「子どもの健康を支えたい」月500円からのスポーツ教室。東京・葛飾区の住民有志が挑戦中。

「子どもたちだけで外で遊ぶ機会がどんどん減り、体の使い方が身についていない子どもは少なくない」
ダッシュして素早く方向転換をする練習
ダッシュして素早く方向転換をする練習

子どもの体力が落ちている。国の調査では、30年前の親世代より体格が良くなっているのに、走る、跳ぶ、投げるといった運動テストの多くで下回っている。

そんな現状を変えようと有志団体「葛飾ソシオ」(安形直也代表)が地元・東京都葛飾区で子供向けスポーツ教室を始めた。区内でさらに広げようと朝日新聞社が運営するクラウドファンディングサイト「A-port」(https://a-port.asahi.com/projects/katsushika_socio/)で、毎月500円から教室の活動費の支援を募っている。

葛飾区の金町地区センターで11月14日にスポーツ教室が開かれた。

この日のテーマは、足の使い方。足の指の曲げのばしだけで前に進む「いもむし歩き」や「だるまさんがころんだ」などに10人の子どもたちが取り組み、走る力を高めたり、走るのと止まるのをうまく切り替える方法を学んだりした。

「葛飾ソシオ」のスポーツ教室の様子
「葛飾ソシオ」のスポーツ教室の様子

地元のサッカーチームで活躍する小学4年の徳永円さん(10)の将来の夢は「サッカー選手」。柔軟性のある動きやケガをしにくい体作りを学びたいと考えて参加している。

久保田偉月くん(10)はスポーツも好きだが、ゲームも好き。スポーツ教室のある日は、先に宿題を済ませ、ゲームも手放して訪れる。1時間の練習の後、普段使わない体の部分が筋肉痛になることもあるという。

葛飾ソシオは、5人の葛飾区出身の大人たちが、地元での健康づくりを目的に今年立ち上げた有志団体だ。教室で講師を務めているのは、葛飾ソシオのメンバーで、パーソナルトレーナーの小澤源太郎さん(32)。日々の仕事のなかで「子どもたちだけで外で遊ぶ機会がどんどん減り、体の使い方が身についていない子どもは少なくない」と感じている。

文部科学省は、全国体力・運動能力調査をもとに「長期的にみると、握力のほか、走る、跳ぶ、投げる能力にかかる運動テストの項目は、30年前と比べて低い」と指摘している。

1985年からのソフトボール投げ(左)とハンドボール投げ(右)の成績の推移=2017年度体力・運動調査報告書から
1985年からのソフトボール投げ(左)とハンドボール投げ(右)の成績の推移=2017年度体力・運動調査報告書から

スキップができない子どもや、転んだときに手を出せずに顔を強打するなどこれまでにも運動能力の低下は話題になってきた。

葛飾ソシオ代表の安形さんは、子どもたちが外で遊べる場所も時間も減っているのが原因の一つと考え、スポーツ教室を開くことにした。スポーツ競技に特化せず、子どもたちが運動の基礎能力を伸ばし、健康につなげたいと考えている。

誰でも教室に通いやすいよう会費は月500~1,000円にとどめ、その代わりに周囲の大人たちからも支援を募りたいと考えている。1回きりでなく、長く関心を持ってもらえるよう月々500円から支援できる仕組みだ。安形さんは「楽しみながら子どもたちが健康を育み支える環境を地域ぐるみで実現したい」と言う。

現在は、葛飾区の1カ所だけだが、支援が集まり、コーチ代や会場費のめどが立てば、区内のほかの場所でも開催したいと考えている。

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