旅行先でも災害時でも、どこでも洗濯できる下着セット 男性用「レスキューガイズ」製品化に向けてクラウドファンディング

「洗濯ボランティアがいても、下着だけは自分で洗いたいという被災者が多かったそうです」
Asahi

旅行や災害の時に役立つ、下着と洗濯のためのグッズをひとまとめにした商品を、下着の制作・販売を手がける株式会社ファンクションが開発した。女性向けに販売している「レスキューランジェリー」に続き、男性向けの「レスキューガイズ」の製品化に向けて、2月26日までクラウドファンディングで資金を募っている。

「東日本大震災のとき、何の準備もしていなかったことに気づいた」

同社代表取締役の本間麻衣さん(40)は、当時を振り返ってこう話す。震災時は東京に暮らしていて大きな被害はなかったが、水や食料を調達するためにスーパーを何軒も回らなくてはならなかった。その反省から、少しずつ災害への備えを進めていくうちに、市販の防災セットや自治体の備蓄には、下着など女性のことを考えた視点が足りないと思うようになったという。

2013年、子どもの下着を作るために起業すると、これまで感じてきた疑問を解決する防災グッズの開発にも取りかかった。テレビで栃木県のパン会社が非常食としてパンの缶詰めを作っていることに刺激を受け、イメージしたのは「下着の缶詰め」。試行錯誤の結果、できあがったのが「レスキューランジェリー」だ。

製品を手に笑顔を見せる本間さん
製品を手に笑顔を見せる本間さん
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「レスキューランジェリー」は女性向けの下着と洗剤、洗濯に使えるバッグがセットになっている。バッグの内側は防水生地で、水と洗剤を入れて下着をもみ洗いすることができる。洗い終わった後は、洗濯物を隠して干せるようにデザインされている。

2015年に本間さんの出身地である茨城県常総市で水害が起きると、本間さんは避難所になった地元の小学校にレスキューランジェリーを届けた。すると、その情報を知った近隣の避難所で洗濯ボランディアをしていた人から、支援の要請があったという。「洗濯ボランティアがいても、下着だけは自分で洗いたいという被災者が多かったそうです」と本間さん。

2015年、茨城県常総市の水害時に設けられた避難所。洗濯ボランティアの窓口に「レスキューランジェリー」を届けた(本間さん提供)
2015年、茨城県常総市の水害時に設けられた避難所。洗濯ボランティアの窓口に「レスキューランジェリー」を届けた(本間さん提供)
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2017年の九州北部豪雨の被災地にもレスキューランジェリーを届けた(本間さん提供)
2017年の九州北部豪雨の被災地にもレスキューランジェリーを届けた(本間さん提供)
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その後、熊本地震や九州北部豪雨などでも支援を繰り返すうちに、「男性向けはないの?」と聞かれることが増え、男性向けの「レスキューガイズ」の開発に取り組むことにした。女性向けより価格を抑えながらも、着心地の良さや使い勝手の良さにこだわって開発を進めているという。本間さんは「災害で大変なときに洗濯はあまり必要ない、と思う男性も多いかもしれないが、一緒に避難している家族や恋人のためにも役立つはず」と話している。

クラウドファンディングによる支援の受付は2月26日まで。詳細はhttps://a-port.asahi.com/projects/RESCUEGUYS/。(伊勢剛)

「あなたの日常に防災をプラスする」をテーマに、A-portとWonderFLYが協力してアイデア防災グッズ8件のクラウドファンディングを実施中。A-portの特設ページは、https://a-port.asahi.com/partners/wonderfly/

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