島から社会を考える、離島専門メディア。

離島経済新聞社をスタートしてもうすぐ3年になります。3年前、私はフリーランス編集者として経済誌の広告などをつくっておりましたが、人生には予期せぬ出逢いがあるもので。ある時「島」という存在に出逢ったことをきっかけに、以来「島」びたりの日々を過ごしています。

離島経済新聞社をスタートしてもうすぐ3年になります。

3年前、私はフリーランス編集者として経済誌の広告などをつくっておりましたが、人生には予期せぬ出逢いがあるもので。ある時「島」という存在に出逢ったことをきっかけに、以来「島」びたりの日々を過ごしています。

離島経済新聞社では現在、『離島経済新聞』というウェブメディアと『季刊ritokei(リトケイ)』というタブロイド紙を発行しており、私自身も発行人兼編集長という立場で両メディアの取材・執筆など行っています。今回から記事の一部をハフィントンポストにも掲載いただくため、この記事からはじめて「島」というものに出逢う方もいらっしゃるかもしれません。そこで、まずは改めて私たちがテーマにしている「島」についてお話していきたいと思います。

まず「島」とは何か?

国連海洋法条約では「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」として、一般的には「大陸」と名のつくオーストラリア未満の陸地、グリーンランド(2,166,086km2)以下の陸地を「島」としています。ただ、国際的にはそれ以上に細かな基準がないため、国によって基準はまちまち。

日本の場合、海上保安庁が「周囲0.1km以上」を島の数を数える基準のひとつにしています。25mプールを想像してもらえると分かりやすいのですが、そのサイズから本州規模まで含めて日本には6,852島あるといわれています。ちなみに、日本と同じ島嶼国(とうしょこく)であるインドネシアは推定17,500島と言われています。

世界から見れば日本はすべて離島なのですが、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島の5島が「本土」と呼ばれ、それらを除く6,847島が日本の「離島」と呼ばれています。

離島経済新聞社では、日本の離島のうち「人の営み」がある約430島の有人離島にスポットをあて、そこにある産業・文化・自然などを情報化しています。(理由は離島経済の主役となる島に関わる"人"にスポットをあてたいからであり、国際問題ともなっているいくつかの無人島は弊社の規模で担える範囲にないため対象外とさせていただいております。予めご了承ください)

そういうと「なんで離島?」と聞かれる方が多くいらっしゃいますが、それは長くなるので後日にまわし、まずは日本の「離島」について説明いたします。

まず「離島」という言葉について。

「離島」という言葉は「本土から物理的に離れている水域に囲まれた陸地」を区別するために使われる用語として、昭和28年に離島振興法という法律が制定されたあと一般化したと言われています。

今年は「離島」をメインにした雑誌やテレビ番組の特集も目立ち、一般メディアでも「離島」の文字もよく見かけましたが、前述の通り「離島」は法律用語なので、「離島」と呼ばれる土地に暮らしている人は、自らの土地を「離島」とは呼ばず「島(しま)」と呼びます。

だからなんだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、離島を語るには重要なポイントになり、離島経済新聞社も社名に「離島」をつけておりますが約430島のことは「島」と呼ばせていただいております。

本土の人にしたら離島は「本土から離れている」ので「離島でいいじゃん」と思うかもしれませんが、島の人からすれば「本土が離れている」とも考えられるもの。私の実体験を例にあげると、取材をする時に「あなたが暮らしている離島のことを教えてください」というと顔をしかめる人が、「あなたが暮らしている島(しま)のことを教えてください」というと親しみを交えて話をしてくださることが多くありました。

人は誰しも自分がいる場所が中心になるので、どこが中心でどこが「離」になるかはその人の感覚次第。そう考えると、自分のホームに「離」をつけたがらないのは普通の感覚といえます。

さて、そろそろ長くなりましたので一旦終わりにして、次回は「日本にとっての島」についてお話したいと思います。また、9月5日には『季刊ritokei』06号が発行となりますので、お見かけした方はぜひ手にとっていただけると幸いです。

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