BMWジャパンは2017年1月12日、第7世代となる5シリーズの新型を発表した。
パワートレインのバリエーションは4気筒2.0Lターボのガソリン(523i)、ディーゼル(523d)、そして高出力仕様のガソリン4気筒ターボ(530i)、6気筒3.0L自然吸気ガソリン(540i及び4WDの540i xDrive)、そして4気筒2.0Lガソリンターボエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド(530e)となる。デリバリーは「530e」と「523i」が年後半~年末になる予定だが、それ以外のモデルは2月からスタートする(ベーシックグレード「523」はガソリンよりもディーゼルが先に発売されることも興味深い)。
価格帯はボトムモデルの「523i」が599万円、ハイエンドの「540i xDrive M Sport」が1017万円だ。
ラインナップで特筆すべきは、当初からハイブリッドモデル「530e」がバリエーションに組み込まれていることだろう。しかも「523i」に準じた4気筒ガソリンターボエンジンにモーターを加えたコストのかかったパワートレインでありながら、わずか33万円(「Luxury」同士の比較)しかアップしていない魅力的な価格設定となっていることも見逃せない。新型BMWでもっとも戦略的なグレードであることは間違いないだろう。
プレミアムブランドの新型車として注目はやはり先進安全装備の充実だが、単刀直入に言ってしまえば「昨年フルモデルチェンジした7シリーズ譲り」ということになる。
歩行者検知機能付きの追突回避・被害軽減ブレーキや停止保持機能付きのアダプティブクルーズコントロールを引き続き採用するのはもちろんのこと、高速走行時には車線の中央を沿うように、渋滞時は先行車両を追従するようにステアリング操作をサポートして部分的な自動運転を実現する「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」なども新たに採用した。
またオプションではあるが、キーを使って車外から車庫入れがおこなえる「リモート・コントロール・パーキング」も装着可能だ。
そして実は、新型5シリーズの本国仕様においては7シリーズにも採用のない先進装備が用意されている。それが自動レーンチェンジ機能である。ただし日本の購入者とBMWファンにとって残念なことにこちらは現時点での日本仕様への搭載はされない(テスラやメルセデス・ベンツEクラスには搭載されていることからもわかるように法的な規制があるわけではない)。ただしBMWジャパンによると「この先も日本向けは搭載しないというわけではなく、改良された進化版を導入する可能性はある」というから期待したいところだ。
いっぽうであえてBMWを選択する層にとっての注目は「BMWらしさはどこか? メルセデス・ベンツEクラスに勝っているのはどこか?」という部分だろう。
日本仕様の商品企画をまとめたBMWブランド・マネジメント プロダクト・マーケティング担当の大野憲氏によるとそれは「駆け抜ける歓び」だという。「やはりドライビングダイナミクス。運転を楽しむことを念頭に置いたクルマ作りはライバルと異なる。先進安全装備も充実しているが、それらはあくまでも走る楽しみを忘れるものではなく、走りを楽しむことを支援するための機構である」と語る。
初代E12型の登場以来、全世界で約800万台を売り上げた5シリーズ。その最新モデルをひとことで表すなら「駆け抜ける歓びをキープしつつ、電動化や部分自動運転化など次世代に向けて大きく舵を切った」である。
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(2017年1月13日 AutoBlog日本版「BMW新型5シリーズ日本発表 将来的には自動車線変更機能の搭載も!?」より転載)