国際交流・地域活性化…学生もクラウドファンディングに続々挑戦 授業の一環として取り組む大学も

学生たちの間でも自分たちでプロジェクトに挑戦しようという動きが広がっている。

クラウドファンディングの利用が広がる中、学生たちの間でも自分たちでプロジェクトに挑戦しようという動きが広がっている。アイデアが物を言うクラウドファンディングは、「お金は持っていないが、何かやってみたい」という学生たちにとって、大きな可能性を開く仕組みだ。A-portでも、学生によるプロジェクトが増えてきている。

Experience Japan Project 2017に参加した学生ら
Experience Japan Project 2017に参加した学生ら
NPO法人MIS

東京大学の学生が中心となってつくるNPO法人MISは8月23~9月1日、東南アジアの学生と社会問題について考える「Experience Japan Project 2017」を開いた。マレーシア、インドネシア、カンボジア、ミャンマーの各国から来日した8人とともにバリアフリー住宅など日常の生活の場を訪れたり、障害者から話を聞いたりして、障がい者問題への理解を深めた。

このプロジェクトでリーダーを務めた黛風雅さん(20)=東京大学理科Ⅰ類2年=は終了後、「日本はインフラが進んでいるが、『社会をデザインするところから取り残されている人たちがいる』という問題があることは、どの国も変わらない。今回参加してくれた人たちは、僕たちよりも経験がいっぱいあって、出てくる言葉が力強かった」と振り返った。

MISの取り組みは今年で3年目。東南アジアの学生と交流を重ねるうちに、訪日時の渡航費が大きな負担となっていることに気づいた。MISはまだ設立7年目で団体としての歴史が浅く、卒業生から寄付を募るのも限界がある。そこで、クラウドファンディングを活用して、渡航費の一部を支援することにしたという。

「ミャンマーと日本をつなぐ旅」も国際基督教大学(ICU)の4年生ら学生が進めるプロジェクトだ。10月12~18日にミャンマーから4人の学生を日本に招き、高校での授業体験やホームステイ、日本人学生とのユース会議など、教育をテーマにしたスタディーツアーを開催することを計画している。プロジェクトページでは、「このスタディーツアーが、ミャンマーと日本がお互いを理解し、学び合い、助け合う関係を築く第一歩になると信じています。スタディーツアー実現のため、あなたのお力をお貸しください」と支援を呼びかけている。

実際にお金を集めるには、自分たちの取り組みを他人に分かりやすく説明する必要があり、教育的な効果を見込んで取り組む大学もある。

9月末までA-portで資金を集めた「DK art café」は、金沢工業大で地方創生を研究する松林賢司教授の研究室の学生らが、授業の一環として取り組んだプロジェクトだ。商店街を盛り上げるために実験的に始めたカフェを本格営業につなげていく資金として、100万円を目標に設定。学生36人がプロモーション方法なども自ら考えて実施し、最終的には180万円余りを集めた。

DK art café
DK art café
Asahi

プロジェクトのリーダーを務めた山田陽樹さんは「目標であった100%を実際に達成したことで、今までの活動を見ていてくださり、そして今後に期待してくださっていることを実感し、もっと力強く頑張って行かなければならないと感じました」とコメント。

一方で「私たちは『この活動は面白い!』と思う土台があって、DK art caféをやっている。その考えを一旦横において応援してくださる方の立場を考え、どういう形のアクションをとって行くのが良いのか、どうすることで思いを伝え共感いただけるかということを考えることが、今まで経験したことのないことで大変でした」と支援を得ることの難しさを、改めて実感したようだった。

各プロジェクトの詳細は以下のページに掲載している。

ミャンマーと日本をつなぐ旅 https://a-port.asahi.com/projects/tsunagutabi

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