フォルクスワーゲン不正問題で排出ガス処理用部品のメーカーに恩恵 株価が軒並み上昇

フォルクスワーゲン(VW)の排出ガス不正問題を受け、排出ガス処理システムの部品や浄化用触媒に関連する欧州メーカーが思わぬ恩恵を受けている。

フォルクスワーゲン(VW)排出ガス不正問題を受けて、この混乱から思わぬ恩恵を受けているのが排出ガス処理システムの部品や浄化用触媒に関連する欧州メーカーだ。それらの会社の株価が上昇しているとロイターが報じている。投資銀行や投資家などがこの恩恵を受けていると名指ししているのは、排ガス浄化用触媒メーカーのジョンソン・マッセイやユミコア、そして排出ガス処理システムなどを製造するファウレシアやエルリング・クリンガーなどの企業。中には、不正が発覚した先月と比較すると株価の上昇率が25%以上にもなる企業もあるという。

ディーゼル・エンジンを巡る騒動が大きくなっているにも拘わらず、欧州では依然としてディーゼル車の需要はこれまで通り続くと見られている。その理由は燃費の良さによるランニング・コストの安さだ。加えて、2016年から新たな排出ガスの窒素酸化物(NOx)検査が始まる予定であり、しかも触媒システムに必要なプラチナの価格は下がっている。これらの要因が重なり、前述のような企業は価値評価が上昇しているのだ。

このように恩恵を受けている企業がある一方で、VWやメルセデス・ベンツ、BMWといったディーゼル車を製造しているメーカーの苦境は続くと見られる。世界各国の政府は、現実の路上における走行状況となるべく近づくように、ディーゼル車の車両認証試験の強化を求めているからだ。ただし、欧州自動車工業会(ACEA)によれば、試験運用の厳格化はディーゼル車製造にかかるコスト増につながり、ディーゼル車需要の主因となる燃料費の安さというメリットを打ち消すレベルにまで車体価格が高騰する可能性があるという。

VWの本国ドイツでは、検査の時にだけ排出ガスに含まれるNOxが少なくなるソフトウェアを搭載した240万台のディーゼル車がリコールの対象となっている。この不正ソフトウェアを搭載しているディーゼル車は、世界中では1,100万台にも上るとされている。不正が発覚したことで先月CEOが辞職したVWは、この問題に対処するため73億ドル(約8,750億円)を計上している。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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