マツダ RX-VISION、50人の技術者が8年かけてロータリーエンジンに挑戦

「Mazda RX-VISION(マツダ・アールエックス・ビジョン)」は、今年の東京モーターショーに出展されたモデルの中で特に際立つ1台と言えるだろう。

息を呑むほど美しいデザインと復活したロータリー・エンジンを備えるコンセプトモデル「Mazda RX-VISION(マツダ・アールエックス・ビジョン)」は、今年の東京モーターショーに出展されたモデルの中で特に際立つ1台と言えるだろう。現在でもマツダでロータリー・エンジンの開発が続けられているのは、50人のエンジニアから成る熱心なチームのおかげだ。自動車情報サイト『Automotive News』によれば、チームはこの8年間、歴史に名高いエンジン設計を市販車に復活させることを夢見てきたという。

だが、それは簡単なことではない。ロータリー・エンジンは設計上、燃費効率が悪くCO2排出量が多いという短所を抱えている。しかも少ない予算しか与えられていないという厳しい状況の中で、チームは問題解決に取り組み続けているそうだ。「この50人のエンジニアは、ロータリー・エンジンを開発したくてマツダに入社した。開発が中止になれば、おそらく彼らは当社を辞めると言うだろう」と、マツダの研究開発担当の常務執行役員、藤原清志氏は『Automotive News』に語っている。

RX-VISIONの優雅なボンネットの下に搭載された次世代ロータリー・エンジン「SKYACTIV-R(スカイアクティブ・アール)」の開発は、「16X」のプロジェクトから出発しているという。2007年の東京モーターショーで公開されたこの1.6リッターの2ローター・エンジンは、直噴システムの採用などによりトルクと燃費を改善させることを意図していた。関係者の話では、エンジニアたちが開発を進めた結果、このエンジンの問題はついに解決されたかとも思われていた。しかし、マツダはその製品化に踏み切らず、現在のところ「RX-8」がロータリーエンジンを搭載した同社最後の市販モデルとなっている。マツダ代表取締役社長兼CEOの小飼雅道氏は『Automotive News』に対し、「このロータリー・エンジンの設計を、いつの日かお客様に受け入れられる水準に到達させることが私たちの夢だ」と述べている。

マツダは、適切なロータリーエンジンなしにRX-VISIONが市販化されることはないという姿勢を明確にしている。また市販化されるとしても、このクーペは「ロードスター」のシャシーを強化したものを採用することになりそうだと『Automotive News』は報じている。50人のひたむきなエンジニア達の前には、次世代ロータリーエンジン車の発売に向け、多くの挑戦が待ち受けているようだ。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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