ルノー、175円でF1チーム買い戻す 破格のわけは?

ルノーは再び、自前でパワートレインを開発するF1チームとして参戦することになる。

F1チームの運営には莫大な費用が掛かるし決して簡単なことではないが、ルノーがジニー・キャピタルからロータス・チームを買い戻した値段は安かった。最新の報道によると、ルノーが支払った金額はたったの1ポンド(約175円)だという。しかし、この過程は非常に複雑だった。

ルノーがこれほど安くチームを手に入れられたのにはもちろん理由がある。ロータスが巨額の負債を抱えていたからだ。そして、その一部はルノーが負担することとなる。2年ほど前に、チームにはおよそ1億1,400万ポンド(約200億円)の赤字があると言われており、数ヶ月前には英国政府に納める270万ポンド(当時のレートで約4億9,200万円)の税金を、ルノーが肩代わりした。

新しい契約条件では、ルノーはチームの前オーナーが蓄積していた負債を負担することになるが、株主がチームに貸し付けた9,820万ポンド(約172億円)は免れることになるだろう。

英国エンストーンに本拠地を置くチームの歴史は、トールマンとして誕生した1981年に遡る。1985年にはイタリアの大手ファッション・ブランド、ベネトンがこのチームを買収し、2000年にルノーに売却した。その後10年間で2度のタイトルを手にした後、ルノーはチームから手を引きはじめ、徐々に所有権を投資会社のジニー・キャピタルに移行させてきた。同社はそれ以降、ロータスの名で2017年まで運営する契約を結んでいる。

競争力のあるチームにするための資金が提供できないため、ジニー・キャピタルはチームをルノーに売り戻した。しかし、複雑な経済事情により、この取引は簡単にはいかなかった。まず、ジニー・キャピタルとその関連会社であるグラヴィティ・モータースポーツ(チームの親会社)は、全ての経営権を保有していなかったため、600万以上の株をWhiterock Allianceから買い戻し、自身の6,000万株に加える必要があった。

そして、この株の大部分は、ルノーの100%子会社であり書類上ではベネトン時代にチームを所有していた英国のペーパー会社、Gringyに移行されることになった(その費用が1ポンドだった)。

Gringyはチームの90%の株を所有し、残りの10%をジニー・キャピタルとその投資家が保持する。これによってルノーは、フェラーリやメルセデスのように自前でパワートレインを開発するF1チームとして再び参戦することになる。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

(2016年1月6日 Autoblog日本版「ルノー、175円でF1チームを買い戻す」より転載)

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