かわいそう?「醜い街」オスロへ、市民がSNS写真で愛の告白

「オスロがどれだけ素晴らしい場所かを、みんなで見つめなおしたかった」と、2人が企画する写真プロジェクトがノルウェー国内で注目を集めています。

「暗くて、寒い。人々は自分勝手で、醜い建物ばかり。こんな不快な街に住んでいなくて、ラッキーだ」。自分達の街に対するネガティブな声が聞こえてくるようになったと語るのは、オスロ在住ブロガーのアイナ・クリスチャンセン(35)とハンナ・ノ-ルベルグ(33)さん。「オスロがどれだけ素晴らしい場所かを、みんなで見つめなおしたかった」と、2人が企画する写真プロジェクトがノルウェー国内で注目を集めています。

都市の近代化が進み、アスファルトやコンクリート建築が増加するにつれて、オスロに嫌悪感を示す人が増えてきたと感じた2人は、2012年6月に「かわいそうな私たち」(Stakkars oss)というブログをスタート。画像共有サイトのインスタグラムを中心に、「#stakkarsoss」というハッシュタグ付きで、街の素敵なワンシーン写真を一般募集しはじめました。

「こんな醜い街に住んでいるなんて、私たちはかわいそう」という、皮肉をキャッチフレーズにしたこのプロジェクトは、大成功。2015年1月27日の時点で、3万5700枚以上もの写真がインスタグラムで投稿されており、国内メディアの注目を集め、オスロにあるデザイン建築センターDogAでは写真展が3月1日まで開催中です。

日本のメディアでは、社会福祉制度が発達した「憧れの北欧」のイメージが先行して伝えられているので、オスロを「醜い」といわれても、日本人にはぴんとこないかもしれません。

パリやローマのイメージを、オスロに求めないで

「一部のノルウェーの人々は、パリやローマのようなきらびやかな装飾がされた首都と同じイメージをオスロに求める結果、がっかりしてしまうのかもしれません。オスロはパリやローマではありません。夏も冬も、季節を通して違った魅力があります。ほんのちょっと、探究心をもって、その瞬間を探してみるだけですよ」と主催者の2人は語ってくれました。

同じ場所に住んでいても、人によって世界の見方はこうも異なるのかと思わせるのがオスロなのかもしれません。個人的には大自然との距離が近く、のんびりとした空気に包まれたオスロは美しいと思います。特に、冬に真っ白い雪景色に包まれた街の様子は圧巻です。確かに、物価は恐ろしく高くて、冬は暗くて寒いけど、いいところもたくさんあるのがオスロです。

インスタグラムでオスロ市民が投稿した写真は全て「INK 361」のサイトで閲覧が可能。

「この写真プロジェクトは、私たちのオスロへの愛の告白です」と2人の発起人は語ります。みなさんはこれらの写真を見て、「この街に住む人々は、かわいそうだな」と思いますか?

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