偏見と差別、不公正をなくすための活動に取り組み、HIVの流行を広げるこれらの不公正と障害に対しノーと言おうと呼びかけておられます。

安倍夫人は、日本ロレアルと共に、日本におけるエイズの啓発活動に取り組んできました。そして2014年、UNAIDS・ランセット委員会の委員に就任された際には、HIV感染を広げる原因となっている偏見と闘う人間になるための学びについてスピーチをされました。また、弱い立場におかれたHIV陽性の人々の声を社会に届けるという決意も表明されました。8月のナイロビでの第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)では、アフリカ各国の首脳夫人らと共にアフリカの母子保健への支援拡大を提唱しておられます。

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)のパートナーシップでは、HIVなどの感染症の流行を終息させ、人間の安全保障を実現するために、より包摂的な社会の構築を呼びかける安倍夫人のような声が不可欠であると私たちは考えています。

HIV分野での安倍夫人の活動は、グローバル・ヘルスにおける日本のリーダーシップと密接に結びついています。日本はグローバルファンドの強力なパートナーであり、資金面、知的面で指導力を発揮してきました。グローバルファンド誕生の起源は日本にあります。2000年のG8九州・沖縄サミットで、先進主要国のリーダーが三大感染症対策のための国際的な資金提供組織の設立を呼びかけたことが基金設立へとつながりました。先月にはグローバルファンド第5次増資会合が開かれ129億ドル以上の拠出誓約が発表されました。日本はこの拠出の重要な担い手として、向こう3年間で8億米ドルの拠出を誓約しました。円額では、前回の増資での誓約と比べ46%の増加となります。

日本と同様、グローバルファンドはユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の揺るぎない支援者です。グローバルファンドは、エイズ、結核、マラリアに的を絞って基本的な保健サービスへのアクセスを拡大し、それによって保健システムにかかる負担を軽減し、UHCを促進しています。

そうした強力な資金支援によってこの大きな使命を完遂するためには、安倍総理夫人のような指導者の方々のリーダーシップと強い訴求力が必要です。私たちは誰も置き去りにしてはなりません。私たちは、HIVに伴うあらゆる形態の差別と偏見にノーと言わなければなりません。それがエイズの流行を終わらせるための方法です。

注目記事