台風一過。少しでも早く島々に平穏が戻るように。

自然の猛威に対して、私たちは「備える」ことや「祈る」ことしかできず、何も起らないよう祈った方も多くいらっしゃると思います。今回、「何事もなかった」ことに感謝しながら、改めて自然のなかで生きることを考え、この経験を「糧」にできればと思います。

台風27号は沖縄本島と南北大東島の間で停滞した後、日本列島を避けるように東へ進み、青ヶ島と小笠原諸島の間を抜けて温帯低気圧となりました。自然の猛威に対して、私たちは「備える」ことや「祈る」ことしかできず、何も起らないよう祈った方も多くいらっしゃると思います。今回、「何事もなかった」ことに感謝しながら、改めて自然のなかで生きることを考え、この経験を「糧」にできればと思います。

台風26号に関連して、多くのメディアが「伊豆大島」を報じたことにより、はじめて伊豆大島を知った方もいるようで、SNSの投稿では「伊豆大島って伊豆じゃなくて東京だったんだ」というコメントも見られました。一連のメディア報道については良さ、悪さの2つの側面があり、取材対象となった島の方、視聴者や読者のそれぞれが、今後考えるべき課題が残されたと感じています。

ただ、少なくともこの数日間で島に興味を持った人がいるとしたら、それは島にとっては嬉しいことだと思います。伊豆大島は都心から最も近い東京の離島であり、高速船なら竹芝港から1時間45分で行くことができます。東京にはほかにも11島の有人離島があり、伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、父島、母島に人が暮らしています。

私はこの11島にはすべて訪れているのですが、同じ東京なんだなぁと感じたのは車のナンバーが「品川」であることくらいで、島によって方言、歴史、伝統文化、人々の雰囲気などが異なることに驚きました。

たとえば東京都心でいえば、秋葉原と原宿と丸の内では街並や人々の雰囲気が異なりますが、そうした個性が「良さ」とも捉えられます。あまり知られていない日本の海上エリアにもさまざまな魅力を持った島があり、それぞれの個性が良さでもあります。

一連の報道では「観光壊滅」といった言葉も見られましたが、長い歴史のなかで自然災害により壊滅してしまった観光はほとんどありません。台風が過ぎ去ったあとは地域が一丸となって復旧にあたり、商売に戻り、土地の「良さ」を売っていきます。今回、伊豆大島を知った方にはぜひ一度、現地を訪れ、魅力にふれてほしいと思います。

とはいえ、台風26号で伊豆大島がうけた被害は8,000人の島にとって非常に大きなものであり、先の台風24号で全2000世帯のうち786世帯が被害にあったヨロン島でも、少しでも早く平穏が戻るよう多くの力を必要としています。各島では災害義援金を受け付けていますので、島ファンの皆さんには、ぜひご協力をいただけますようお願いいたします。

【2013台風災害にて被害に遭われた島々の災害義援金受付情報】

>>伊豆大島「公益社団法人東京青年会議所 災害支援金募集」

>>伊豆大島「東京都福祉保健局 大島町に対する義援金の募集について」

>>伊豆大島「日本赤十字 伊豆大島等台風26号災害東京都義援金」

>>伊豆大島「東京新聞 伊豆大島など豪雨義援金受け付け」

>>ヨロン島「与論町台風24号災害義援金募集要綱」

(※こちらの記事は2013年10月26日の「離島経済新聞」より転載しました)

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